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9. 交渉の表と裏
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「──っくしゅん!」
急に込み上げたくしゃみに抗う術もなく……背中を駆ける悪寒にぶるりと身体を震わせた。
「あら嫌だ、風邪ですかレキシー様? 窓を閉めましょうか?」
心配そうな顔で薄く開けた窓に手を伸ばすマリーに首を捻る。
「うーん、そうかしら。最近悪寒がするのよねえ」
「ああ~……」
納得したような声を出しながら胡乱な顔をするマリーに首を傾げる。
「……無理しすぎですから、気をつけて下さい。心配ですから」
「ええ、ありがとうマリー」
「……」
そんな会話を行きの馬車でして──
フェンリー様の婚約者の候補者として、私が一番に思い付いたのフォー子爵家のアリーゼ嬢だ。彼女は推薦人一押しの淑女である。
急な話にも関わらず話を聞いてくれる子爵夫妻も、本当に良い方々だ。
「あなたは本当にまあ、ご苦労の絶えない方ねえ……」
品の良い群青のドレスに身を包み、優雅な所作でカップをソーサーに載せる。
開口一番、心底感心という風に夫人は憂いの息を吐いた。
天気が良いからと、サンルームで用意されたお茶の席は、周りを彩る植栽から日差しが注ぎ、柔らかな温もりに包まれている。
用件というよりお茶会のような茶菓子の種類の多さにも、この夫妻の人の良さが窺えた。
特に夫人はレキシーの事情を知り同情的なのだ。娘を持つ母として、思うところがあるのだろう。
そんな親切心まで利用しているようで申し訳ないが……
彼らが信を置く人たちであることも変わりない。何かあったらいつでも頼っていいと言ってくれた厚意に縋り。ここは感謝を全面に押し出した上で、甘えさせて頂く事にした。
……二人の婚約破棄の顛末はいずれ社交界に広まるだろう。なら醜聞を気にしていないで、先に信用の置ける人たちにきちんと話しておいた方がいい。
私はビビアが長年の婚約者であるフェンリー様を、彼女のわがままで婚約解消に至った経緯をお話しした。
父母を領地へ送る際、私はビビアに本当に婚約破棄をするつもりなのかと問う内容の手紙を持たせていた。
しかしつい先日届いたその返事には、婚約破棄の書類に同意を示すサインをしたものが同封されており、もう何も言うまいと諦めたところだ。
両親が一緒にいるというのに、私が説得したところで焼石に水だろう。
「……ブライアンゼ家の現状はお察しします。しかし……」
フォー子爵は難しい顔で首を横に振る。
我が家の現状とは窮状の事である。返すお金が無い代わりに立ち回る姿に、フォー子爵の疑念は分かる。
「だ、大事なお嬢様だという事は重々承知です! 勿論フェンリー様のお人柄も保障致します!」
私がフェンリー様にお会いしたのは、あの婚約破棄の現場と、その後。男爵家に頭を下げに行った時に軽く挨拶をしただけだ。けれど先日男爵家に行った際、フェンリー様に許可を頂いた事がある。
それはビビア宛に書かれた、十年分の手紙を読ませて欲しいというお願いだ。
イーライ神官を通して頼んであったそれは、快諾とあったけれど……後ほど頂いたお礼の手紙への返信に、照れや羞恥が見受けられたので、イーライ神官のごり押しもあったのかなあ、なんて思ってはいる。けれどそれに許可を下さったのは、間違いなくフェンリー様のお人柄だ。
その手紙も含めたそれらには、聡明さが窺える文面に、瑞々しい感性から情緒豊かな内面が読み取れた。
これはもう、まごう事ない好青年だろう。
お人柄も良く将来性を感じさせる頭脳、その上見目も良い。
こんな人が妹の無作法に傷つくなんてあってはならない。私はそう訴え必死に頭を下げた。
「──分かりました」
思わず顔を跳ね上げると、穏やかに笑うフォー子爵夫妻の顔が目に入った。
「いずれにしても年頃の娘ですから、そろそろ縁を考えなければいけない頃でした」
子爵の言葉に夫人が頷く。
「あれで人見知りなところがありますから、これが良いきっかけになるかもしれません。……加えてレキシー殿ならお任せしたいと思いますから。良縁を期待しますよ」
「あ、ありがとうございます!」
私は喜びに涙が滲んだ。
◇
──レキシーがフォー家に向かう数日前。
「……フェンリー、本当に良かったのか?」
ブライアンゼ家の長女、レキシーが帰った後、ラッセラード男爵は息子に探りを入れた。
「ええ、だって叔父上がお喜びになるでしょう? 逆に断れば般若の如く怒り狂うのではないですか?」
自分の婚約者に対する関心が、いくら何でも低すぎないだろうかと懸念する。将来男爵家を担う女性でもある。気に入らないからと、本人があまり適当に相手をするのも困りものだ。
けろりと笑う息子に男爵は渋面を作った。
「言っとくがお前、あいつの弱みを握ろうなんて止めておいた方がいいぞ?」
そう言うと息子は軽く笑い声をあげる。
「いやだなあ父上、俺はそんな事しませんよ。ただ叔父上が焦る様子なんて初めて見たから面白いなあ、なんて。俺が思っている事なんてそれくらいですよ」
そう言ってくすくすと笑う息子から、男爵はそっと視線を逸らす。
新興の男爵家なんて苦労するだろうと、上位の貴族にも負けないように教育してきた自覚はあるが……思ったよりも逞しく育ってしまった。貴族らしいといえばそうなんだろうが……
「それにしてもお前、婚約者相手に黄色い薔薇を持参するなんて……結婚するつもりも無かったくせに。知らず奔走する羽目になったレキシー嬢を気の毒に思うのは私だけか?」
本来ラッセラード男爵は貴族らしい考えを貫く意識が高い。
同情や憐憫にはきりがなく、また一時の自己満足は不毛な感情と位置付けている。
ただそんな男爵でも個人の事情を知れば情も湧く。加えて貴族令嬢が形振り構わず立ち向かってくる姿に、何の感動も覚えない程無感動では無かった。
役に立たない伯爵家で唯一貴族らしく振る舞うレキシーは逞しく好ましい。
だからこそ、こうして影で画策している姿を目にしてしまえば、何だかやるせないと思うものだ。彼女は未来の義妹なのだから……
そんな男爵の憂慮を他所に、フェンリーは鼻で笑った。
そもそも自分の婚約者に興味を示さない筈は無いだろうと。
ビビアとは手紙のやりとりだけであったものの、彼女に対しては割と早い段階で疑問を抱いていたのだ。
やる気の無い上に稚拙な文章、返信の遅延に、他の男の話題なんてものもあった。屋敷に耳目を忍ばせるのも、婚約破棄を目論むのも当然の成り行きである。
「俺についてはお構いなく。こうなるのは必然だっただけでしょうから。それに叔父上なら、レキシー様が自分の為に走り回っていると勝手に解釈してますよ。喜んでいるんじゃないですか?」
……そうか、そうだろうか。
男爵は思わず胡乱な眼差しになる。
加えて息子と話していると、弟といるような錯覚を覚えるのは気のせいか。
誠実に育って欲しいと接してきたつもりなのに、いつの間にこんな事になったのか。
投資を学び、学園に入学する頃には自分の知らない使用人を雇い使い出していた。商才がある事は喜ばしい事ではあるのだが、自分の頃と比べて空恐ろしく感じるのもまた事実……
男爵は首を振って迷い込みそうな思考から抜け出した。
「──まあレキシー殿には、いずれきちんと謝罪しよう」
それは妙なものに目をつけられてしまった事だろうか。それを押し付けられる事だろうか。
「そんなに心配しなくとも、幸せならいいと思いますけどね」
そう言ってフェンリーは肩を竦めた。
相手の幸せはよく分からないので、自分の幸せに巻き込めばいいんじゃないかと、フェンリーは思う。
加えて叔父がいずれ作る自分の箱庭で、愛する人を大事に囲いたいと願うのは、ごく普通の愛情表情じゃなかろうかと、フェンリーは内心で首を傾げた。
「それにレキシーさんの選ぶ相手というのも興味があります。彼女への印象は悪くないですし。楽しみだなあ……きっと素敵な令嬢だと思うんですよね」
叔父上が判を押す人が選ぶのだから。
そう言ってくすくすと笑い声を立てる息子から目を逸らし、男爵は未来の彼らの妻たちに、そっと謝罪した。
◇
黄色の薔薇の花言葉 → 別れよう
全般的にネガティブな意味らしいですが、フェンリーの意図はここにあったという事で。
急に込み上げたくしゃみに抗う術もなく……背中を駆ける悪寒にぶるりと身体を震わせた。
「あら嫌だ、風邪ですかレキシー様? 窓を閉めましょうか?」
心配そうな顔で薄く開けた窓に手を伸ばすマリーに首を捻る。
「うーん、そうかしら。最近悪寒がするのよねえ」
「ああ~……」
納得したような声を出しながら胡乱な顔をするマリーに首を傾げる。
「……無理しすぎですから、気をつけて下さい。心配ですから」
「ええ、ありがとうマリー」
「……」
そんな会話を行きの馬車でして──
フェンリー様の婚約者の候補者として、私が一番に思い付いたのフォー子爵家のアリーゼ嬢だ。彼女は推薦人一押しの淑女である。
急な話にも関わらず話を聞いてくれる子爵夫妻も、本当に良い方々だ。
「あなたは本当にまあ、ご苦労の絶えない方ねえ……」
品の良い群青のドレスに身を包み、優雅な所作でカップをソーサーに載せる。
開口一番、心底感心という風に夫人は憂いの息を吐いた。
天気が良いからと、サンルームで用意されたお茶の席は、周りを彩る植栽から日差しが注ぎ、柔らかな温もりに包まれている。
用件というよりお茶会のような茶菓子の種類の多さにも、この夫妻の人の良さが窺えた。
特に夫人はレキシーの事情を知り同情的なのだ。娘を持つ母として、思うところがあるのだろう。
そんな親切心まで利用しているようで申し訳ないが……
彼らが信を置く人たちであることも変わりない。何かあったらいつでも頼っていいと言ってくれた厚意に縋り。ここは感謝を全面に押し出した上で、甘えさせて頂く事にした。
……二人の婚約破棄の顛末はいずれ社交界に広まるだろう。なら醜聞を気にしていないで、先に信用の置ける人たちにきちんと話しておいた方がいい。
私はビビアが長年の婚約者であるフェンリー様を、彼女のわがままで婚約解消に至った経緯をお話しした。
父母を領地へ送る際、私はビビアに本当に婚約破棄をするつもりなのかと問う内容の手紙を持たせていた。
しかしつい先日届いたその返事には、婚約破棄の書類に同意を示すサインをしたものが同封されており、もう何も言うまいと諦めたところだ。
両親が一緒にいるというのに、私が説得したところで焼石に水だろう。
「……ブライアンゼ家の現状はお察しします。しかし……」
フォー子爵は難しい顔で首を横に振る。
我が家の現状とは窮状の事である。返すお金が無い代わりに立ち回る姿に、フォー子爵の疑念は分かる。
「だ、大事なお嬢様だという事は重々承知です! 勿論フェンリー様のお人柄も保障致します!」
私がフェンリー様にお会いしたのは、あの婚約破棄の現場と、その後。男爵家に頭を下げに行った時に軽く挨拶をしただけだ。けれど先日男爵家に行った際、フェンリー様に許可を頂いた事がある。
それはビビア宛に書かれた、十年分の手紙を読ませて欲しいというお願いだ。
イーライ神官を通して頼んであったそれは、快諾とあったけれど……後ほど頂いたお礼の手紙への返信に、照れや羞恥が見受けられたので、イーライ神官のごり押しもあったのかなあ、なんて思ってはいる。けれどそれに許可を下さったのは、間違いなくフェンリー様のお人柄だ。
その手紙も含めたそれらには、聡明さが窺える文面に、瑞々しい感性から情緒豊かな内面が読み取れた。
これはもう、まごう事ない好青年だろう。
お人柄も良く将来性を感じさせる頭脳、その上見目も良い。
こんな人が妹の無作法に傷つくなんてあってはならない。私はそう訴え必死に頭を下げた。
「──分かりました」
思わず顔を跳ね上げると、穏やかに笑うフォー子爵夫妻の顔が目に入った。
「いずれにしても年頃の娘ですから、そろそろ縁を考えなければいけない頃でした」
子爵の言葉に夫人が頷く。
「あれで人見知りなところがありますから、これが良いきっかけになるかもしれません。……加えてレキシー殿ならお任せしたいと思いますから。良縁を期待しますよ」
「あ、ありがとうございます!」
私は喜びに涙が滲んだ。
◇
──レキシーがフォー家に向かう数日前。
「……フェンリー、本当に良かったのか?」
ブライアンゼ家の長女、レキシーが帰った後、ラッセラード男爵は息子に探りを入れた。
「ええ、だって叔父上がお喜びになるでしょう? 逆に断れば般若の如く怒り狂うのではないですか?」
自分の婚約者に対する関心が、いくら何でも低すぎないだろうかと懸念する。将来男爵家を担う女性でもある。気に入らないからと、本人があまり適当に相手をするのも困りものだ。
けろりと笑う息子に男爵は渋面を作った。
「言っとくがお前、あいつの弱みを握ろうなんて止めておいた方がいいぞ?」
そう言うと息子は軽く笑い声をあげる。
「いやだなあ父上、俺はそんな事しませんよ。ただ叔父上が焦る様子なんて初めて見たから面白いなあ、なんて。俺が思っている事なんてそれくらいですよ」
そう言ってくすくすと笑う息子から、男爵はそっと視線を逸らす。
新興の男爵家なんて苦労するだろうと、上位の貴族にも負けないように教育してきた自覚はあるが……思ったよりも逞しく育ってしまった。貴族らしいといえばそうなんだろうが……
「それにしてもお前、婚約者相手に黄色い薔薇を持参するなんて……結婚するつもりも無かったくせに。知らず奔走する羽目になったレキシー嬢を気の毒に思うのは私だけか?」
本来ラッセラード男爵は貴族らしい考えを貫く意識が高い。
同情や憐憫にはきりがなく、また一時の自己満足は不毛な感情と位置付けている。
ただそんな男爵でも個人の事情を知れば情も湧く。加えて貴族令嬢が形振り構わず立ち向かってくる姿に、何の感動も覚えない程無感動では無かった。
役に立たない伯爵家で唯一貴族らしく振る舞うレキシーは逞しく好ましい。
だからこそ、こうして影で画策している姿を目にしてしまえば、何だかやるせないと思うものだ。彼女は未来の義妹なのだから……
そんな男爵の憂慮を他所に、フェンリーは鼻で笑った。
そもそも自分の婚約者に興味を示さない筈は無いだろうと。
ビビアとは手紙のやりとりだけであったものの、彼女に対しては割と早い段階で疑問を抱いていたのだ。
やる気の無い上に稚拙な文章、返信の遅延に、他の男の話題なんてものもあった。屋敷に耳目を忍ばせるのも、婚約破棄を目論むのも当然の成り行きである。
「俺についてはお構いなく。こうなるのは必然だっただけでしょうから。それに叔父上なら、レキシー様が自分の為に走り回っていると勝手に解釈してますよ。喜んでいるんじゃないですか?」
……そうか、そうだろうか。
男爵は思わず胡乱な眼差しになる。
加えて息子と話していると、弟といるような錯覚を覚えるのは気のせいか。
誠実に育って欲しいと接してきたつもりなのに、いつの間にこんな事になったのか。
投資を学び、学園に入学する頃には自分の知らない使用人を雇い使い出していた。商才がある事は喜ばしい事ではあるのだが、自分の頃と比べて空恐ろしく感じるのもまた事実……
男爵は首を振って迷い込みそうな思考から抜け出した。
「──まあレキシー殿には、いずれきちんと謝罪しよう」
それは妙なものに目をつけられてしまった事だろうか。それを押し付けられる事だろうか。
「そんなに心配しなくとも、幸せならいいと思いますけどね」
そう言ってフェンリーは肩を竦めた。
相手の幸せはよく分からないので、自分の幸せに巻き込めばいいんじゃないかと、フェンリーは思う。
加えて叔父がいずれ作る自分の箱庭で、愛する人を大事に囲いたいと願うのは、ごく普通の愛情表情じゃなかろうかと、フェンリーは内心で首を傾げた。
「それにレキシーさんの選ぶ相手というのも興味があります。彼女への印象は悪くないですし。楽しみだなあ……きっと素敵な令嬢だと思うんですよね」
叔父上が判を押す人が選ぶのだから。
そう言ってくすくすと笑い声を立てる息子から目を逸らし、男爵は未来の彼らの妻たちに、そっと謝罪した。
◇
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