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気づく
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「さて、悲しむのは後にしようかね。あの二人がまだお馬鹿さんなら私が行った方がいいからね」
チリン
日引はソファから立ち上がり外に出た。
「田中さん行きましょう」
「・・ああ。でもその箱はどうするんだ?そんなんじゃ駄目だろ。取り敢えずガムテープか何かで補強したほうがいい」
「あ、そうですね。ガムテープならあります」
俺と水島で、隙間だらけの箱をガムテープで何十にもグルグル巻きにしてとりあえず補強した。
外に出て、飯野と佐竹がいた場所に向かう。
そこには、正座をして頭を垂れ日引に説教されている二人がいた。
「全くあんた達は分かっていないんだね」
「すみません」
「ごめん」
「あんた達を持っていた主は同じ人だったね?その人はいつもどうしていたんだい?よ~く思い出しな」
「はい。あのおっさんは顔の割には優しい人でした。なっ?」
「うん。いつも優しくて相方と協力して狩りしてた」
「そうだろうね。あんた達の主は猟師だ。狩りをする時に連れて行っていた愛犬と上手く協力しなくちゃ成り立たない所もあるんだよ。それを見てきたはずだ」
その話をされた二人は過去を思い出しているかのように空を見上げた。
「・・・・そうか」
「・・・・うん」
二人は同時に顔を見合わせる。それを見た日引は皺くちゃの顔を柔らかくして
「行ってきな」
と優しく言った。
「行ってきます」
「行ってくる」
この時の二人の顔つきが変わっているのに俺は気が付いていた。
その後の二人の動きはすさまじかった。
飯野は猿のごとく木から木へと物凄い速さで移動し、佐竹はその辺りの木を根こそぎ倒す勢いでドスンドスンと歩いて行く。さっきまでの二人じゃない別人のようだった。
今まで一緒に行動していた二人だったが、今回は別々の方向へ分かれて移動している。
俺はその二人の動きと「縄」の動きを瞬きもせず見ていた。
水島も同じように箱を持ちながら固唾を飲み見守っている。その隣にいる日引は、持っていた赤い巾着の中から金色の鈴。よく見ると「封」の文字が刻まれている。その鈴を取り出しゆっくりと鳴らしだした。
チリ・・・・・・・・ン
その鈴の音色は長い長い音の余韻を残す音色だった。一回振っただけの鈴がここまでの余韻を残す事に俺は驚いた。
その間も、飯野と佐竹と「縄」の追いかけっこは続く。
チリン
日引はソファから立ち上がり外に出た。
「田中さん行きましょう」
「・・ああ。でもその箱はどうするんだ?そんなんじゃ駄目だろ。取り敢えずガムテープか何かで補強したほうがいい」
「あ、そうですね。ガムテープならあります」
俺と水島で、隙間だらけの箱をガムテープで何十にもグルグル巻きにしてとりあえず補強した。
外に出て、飯野と佐竹がいた場所に向かう。
そこには、正座をして頭を垂れ日引に説教されている二人がいた。
「全くあんた達は分かっていないんだね」
「すみません」
「ごめん」
「あんた達を持っていた主は同じ人だったね?その人はいつもどうしていたんだい?よ~く思い出しな」
「はい。あのおっさんは顔の割には優しい人でした。なっ?」
「うん。いつも優しくて相方と協力して狩りしてた」
「そうだろうね。あんた達の主は猟師だ。狩りをする時に連れて行っていた愛犬と上手く協力しなくちゃ成り立たない所もあるんだよ。それを見てきたはずだ」
その話をされた二人は過去を思い出しているかのように空を見上げた。
「・・・・そうか」
「・・・・うん」
二人は同時に顔を見合わせる。それを見た日引は皺くちゃの顔を柔らかくして
「行ってきな」
と優しく言った。
「行ってきます」
「行ってくる」
この時の二人の顔つきが変わっているのに俺は気が付いていた。
その後の二人の動きはすさまじかった。
飯野は猿のごとく木から木へと物凄い速さで移動し、佐竹はその辺りの木を根こそぎ倒す勢いでドスンドスンと歩いて行く。さっきまでの二人じゃない別人のようだった。
今まで一緒に行動していた二人だったが、今回は別々の方向へ分かれて移動している。
俺はその二人の動きと「縄」の動きを瞬きもせず見ていた。
水島も同じように箱を持ちながら固唾を飲み見守っている。その隣にいる日引は、持っていた赤い巾着の中から金色の鈴。よく見ると「封」の文字が刻まれている。その鈴を取り出しゆっくりと鳴らしだした。
チリ・・・・・・・・ン
その鈴の音色は長い長い音の余韻を残す音色だった。一回振っただけの鈴がここまでの余韻を残す事に俺は驚いた。
その間も、飯野と佐竹と「縄」の追いかけっこは続く。
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