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1. 妹が良縁をぶった斬った
しおりを挟む「いやよ! どうして親の決めた相手と結婚しなきゃいけないのよ! あれも駄目これも駄目って、小さい頃から我慢ばっかりさせられて。駄目駄目、駄目ばかりの挙句が、意に沿わない結婚だなんて納得できないわ!」
薄い水色の瞳を怒りに染め、眉を吊り上げても尚、愛らしいその顔で。妹──ビビアは目の前の婚約者を挑むように睨みつけた。
呆気にとられた周囲の顔をどう受け取ったのか、妹は止めの一言を言い放つ。
「私、この人と結婚しません!」
びしりと指を突き立てて。
してやったりと得意顔で口の端を吊り上げるのが視界の端に映った。
そうして動けなくなった私たちの間を擦り抜けて、ビビアは脱兎の如く応接間から駆けて行く。
「……お、お待ち下さい!」
いち早く気付いたビビアの侍女が慌てて追いかける中、あまりの事に卒倒した母を父が慌てて受け止めていた。
私はそれらをどこか現実味の無い世界のように眺めた後、ぎぎぎと音でも鳴りそうな動きで首を巡らせれれば、ひらり、と。
黄色の花びらが一枚、床に散る様が目に入る。
視線をずらせば、そこには一人の紳士が求婚の為に差し出した花束を持ったまま固まっていて……
ビビア──────────!!!
叫びたいのを私はぐっと、我慢した。
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