10 / 28
前編
9. 会えて良かった
しおりを挟む
「知り合いか?」
彼の優しい声にロシェルダは震えた。
声のした方へ振り返る事は出来ない。この声もまたロシェルダの中に残り続けた記憶だったから。高く、甘い声。
「ええ、あなたもご存知でしょう? 治療院で治癒士をしていた娘だもの」
「……えっ」
(……どうして)
ロシェルダはきつく目を閉じた。
(どうして言うの?)
こんな無様な姿なのに。
何も持たない平民の娘なのに。今更、何を、どうして……。
……それでも恋心だけは消えてくれない、無為の存在なのに……。
だが彼は喜色を浮かべロシェルダの肩に両手を置いた。
「そうか! 君が! 会えて嬉しいよ! 退院時に挨拶が出来なくて、お礼もまともに言えなかった事、心残りだったんだ。あの時は本当にありがとう……でもその前に、その格好を何とかしないとね」
ロシェルダをこのままにしておくのは如何なものかと思ったようだ。自分は一体どんな有り様かのか。慌てて被りを振る。
「いえ! 大丈夫です! お世話になってる方がいますので、そこに行きます! それに治療は……私の仕事ですから……神に賜ったギフトを人の為に扱う事は、治癒士の義務です」
何とか口元に笑みを浮かべる。
そんなロシェルダの様子に彼もまた目を細めた。
けれど後ろの彼女は思わずといった様子で吹き出した。
「オランジュ! それは可哀想よ? この娘はね、あなたの事が好きだったんだから」
はっと目を向けた先には、綺麗に着飾った令嬢がいた。
確かに治療院で一緒に働いていた看護士。
けれど今は見違えるように美しくなり、そして、お腹の辺りはそれと分かる程張り出していた。
ロシェルダの見開いた目を見て彼女は勝ち誇ったように口元を吊り上げた。
「あ……お子様……が……」
「あ、ああ」
少しだけ困惑した様子でオランジュは口籠る。
一つ息を吐いてから、ロシェルダは笑顔を向けた。
「おめでとうございます」
その顔に一瞬驚いた顔をした後、オランジュもまた笑顔を見せた。
「ありがとう」
ロシェルダはほぼ意地で笑顔を作った。
踏みつけられボロボロの自分。過去の苦い失恋。
誰よりもそんな自分自身から目を背けたくて取り繕った。
けれどオランジュはそんなロシェルダに優しくふわりと笑いかけた。
「その……君の気持ちに気づかなくてごめん。僕は、実は以前君に嫌われていると思っていたんだ。だから最後に会ってくれないのかと。……応える事は出来ないけれど、その気持ちはとても嬉しい。だからありがとう。そして君にも良い出会いがあるように願うよ」
「……」
折角取り繕った表情から力が抜けるのを感じる。
どうして彼は……いや、だから彼を、だろうか。
ロシェルダはそのままくしゃりと顔を歪めた。
「オランジュ様。私はあなたに会えて、幸せでした。私こそ、本当にありがとうございます」
そういうとオランジュは少しだけ困った顔をして、うんと口にした。
だが次の瞬間彼は横に飛んでいった。
はっと息を飲む間も無いままに、彼は先程のロシェルダのように地面にうつ伏せで倒れている。
「……なっ」
慌てて駆け寄ろうとするロシェルダの腕を、後ろで誰かが捕らえた。
その誰かを見たであろう、オランジュの妻の顔が喜色に染まる。
「まあ! ソアルジュ様!」
思わず振り返れば、怒気を孕んだソアルジュの顔が間近にあった。
◇
「ソル……?」
うつ伏せのまま顔だけ持ち上げ、オランジュは口にした。
「オル! ここには来るなと言った筈だ! 忘れたのか?!」
「まあ、ソアルジュ様。何を怒ってらっしゃるの? お久しぶりですわ、サレリアです。以前あなたに美しいと言って頂いた。その節はそっけない態度を取ってしまって申し訳ありませんでした。私はまだ貴族の作法には慣れておらず、あなたに王族の血が流れているだなんて知らなくて。それに熱のある眼差しに、つい勘違いしそうになってしまったのです」
恥ずかしそうに扇をいじり、サレリアは少しずつソアルジュに、ロシェルダに近づいてきた。
だからこそロシェルダは困惑した。オランジュが、彼が害され未だ倒れたままなのに、妻であるサレリアは彼で無くソアルジュしか見ていない。
ロシェルダはオランジュに駆けつけたい衝動のまま、身を捩ってなんとかソアルジュの手を解こうとした。なのにソアルジュはロシェルダの腕をしっかりと握り締め、その力は全くぶれない。
睨みつけるべく振り向こうとした瞬間、ロシェルダの頬に衝撃が走った。
「は……」
息を吐くように声が一つ落ちる。
見上げればサレリアが扇を握りしめ、冷たい目でロシェルダを見ていた。
「いい加減その見苦しい姿をソアルジュ様に晒すのをやめなさい! ……ソアルジュ様、この者の処遇をあなた様自らが行う必要はありませんよ。この女はつい今程私の夫を誘惑していたいやらしい婢女なのです。全く、こんな見窄らしい娘。あの人は本当に人がいいんだから」
困ったように笑い出すサレリアをソアルジュは眉間に皺を寄せ見下ろした。
「そのお人好しの夫は後ろで転がったままのようだが? お前は手を貸してやらないのか?」
「そんなの貴婦人のする事ではありませんわ」
にこにこと笑いかけるサレリアにロシェルダの腹に怒りが込み上げた。
こんな、女に……
歯を食いしばった瞬間、ソアルジュがロシェルダを両腕で囲い、きつく抱きすくめた。
「オル……お前とは長年良い親類関係を築いてきたと思っていたが、それも今日限りだ。……もう二度と会わない。会いたく無い。私の前から消えろ」
耳元で唸るように口にするソアルジュがどんな顔をしているのかは分からない。けれどオランジュの顔が驚きから悲痛なものに変わり、ロシェルダの心も軋んだ。
「そんな! ソアルジュ様!」
喚くサレリアには目も向けず、ソアルジュはロシェルダを抱えるようにしてその場を後にした。
彼の優しい声にロシェルダは震えた。
声のした方へ振り返る事は出来ない。この声もまたロシェルダの中に残り続けた記憶だったから。高く、甘い声。
「ええ、あなたもご存知でしょう? 治療院で治癒士をしていた娘だもの」
「……えっ」
(……どうして)
ロシェルダはきつく目を閉じた。
(どうして言うの?)
こんな無様な姿なのに。
何も持たない平民の娘なのに。今更、何を、どうして……。
……それでも恋心だけは消えてくれない、無為の存在なのに……。
だが彼は喜色を浮かべロシェルダの肩に両手を置いた。
「そうか! 君が! 会えて嬉しいよ! 退院時に挨拶が出来なくて、お礼もまともに言えなかった事、心残りだったんだ。あの時は本当にありがとう……でもその前に、その格好を何とかしないとね」
ロシェルダをこのままにしておくのは如何なものかと思ったようだ。自分は一体どんな有り様かのか。慌てて被りを振る。
「いえ! 大丈夫です! お世話になってる方がいますので、そこに行きます! それに治療は……私の仕事ですから……神に賜ったギフトを人の為に扱う事は、治癒士の義務です」
何とか口元に笑みを浮かべる。
そんなロシェルダの様子に彼もまた目を細めた。
けれど後ろの彼女は思わずといった様子で吹き出した。
「オランジュ! それは可哀想よ? この娘はね、あなたの事が好きだったんだから」
はっと目を向けた先には、綺麗に着飾った令嬢がいた。
確かに治療院で一緒に働いていた看護士。
けれど今は見違えるように美しくなり、そして、お腹の辺りはそれと分かる程張り出していた。
ロシェルダの見開いた目を見て彼女は勝ち誇ったように口元を吊り上げた。
「あ……お子様……が……」
「あ、ああ」
少しだけ困惑した様子でオランジュは口籠る。
一つ息を吐いてから、ロシェルダは笑顔を向けた。
「おめでとうございます」
その顔に一瞬驚いた顔をした後、オランジュもまた笑顔を見せた。
「ありがとう」
ロシェルダはほぼ意地で笑顔を作った。
踏みつけられボロボロの自分。過去の苦い失恋。
誰よりもそんな自分自身から目を背けたくて取り繕った。
けれどオランジュはそんなロシェルダに優しくふわりと笑いかけた。
「その……君の気持ちに気づかなくてごめん。僕は、実は以前君に嫌われていると思っていたんだ。だから最後に会ってくれないのかと。……応える事は出来ないけれど、その気持ちはとても嬉しい。だからありがとう。そして君にも良い出会いがあるように願うよ」
「……」
折角取り繕った表情から力が抜けるのを感じる。
どうして彼は……いや、だから彼を、だろうか。
ロシェルダはそのままくしゃりと顔を歪めた。
「オランジュ様。私はあなたに会えて、幸せでした。私こそ、本当にありがとうございます」
そういうとオランジュは少しだけ困った顔をして、うんと口にした。
だが次の瞬間彼は横に飛んでいった。
はっと息を飲む間も無いままに、彼は先程のロシェルダのように地面にうつ伏せで倒れている。
「……なっ」
慌てて駆け寄ろうとするロシェルダの腕を、後ろで誰かが捕らえた。
その誰かを見たであろう、オランジュの妻の顔が喜色に染まる。
「まあ! ソアルジュ様!」
思わず振り返れば、怒気を孕んだソアルジュの顔が間近にあった。
◇
「ソル……?」
うつ伏せのまま顔だけ持ち上げ、オランジュは口にした。
「オル! ここには来るなと言った筈だ! 忘れたのか?!」
「まあ、ソアルジュ様。何を怒ってらっしゃるの? お久しぶりですわ、サレリアです。以前あなたに美しいと言って頂いた。その節はそっけない態度を取ってしまって申し訳ありませんでした。私はまだ貴族の作法には慣れておらず、あなたに王族の血が流れているだなんて知らなくて。それに熱のある眼差しに、つい勘違いしそうになってしまったのです」
恥ずかしそうに扇をいじり、サレリアは少しずつソアルジュに、ロシェルダに近づいてきた。
だからこそロシェルダは困惑した。オランジュが、彼が害され未だ倒れたままなのに、妻であるサレリアは彼で無くソアルジュしか見ていない。
ロシェルダはオランジュに駆けつけたい衝動のまま、身を捩ってなんとかソアルジュの手を解こうとした。なのにソアルジュはロシェルダの腕をしっかりと握り締め、その力は全くぶれない。
睨みつけるべく振り向こうとした瞬間、ロシェルダの頬に衝撃が走った。
「は……」
息を吐くように声が一つ落ちる。
見上げればサレリアが扇を握りしめ、冷たい目でロシェルダを見ていた。
「いい加減その見苦しい姿をソアルジュ様に晒すのをやめなさい! ……ソアルジュ様、この者の処遇をあなた様自らが行う必要はありませんよ。この女はつい今程私の夫を誘惑していたいやらしい婢女なのです。全く、こんな見窄らしい娘。あの人は本当に人がいいんだから」
困ったように笑い出すサレリアをソアルジュは眉間に皺を寄せ見下ろした。
「そのお人好しの夫は後ろで転がったままのようだが? お前は手を貸してやらないのか?」
「そんなの貴婦人のする事ではありませんわ」
にこにこと笑いかけるサレリアにロシェルダの腹に怒りが込み上げた。
こんな、女に……
歯を食いしばった瞬間、ソアルジュがロシェルダを両腕で囲い、きつく抱きすくめた。
「オル……お前とは長年良い親類関係を築いてきたと思っていたが、それも今日限りだ。……もう二度と会わない。会いたく無い。私の前から消えろ」
耳元で唸るように口にするソアルジュがどんな顔をしているのかは分からない。けれどオランジュの顔が驚きから悲痛なものに変わり、ロシェルダの心も軋んだ。
「そんな! ソアルジュ様!」
喚くサレリアには目も向けず、ソアルジュはロシェルダを抱えるようにしてその場を後にした。
14
あなたにおすすめの小説
『生きた骨董品』と婚約破棄されたので、世界最高の魔導ドレスでざまぁします。私を捨てた元婚約者が後悔しても、隣には天才公爵様がいますので!
aozora
恋愛
『時代遅れの飾り人形』――。
そう罵られ、公衆の面前でエリート婚約者に婚約を破棄された子爵令嬢セラフィナ。家からも見放され、全てを失った彼女には、しかし誰にも知られていない秘密の顔があった。
それは、世界の常識すら書き換える、禁断の魔導技術《エーテル織演算》を操る天才技術者としての顔。
淑女の仮面を捨て、一人の職人として再起を誓った彼女の前に現れたのは、革新派を率いる『冷徹公爵』セバスチャン。彼は、誰もが気づかなかった彼女の才能にいち早く価値を見出し、その最大の理解者となる。
古いしがらみが支配する王都で、二人は小さなアトリエから、やがて王国の流行と常識を覆す壮大な革命を巻き起こしていく。
知性と技術だけを武器に、彼女を奈落に突き落とした者たちへ、最も華麗で痛快な復讐を果たすことはできるのか。
これは、絶望の淵から這い上がった天才令嬢が、運命のパートナーと共に自らの手で輝かしい未来を掴む、愛と革命の物語。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
元平民だった侯爵令嬢の、たった一つの願い
雲乃琳雨
恋愛
バートン侯爵家の跡取りだった父を持つニナリアは、潜伏先の家から祖父に連れ去られ、侯爵家でメイドとして働いていた。18歳になったニナリアは、祖父の命令で従姉の代わりに元平民の騎士、アレン・ラディー子爵に嫁ぐことになる。
ニナリアは母のもとに戻りたいので、アレンと離婚したくて仕方がなかったが、結婚は国王の命令でもあったので、アレンが離婚に応じるはずもなかった。アレンが初めから溺愛してきたので、ニナリアは戸惑う。ニナリアは、自分の目的を果たすことができるのか?
元平民の侯爵令嬢が、自分の人生を取り戻す、溺愛から始まる物語。
【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。
銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。
しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。
しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……
元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?
3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。
相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。
あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。
それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。
だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。
その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。
その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。
だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜
あーもんど
恋愛
『私は恋に生きるから、探さないでそっとしておいてほしい』
という置き手紙を残して、駆け落ちした姉のクラリス。
それにより、主人公のレイチェルは姉の婚約者────“悪辣公爵”と呼ばれるヘレスと結婚することに。
そうして、始まった新婚生活はやはり前途多難で……。
まず、夫が会いに来ない。
次に、使用人が仕事をしてくれない。
なので、レイチェル自ら家事などをしないといけず……とても大変。
でも────自由気ままに一人で過ごせる生活は、案外悪くなく……?
そんな時、夫が現れて使用人達の職務放棄を知る。
すると、まさかの大激怒!?
あっという間に使用人達を懲らしめ、それからはレイチェルとの時間も持つように。
────もっと残忍で冷酷な方かと思ったけど、結構優しいわね。
と夫を見直すようになった頃、姉が帰ってきて……?
善意の押し付けとでも言うべきか、「あんな男とは、離婚しなさい!」と迫ってきた。
────いやいや!こっちは幸せに暮らしているので、放っておいてください!
◆小説家になろう様でも、公開中◆
聖女は王子たちを完全スルーして、呪われ大公に強引求婚します!
葵 すみれ
恋愛
今宵の舞踏会は、聖女シルヴィアが二人の王子のどちらに薔薇を捧げるのかで盛り上がっていた。
薔薇を捧げるのは求婚の証。彼女が選んだ王子が、王位争いの勝者となるだろうと人々は囁き交わす。
しかし、シルヴィアは薔薇を持ったまま、自信満々な第一王子も、気取った第二王子も素通りしてしまう。
彼女が薔薇を捧げたのは、呪われ大公と恐れられ、蔑まれるマテウスだった。
拒絶されるも、シルヴィアはめげない。
壁ドンで追い詰めると、強引に薔薇を握らせて宣言する。
「わたくし、絶対にあなたさまを幸せにしてみせますわ! 絶対に、絶対にです!」
ぐいぐい押していくシルヴィアと、たじたじなマテウス。
二人のラブコメディが始まる。
※他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる