上 下
18 / 21
街へ行こう

出発! (8-5)

しおりを挟む
「おぉ~、ありがたい。あなた方のおかげで後片付けがはやく終わりました。それに車輪まで直して下さるとは。」(商人のリーダー)

恰幅の良い商人達のリーダーだと思われる男性が人の良さそうな笑みを浮かべ話しかけてきた。

「別に、シアンが言ったからであって、あなた達のためでは無い。そして、自己紹介くらいするべきだと思うぞ?」(ムスイ)

「では、シアン殿には、感謝しなければなりませんな。おぉ、そうでした。私の名前は、シュトルツ・マルシャンと申します。」(商人のリーダー)

「どうも。ムスイ・カンナギです。」(ムスイ)

「シアン・ミエニシです。よろしくお願いします。」(シアン)

「今日は、ここで野宿か?」(ムスイ)

赤く色づいた空を見上げながら言うと、シュトルツも上を見上げた。

「えぇ、日がだいぶ傾いていますからね。出発は、明日の朝ですね。」(シュトルツ)

「あの盗賊達はどうするんだ?」(ムスイ)

「あれは、賞金が貰えるかもしれないので連れ帰るのが1番ですが、あの人数では連れ帰るのは無理そうですね」(シュトルツ)

「ん?多分、出来るぞ?」(ムスイ)

ムスイはそう言い、地属性魔法で檻を作り前と後ろに2つずつ車輪をつけ、無属性魔法の重力魔法で重さを軽減し、中へ盗賊達を転移させた。

「⋯⋯。ムスイ殿、貴方様のお力は隠した方が良いかと。」(シュトルツ)

「どうして?」(シアン)

「力が強すぎるのです。下手をすれば、大事なモノを人質にしたり、奪われたりするかもしれません。ムスイ殿とシアン殿は、美しい。それだけでも、どこかの強欲な者が金や権力にものを言わせてちょっかい出して来ないとは限りません。」(シュトルツ)

「忠告、感謝する。気を付けるよ。」(ムスイ)
しおりを挟む

処理中です...