異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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206 修学旅行初日です 14

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 ここは飛行島のコテージです。

 A組はダイニングで、B組はテラスで夕食です。

全員 「いただきます」

 ぱくぱく・・・

 わたしは料理の説明をしています。皆さん食べながら・・・たぶん聞いています。

加藤 「焼きたての平たいパンが美味しい」
志村 「僕は黒パンが気に入りました。ちょっとくせがありますが、
    風味がいいです」
高木 「フィンランド料理は初めて食べました。どれも美味しいです」

加藤 「サラダも美味しいです。この赤と黄色の野菜は何ですか?」
アンナ「赤いのはビーツです。ボルシチに入れる野菜です。
    黄色いのはジャガイモです。他の料理に使ったジャガイモとは
    別の品種です」
高木 「変わった食材を食べるのはいいですよね。普段の生活では
    ありきたりの料理を食べているので、新鮮な感じがします」
加藤 「普段食べるものって、マンネリ化しますよね」
高木 「料理を食べるだけでも、異世界に来た甲斐があります」

     *

加藤 「男子がもうおかわりしてる」
高木 「昼間に試食や買い食い、おやつも食べたのに食欲ありますよね」
志村 「高校生は食べ盛りです」

     *

 先生方はデザートを食べています。

高木 「このタルト、美味しい」
加藤 「美味しいですよね。甘さ控えめで、あっさりしていて
    食べやすいです」
アンナ「このタルトは、村で作ったヨーグルトを使っています」
加藤 「そう言えば、あの村は乳製品の種類が多かったですね」
志村 「高木先生、街と村の見学は、どうでしたか?」
高木 「カルチャーショックの連続でした」
志村 「僕も下見のときは、そうでした」
加藤 「 ww ですよね」
高木 「街、村、人、暮らし、文化、どれも驚きでした。
    異世界を修学旅行先に選んだのは大正解です」

     *

 食事が終わりました。

アンナ「ごちそうさまでした」
全員 「ごちそうさまでした」

 食器類は生徒がクリーン魔法できれいにしてくれます。
 わたしはアイテムボックスに収納するだけです。楽で助かります。

アンナ「このあと、19時から、女子が大浴場を利用します。
    男子は20時からです。ご注意ください。
    尚、シャンプーとせっけんはありません。
    服と体はクリーン魔法できれいにしてください」

アンナ「それから今夜は星空きれいです。外で自由にながめてください」

 早速、生徒達は外に向かいます。

志村 「僕たちも行きましょう」

 わたしも先生と一緒に外に出ます。

     *

高木 「星がこんなにたくさん、きれい・・・
    まるで宝石箱をひっくり返したみたい・・・
    えっ、月が二つ?」
加藤 「驚きですよね」
志村 「僕たちも下見のときは驚きました」

アンナ「写真を撮りましょう」
志村 「暗いけど大丈夫ですか?」
アンナ「大丈夫です。並んでください」

 わたしはアイテムボックスからカメラを出しました。
 光魔法で照明も作ります。

アンナ「撮ります」

 カシャ。

 私は液晶画面を先生に見せます。

高木 「星も写っています」
志村 「よく撮れていますね」
アンナ「撮影データは最終日に差し上げます」
志村 「ありがとうございます」

加藤 「生徒も夜空を見て喜んでいますね」
アンナ「生徒の写真も撮ってきます」
志村 「お願いします」

 わたしは生徒達に声をかけて、写真を撮りました。

     *

 19時を過ぎたので、加藤先生と高木先生は|小《》・浴場に向かいました。
 利用時間は生徒達と同じです。

 わたしはコテージに戻り、大浴場に向かいます。

 わたしは今、あることを警戒しています。それは・・・
 のぞきです。
 女湯の覗き、修学旅行あるあるです。すでに手は打ってあります。
 浴場は、外から見えないように結界を張ってあります。
 お風呂に入りながら景色を楽しむことが出来ませんが、仕方がありません。

 大浴場の入口では、陽子さんが立哨りっしょうしています。
 先生が入る小浴場は内側から鍵がかかるので、心配いりません。

 大浴場の前にきました。

アンナ「陽子さん、どうですか?」
陽子 「男子数人がうろうろしながらこちらを時々見ていますが、
    今のところ大丈夫です」

 いま浴場前の廊下は、男子がたくさん歩いています。明らか不自然です。バレバレです。

 大浴場に二人の女子が入ろうとしています。
 男子の視線が大浴場に入口に集まります。
 ですが中を見ることは出来ません。
 廊下から浴場が丸見え、そんな設計にはしていません。残念でした。

 わたしは念のため、浴場の周囲を千里眼で監視しています。
 窓の外では男子数人が覗きを試みています。
 小浴場の入口では、男子が扉をこじ開けようとしています。
 無駄です。

 いま体操服を着た一人の女子が大浴場に入るところです。女子? 違います。男子です。

アンナ「男子は20時からです」
男子 「ばれた」

 走って逃げて行きました。
 胸の形が不自然だったので鑑定をしたところ、詰め物でした。しかも長髪のカツラです。
 女湯を覗くために、カツラまで用意していました。油断もすきもありません。

アンナ「陽子さん、変装する男子もいます。気をつけてください」
陽子 「はい」

 窓の外にいる男子はまだ覗きをあきらめていません。
 その情熱と根性は、勉強と部活に生かしてください。

     *

 もうすぐ20時になります。
 大浴場の前には、たくさんの男子がいます。
 腕時計で時間を確認している男子もいます。

 カウントダウンが始まりました。

男子「・・・・・・5・4・3・2・1・0」

 男子たちは、急いで大浴場に入っていきました。
 女子が残っていないか、期待していたようです。
 女子がいないことは、千里眼で確認済みです。残念でした。

アンナ「陽子さん、もういいですよ。お疲れ様でした」
陽子 「はい」

 女子の入浴時間は終わりました。ひと安心です。
 わたしと陽子さんは、ダイニングにいるマオのところに向かいます。
 ふとリビングを見ると男子数人がゲームをしています。
 それと、小さな女の子がいます。



 幼女ローラです。
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