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騒乱編
102.情報収集
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グラートは快く会う約束をしてくれた。お茶会から五日後、グラートの休みに合わせてその日に決めた。
「おー! グラート! 久しぶり」
「久しぶり~。」
外だと目立つし、今回も城のサロンに来てもらった。季節の花が飾られていて清々しい空間だ。
久々に見るグラートは、そんなに変わってはいなかった。少し髪が伸びたぐらい。俺に対する態度もそのままだったから、少し安心した。
「悪いな、来てもらって。」
「いや全然。……そういや、婚約おめでとう。余計に注目されることになったな?」
グラートは頬杖をつきながらくつくつと笑っている。
「笑い事じゃないよ……。なあ、俺って隣国でも知られてんの? この間そんな情報もらったんだけど。」
会って早々、本命の質問をぶつける。グラートは何か知っているだろうか。
「うーん、僕を呼んだってことは、神殿関係での情報を探してんだよね? ……この間の定期連絡会では、変わった様子は無かったけど……。特に何か聞かれたとかもないし。」
「え、そうなの? 隣国に知り合いがいるって言う人が、名前までは知られてないけど黒髪が現れてザワついてるって言ってたって教えてくれたんだよね。どんな風に伝わってるのか気になってさぁ。」
「ほー……。神殿では、上が入れ替わった時に連絡会で公開済みなんだよ。異世界から神の愛し子の称号を持つ黒髪が降りたってね。陛下直々に公開なさったことだし、ほかの神殿に変な勘ぐりをされないように事実のみを報告してある。」
じゃあ、各神殿には正しく伝わってると思っていいってことだな。問題なのは民の方か。商人から適当に聞きかじったりとかして変な風に伝わってそうな予感がする。なんか面倒くさそうな予感する。
「あーそっか、なるほど。神殿はむしろちゃんと理解してくれてるんだな。じゃあ問題はその他の奴らってことか。」
「カイトの場合、シンプルに見た目がヤバいって伝わってそうだけど?」
「え、本気?」
「勘。」
「勘かよ!」
え、グラートってこんな奴だっけ? と思いつつツッこんでおく。まあ散々言われてきたことだし、俺自体が魅了の魔法放ってると思っておこ……。
「向こうの王族がお前を見て、欲しい! ってなったら見ものだよなぁ。拐われちゃうかもな~? レオナルド殿下お怒りで戦争になったりして?」
「ないだろ。つーかそんな物騒なことを笑って言ってんじゃねえ。んな他人事みたいにさぁ。」
半ば呆れ顔で言う俺だけど、グラートを見ると真剣な顔をしていた。
「いや、それが有り得るんだよ。黒髪が絡むと。……ああごめん、そんな責めているわけではなくて。どんな伝わり方してるかは僕にはわからないけど、その教えてくれた人の言うとおり気をつけた方がいいよ。」
「……うん、そうするよ。はあ、なんか俺がいるせいでレオに迷惑が掛かりまくってる気がする……。」
俺、本当に疫病神化してない? 傍にはいたいけど、迷惑をかけたい訳じゃない。そりゃ最大限気をつけるけど……。
「今から気落ちしててもしょうがないでしょ。殿下にも相談してみな? あの方はきっと守ってくださるよ。」
「はは、あまり甘えてばかりも嫌だけどな。情報の共有はちゃんとしとくよ。ありがと。」
「ん、ちょっとはお役に立てたならいいけど。」
甘えてばかりは……嫌だけど、最悪の場合は俺だけの問題じゃなくなるから、相談はしておこう。はあ、この感じ、神殿の件以来だなぁ。嫌な予感しかしねえわ。
とりあえず本命の話をし終えたので、今度はグラートに最近の神殿の様子を聞いた。上が変わってからは神殿内の空気はめちゃめちゃ良くて快適らしい。よかった。困ってることも今のところないみたいだし……。ああ、また、手が空いたら孤児院にも顔を出しに行きたいなぁ。みんな元気だろうか。
しばらくグラートとお茶を飲みながらたわいもない話をした。夕方には帰って行ったけど、久々に会えて嬉しかったな。
「おー! グラート! 久しぶり」
「久しぶり~。」
外だと目立つし、今回も城のサロンに来てもらった。季節の花が飾られていて清々しい空間だ。
久々に見るグラートは、そんなに変わってはいなかった。少し髪が伸びたぐらい。俺に対する態度もそのままだったから、少し安心した。
「悪いな、来てもらって。」
「いや全然。……そういや、婚約おめでとう。余計に注目されることになったな?」
グラートは頬杖をつきながらくつくつと笑っている。
「笑い事じゃないよ……。なあ、俺って隣国でも知られてんの? この間そんな情報もらったんだけど。」
会って早々、本命の質問をぶつける。グラートは何か知っているだろうか。
「うーん、僕を呼んだってことは、神殿関係での情報を探してんだよね? ……この間の定期連絡会では、変わった様子は無かったけど……。特に何か聞かれたとかもないし。」
「え、そうなの? 隣国に知り合いがいるって言う人が、名前までは知られてないけど黒髪が現れてザワついてるって言ってたって教えてくれたんだよね。どんな風に伝わってるのか気になってさぁ。」
「ほー……。神殿では、上が入れ替わった時に連絡会で公開済みなんだよ。異世界から神の愛し子の称号を持つ黒髪が降りたってね。陛下直々に公開なさったことだし、ほかの神殿に変な勘ぐりをされないように事実のみを報告してある。」
じゃあ、各神殿には正しく伝わってると思っていいってことだな。問題なのは民の方か。商人から適当に聞きかじったりとかして変な風に伝わってそうな予感がする。なんか面倒くさそうな予感する。
「あーそっか、なるほど。神殿はむしろちゃんと理解してくれてるんだな。じゃあ問題はその他の奴らってことか。」
「カイトの場合、シンプルに見た目がヤバいって伝わってそうだけど?」
「え、本気?」
「勘。」
「勘かよ!」
え、グラートってこんな奴だっけ? と思いつつツッこんでおく。まあ散々言われてきたことだし、俺自体が魅了の魔法放ってると思っておこ……。
「向こうの王族がお前を見て、欲しい! ってなったら見ものだよなぁ。拐われちゃうかもな~? レオナルド殿下お怒りで戦争になったりして?」
「ないだろ。つーかそんな物騒なことを笑って言ってんじゃねえ。んな他人事みたいにさぁ。」
半ば呆れ顔で言う俺だけど、グラートを見ると真剣な顔をしていた。
「いや、それが有り得るんだよ。黒髪が絡むと。……ああごめん、そんな責めているわけではなくて。どんな伝わり方してるかは僕にはわからないけど、その教えてくれた人の言うとおり気をつけた方がいいよ。」
「……うん、そうするよ。はあ、なんか俺がいるせいでレオに迷惑が掛かりまくってる気がする……。」
俺、本当に疫病神化してない? 傍にはいたいけど、迷惑をかけたい訳じゃない。そりゃ最大限気をつけるけど……。
「今から気落ちしててもしょうがないでしょ。殿下にも相談してみな? あの方はきっと守ってくださるよ。」
「はは、あまり甘えてばかりも嫌だけどな。情報の共有はちゃんとしとくよ。ありがと。」
「ん、ちょっとはお役に立てたならいいけど。」
甘えてばかりは……嫌だけど、最悪の場合は俺だけの問題じゃなくなるから、相談はしておこう。はあ、この感じ、神殿の件以来だなぁ。嫌な予感しかしねえわ。
とりあえず本命の話をし終えたので、今度はグラートに最近の神殿の様子を聞いた。上が変わってからは神殿内の空気はめちゃめちゃ良くて快適らしい。よかった。困ってることも今のところないみたいだし……。ああ、また、手が空いたら孤児院にも顔を出しに行きたいなぁ。みんな元気だろうか。
しばらくグラートとお茶を飲みながらたわいもない話をした。夕方には帰って行ったけど、久々に会えて嬉しかったな。
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