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永遠編
135.人と人とのつながり
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レオがリュシェール公爵になって一ヶ月が経った。越して直ぐに領地へ向かい、領主としての挨拶もすませ、社交シーズンの今は王都で仕事をこなしている。
俺はまだ結婚していないから、時々レオの仕事を手伝ったり、今後のために適当にお茶会に参加したりしている。結婚後は、大体領主の伴侶が参加している社交の面を任される予定だから。レオ曰く、『カイは人好きのするタイプだから適任だ』とのこと。まぁ適材適所ってやつだな。でも逆に『あんまり見られたり触られたりするのは嫌だ』とも言って葛藤していた。
「あ! 明日、俺お茶会行くから午後いないよ。ごめん言い忘れてた。」
就寝前にソファだらだらしている時にふと思い出して、慌ててレオに明日の予定を伝える。
「え、そうなの? 仕事少ないから、午後から休みにしようと思っていたのに。」
「うっそぉ……えぇ~~……」
別に、忙しすぎて最近休みが全然なかったとかそういうわけでもないんだけど。でもやっぱり、休みって聞くと『一緒にいられる!』ってなっちゃうからさ。でも明日はなぁ……ドタキャンとかナシだしなぁ……。
「そんな顔しないの。仕方ないでしょ。」
「そりゃそうだけど……。」
「でも俺も寂しいから、送り迎え行くよ。」
「えっ、いいのか? ほんと?」
一気に期待で胸が膨らむ。行き帰りの馬車って、一人だとすること無さすぎるし、レオのことばっか考えちゃって余計寂しくなったりするから、この申し出はすごく嬉しい。
「うん。嬉しい?」
「! 嬉しい……! ありがとうレオ!」
「あぁ~……可愛い……」
頭に顔に首に、キスの雨が降る。レオの甘やかしっぷりが増している気がするけど、俺も満更ではない。レオの甘やかし方は、愛されてるっていうのがわかるから満たされるんだ。
「っふふ……くすぐったい! もーやりすぎでしょ!」
「そう? 全然足りないんだけど。」
まぁ、そんなこんなでレオの仕事もそこそこ軌道に乗って上手くやっている。
◆
「おまたせ、行こうか。」
「ん、遅い。」
「ごめんね。」
馬車の扉が閉められて、ゆっくりと動き出す。今日は曇り空だ雨降らないといいけど。
「今日はベルタ嬢に呼ばれてるんだっけ?」
「そうそう。久しぶりだな~元気かな。」
ベルタ嬢とは、あの件以降は一回会っただけだ。なんだかんだと忙しくしていたら時間ばかりが過ぎていた。前回会った時は特にあの件を引きずっているようなことはなかったけど、元気にしているかな。
「最近お茶会多いね、結構招待されてる?」
「あーそうだな……式までに六件はあったかな。」
「無理しないで断っていいんだからね?」
「無理はしてないし、そもそもこれが俺の仕事だからさ。食ってばっかで太りそうなのが嫌なだけで、それ以外は辛くはないよ。」
「運動なら夜してるから大丈夫じゃない?」
「おっさんみたいなこと言う……。」
レオと話しながら揺られる馬車の時間は、いつもよりも早く感じた。あっという間にベルタ嬢の家に着くと、レオが先に降りてエスコートをしてくれる。手を預けると、きゅっと握ってくれるのが嬉しいんだよね。
「また迎えに来る。楽しんでね。」
「うん、行ってきます!」
頬にキスをされて送り出される。レオに手を振ってフィンツィ家の使用人について行くと、ベルタ嬢が出迎えてくれた。
「カイト様! お久しぶりですわ!」
「久しぶり! 変わりはないですか?」
弾けるような笑顔で出迎えてくれたベルタ嬢に安心した。元気そうでよかった。
「少し……変わったことがあった……かもですわ。」
「えっ、何かあったんですか?」
「その……婚約者ができましたの。」
何かと思った! 思い出したりして体調崩すとかじゃなくて本当に良かったし、めでたいなぁ!
「本当ですか! おめでとうございます! またぜひ紹介してくださいね。」
「カイト様のお式に一緒に行く予定ですの。お時間合えばぜひ!」
「そうなんですね。話せるといいんだけどな……。」
領地でこじんまりとした式にするつもりだし、話すくらいなら出来そうだけど。当日になってみないと何とも俺も予想が付きにくい。話せたらラッキーぐらいに思っておいた方がいいかな。
それから、他にも招待されていた面々と挨拶を交わしてお茶会が始まった。俺は相変わらず遠慮なくスイーツを楽しみながらお茶を啜る。……で、やっぱりめっちゃ見られる。スイーツ男子、みたいなのっていないんだな本当に……。
そして、こうやって社交の場に顔を出しているとすごく感じることがある。
ラヴィが輿入れする前にしていたお茶会に、俺も混ぜてくれていたんだけど、その時の方たちからも招待が来ていて。ラヴィはきっと、俺の交友関係のためにああして俺を混ぜていてくれたんだなって。それに気づいたら、ラヴィの優しさに涙が出そうになる。
俺はこれから本格的に社交界に足を踏み入れなければならないけど、彼女がくれた出会いを大切にしたいし、俺もこれから出会う人を大切にできたらいいな。
俺はまだ結婚していないから、時々レオの仕事を手伝ったり、今後のために適当にお茶会に参加したりしている。結婚後は、大体領主の伴侶が参加している社交の面を任される予定だから。レオ曰く、『カイは人好きのするタイプだから適任だ』とのこと。まぁ適材適所ってやつだな。でも逆に『あんまり見られたり触られたりするのは嫌だ』とも言って葛藤していた。
「あ! 明日、俺お茶会行くから午後いないよ。ごめん言い忘れてた。」
就寝前にソファだらだらしている時にふと思い出して、慌ててレオに明日の予定を伝える。
「え、そうなの? 仕事少ないから、午後から休みにしようと思っていたのに。」
「うっそぉ……えぇ~~……」
別に、忙しすぎて最近休みが全然なかったとかそういうわけでもないんだけど。でもやっぱり、休みって聞くと『一緒にいられる!』ってなっちゃうからさ。でも明日はなぁ……ドタキャンとかナシだしなぁ……。
「そんな顔しないの。仕方ないでしょ。」
「そりゃそうだけど……。」
「でも俺も寂しいから、送り迎え行くよ。」
「えっ、いいのか? ほんと?」
一気に期待で胸が膨らむ。行き帰りの馬車って、一人だとすること無さすぎるし、レオのことばっか考えちゃって余計寂しくなったりするから、この申し出はすごく嬉しい。
「うん。嬉しい?」
「! 嬉しい……! ありがとうレオ!」
「あぁ~……可愛い……」
頭に顔に首に、キスの雨が降る。レオの甘やかしっぷりが増している気がするけど、俺も満更ではない。レオの甘やかし方は、愛されてるっていうのがわかるから満たされるんだ。
「っふふ……くすぐったい! もーやりすぎでしょ!」
「そう? 全然足りないんだけど。」
まぁ、そんなこんなでレオの仕事もそこそこ軌道に乗って上手くやっている。
◆
「おまたせ、行こうか。」
「ん、遅い。」
「ごめんね。」
馬車の扉が閉められて、ゆっくりと動き出す。今日は曇り空だ雨降らないといいけど。
「今日はベルタ嬢に呼ばれてるんだっけ?」
「そうそう。久しぶりだな~元気かな。」
ベルタ嬢とは、あの件以降は一回会っただけだ。なんだかんだと忙しくしていたら時間ばかりが過ぎていた。前回会った時は特にあの件を引きずっているようなことはなかったけど、元気にしているかな。
「最近お茶会多いね、結構招待されてる?」
「あーそうだな……式までに六件はあったかな。」
「無理しないで断っていいんだからね?」
「無理はしてないし、そもそもこれが俺の仕事だからさ。食ってばっかで太りそうなのが嫌なだけで、それ以外は辛くはないよ。」
「運動なら夜してるから大丈夫じゃない?」
「おっさんみたいなこと言う……。」
レオと話しながら揺られる馬車の時間は、いつもよりも早く感じた。あっという間にベルタ嬢の家に着くと、レオが先に降りてエスコートをしてくれる。手を預けると、きゅっと握ってくれるのが嬉しいんだよね。
「また迎えに来る。楽しんでね。」
「うん、行ってきます!」
頬にキスをされて送り出される。レオに手を振ってフィンツィ家の使用人について行くと、ベルタ嬢が出迎えてくれた。
「カイト様! お久しぶりですわ!」
「久しぶり! 変わりはないですか?」
弾けるような笑顔で出迎えてくれたベルタ嬢に安心した。元気そうでよかった。
「少し……変わったことがあった……かもですわ。」
「えっ、何かあったんですか?」
「その……婚約者ができましたの。」
何かと思った! 思い出したりして体調崩すとかじゃなくて本当に良かったし、めでたいなぁ!
「本当ですか! おめでとうございます! またぜひ紹介してくださいね。」
「カイト様のお式に一緒に行く予定ですの。お時間合えばぜひ!」
「そうなんですね。話せるといいんだけどな……。」
領地でこじんまりとした式にするつもりだし、話すくらいなら出来そうだけど。当日になってみないと何とも俺も予想が付きにくい。話せたらラッキーぐらいに思っておいた方がいいかな。
それから、他にも招待されていた面々と挨拶を交わしてお茶会が始まった。俺は相変わらず遠慮なくスイーツを楽しみながらお茶を啜る。……で、やっぱりめっちゃ見られる。スイーツ男子、みたいなのっていないんだな本当に……。
そして、こうやって社交の場に顔を出しているとすごく感じることがある。
ラヴィが輿入れする前にしていたお茶会に、俺も混ぜてくれていたんだけど、その時の方たちからも招待が来ていて。ラヴィはきっと、俺の交友関係のためにああして俺を混ぜていてくれたんだなって。それに気づいたら、ラヴィの優しさに涙が出そうになる。
俺はこれから本格的に社交界に足を踏み入れなければならないけど、彼女がくれた出会いを大切にしたいし、俺もこれから出会う人を大切にできたらいいな。
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