スライムは、チートだった⋯

街へ行こう

10 冒険者ギルド

門をくぐり抜け見た街は、The異世界といった感じの中世ヨーロッパ辺りの街並みと似ていた。
下水の管理ができているのか、地球の中世ヨーロッパとは違い臭くはなかった。
しばらく馬車に揺られていると騎士団の駐在所へ着いた。そこで盗賊達を引渡し、冒険者ギルドへ向かう。
馬車の中から街の様子を伺う。道の両脇では、布を敷いて露店を開いているようで多くの人で賑わっていた。
そんなことを見ていると馬車が止まった。

｢ムスイ殿、ココが冒険者ギルドでございます。｣(シュトルツ)

｢送ってくれてありがとうございました。｣(ムスイ)

｢あぁ、それとコレをお持ちください。｣(シュトルツ)

そう言って、シュトルツがカバンから2枚の黒光りするカードを取り出した。

｢我が商会の特級カードです。コレを我が商会、冒険者ギルドなどで見せれば、私があなた方の身元を保証するというような意味があります。また、待遇も良くなります。｣(シュトルツ)

｢ありがとうございます。ありがたく頂いておきます。｣(ムスイ)

｢シュトルツさん、ありがとうございます！｣(シアン)

｢それでは私共はこれで。またお会い致しましょう。｣(シュトルツ)

シュトルツを見送り、シアンを姫抱っこして冒険者ギルドへ入る。
冒険者ギルドの扉は西部劇とかによくある上と下の空いている押すタイプの扉だ。扉を押すとギィーと錆び付いた嫌な音がした。

その音を聞いた中にいた冒険者たちは一斉にこちらを見る。
上等なフードを被り、この辺では見ないような着物を着た怪しい男が同じく上等なフードを被って着物を着ている者を姫抱っこして入ってきたのだから見ないはずがない。
そんな視線を無視し、カウンターと思わしき場所へ向かう。
昼間から酒を飲むガラの悪い男が下卑た笑みを浮かべ、ムスイの進むところに足を突き出してきた。
それをみたムスイは、テンプレだーー！！！とテンションが上がったが、気分が悪いのは確かだ。
何もしていないのに仕掛けられる意味がわからない。
触れる価値もないと思い、軽く浮かび避ける。
それを見た魔法使いや魔術師と思わしきもの達は顔を驚愕に染め、避けられた男は苛立ちに染まる。
魔法使いや魔術師が驚いたのはこの世界で宙に浮かび上がることがとても高度な魔法だからだ。