異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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084 コーヒーです 1

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 ここは飛行島のコテージです。

 朝食が終わりました。
 いまマオにミルクをあげています。
 かわいいです。もふもふです。至福の時です。

 昨日は、猫耳亭で朝から晩まで、カレーを作っていました。忙しかったです。

 ザックさんの話では、妹夫婦が宿で働くのは間違いないと確信しているそうです。

 食堂のメニューは当分の間、次のようにするそうです。

朝食
 調理パン(オープンサンドや揚げパンなど)
 飲み物 (カフェオレまたはミルクココア)

昼食
 日替わりワンプレートランチ1種類
 カレーライス(数量限定)

夕食
 日替わりセットメニュー1種類
 カレーライス(数量限定)

     *

 それと、女神ローラからスマホに連絡があり、カレーライスを絶賛していました。
 ついでに、わたしを拉致しようとした貴族がその後どうなったのか聞きました。
 貴族は、この惑星の裏側にある大陸に転移、言葉が通じず、途方に暮れているそうです。

 えげつないです。

     *

 そろそろ異世界ツアーを再開したいところですが、気がかりがひとつあります。

 ミルクの需要増加と共に、コーヒーの需要も増えています。
 現在コーヒーの在庫を持っているのはわたしだけです。

 コーヒーの仕入れルートを確保する必要があります。

 それでは、出かけます。

『転移』


*    *    *


 ここはグンマー帝国、リューキの街です。
 わたしは、教会敷地の目立たない場所に転移しました。
 この街に来るのは、1週間ぶりです。チョコレートを作った教会です。

 今回わたしは髪を隠すためにツバの大きな帽子をかぶっています。
 黒髪の使徒と騒がれないためです。

 わたしは千里眼で自分の姿を見てみました。
 この制服にカプリーヌは似合いませんね。

 人がたくさんいます。服装から見て地元の人ではありませんね。
 これが聖地巡礼というものでしょうか。
 礼拝堂の近くには、出店もあります。

 わたしは、執務室がある建物に向かいました。
 建物の入口には虹のアーチがあります。以前には無かった装飾です。

 今日ここに来たのは、この教会の司祭ソフィさんと助祭のクララさんに会うためです。
 建物の中に入り、廊下を歩いていくと執務室の前に女性騎士が立哨りっしょうしています。
 いやな予感がしますが声をかけました。

アンナ「アンナといいます。ソフィさんにお会いできますか?」
騎士 「軽々しく、使徒様の名をかたるな不届き者。
    この場を立ち去れ」(大声)

 予感が的中しました。どうしましょう。
 扉が開きました。

クララ「アンナ様?!」
アンナ「クララさん、こんにちは」

 わたしはカプリーヌを取って収納しました。
 帽子の中にまとめていた髪が広がり揺れます。
 わたしは、いつものミニハットを頭につけました。

 女性騎士はひざまずき、わたしに謝罪しました。

騎士 「大変な失礼をしました。お許しください」

 部屋から女性が出て来て、女性騎士の横で同様に跪きます。

ソフィ「猊下げいか

 げいか? 偉い人ですよね。

猊下 「部下の非礼は、わたくしの不徳の致すところです。
    何卒なにとぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。使徒様」

 わたしのような小娘に対して、丁寧すぎですよ。

アンナ「謝罪を受け入れます。二人とも立ってください」

猊下 「心より感謝いたします。使徒様」
騎士 「ありがとうございます。使徒様」

 女性騎士は泣いています。

ソフィ「アンナ様、お入りください」

クララ「お飲物を用意します」
アンナ「飲み物は持参しました。カップを4つお願いします」
クララ「はい」

ソフィ「ご紹介します。テルマ教皇猊下です」
テルマ「お会いできて、光栄です。使徒様」
アンナ「初めまして。アンナと呼んでください」
テルマ「はい。アンナ様」
ソフィ「お座りください」

 わたしは席に着きました。なんだか気まずいです。

アンナ「なにか重要な話をされていましたか?」
テルマ「今日はお忍びで来ています。いま女神様や使徒様・・・
    アンナ様のお話を聞いていたところです」
アンナ「都合も考えず、いきなり来てしまって、すみません」
テルマ「いいえ。お気遣いは無用です」

     *

アンナ「わたしがここに来た理由はこれです」

 わたしは小皿を出しました。上にはコーヒー豆が数個乗っています。

アンナ「これをご存知ですか。」
ソフィ「り豆ですか。」
アンナ「いいえ、豆ではありませんが、
    わたしはコーヒー豆と呼んでいます」
ソフィ「コーヒー、初めて聞く名前です」
テルマ「私もです」

クララ「カップをお持ちしました」

 わたしは別の小皿を出しました。上には赤い実、コーヒーチェリーが数個乗っています。

アンナ「これは焙煎する前のものです。これをご存知ですか」
クララ「これは・・・すみません、名前は知りませんが、
    子供の時に食べたことがあります」
アンナ「これはどこで売っていますか?」
クララ「売っているところは、見たことがありません。
    食べるところがあまりないので、
    売り物にはならないと思います」

 やはりそうですか。



 わたしはドリップコーヒーのセットを出しました。
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