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2章 婚約と新たな火種
謝罪
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次の日、俺はマリア王女様を説得(慰める)することにした。
カナリア王妃様からは「明後日でもいいのよ」と言われたが、今一番辛いのはマリア王女で、少しでも早くその気持ちを消すのが大事だと俺は思ったために、行くことにした。
コンコン
「誰……」
力のない声でそう質問してきた。
「マリア王女様、アーマンです。入っていいですか」
「……いいわよ」
「失礼します。お久しぶりーーではないですね」
部屋の中は真っ暗でマリア王女様の顔もよく見えない。
「アーマンくんお家に帰ったんじゃないの……」
「アルバーン国王陛下から指示を出されたナザリーさんから話を聞きて飛んできたんですよ。」
「そう……」
「少し僕とお話しませんか」
「……」
そう聞いたが、マリア王女からの返事はなかった。
「何も返事を返してくれないなら、返事が返ってくるまで部屋から出ませんからね」
そう言い、部屋の中にあった椅子に座ると、真っ暗で何も見えないがマリア王女がいる方向へ視線をずっと向けてこう続けることにした。
「マリア王女様、僕は王城から家に出ていく時、マリア王女様と喧嘩別れして今の状態になっていることを、すごく後悔しています」
「……」
「あの時、喧嘩別れせずに仲良くなっていれば今とは違ったかもしれないと……もし、王城に残っていればマリア王女様をこんな目に合わさずに済んだのかもしれないと……」
「違う! アーマンくんは悪くない! 悪いのは魔族だし、その時に勝手な行動をした私だよ!」
「違います。悪いのは僕です! 魔族を呼び寄せてしまったのも僕! その時その場にいなくてマリア王女様を傷つけたのも僕!」
「……」
「僕は自分自身が情けなくて情けなくて仕方ないです。婚約者すらも守れない自分がとても恥ずかしいです……」
「……」
「僕はマリア王女様の婚約者として失格なのかも知れません。僕とマリア王女様は出会わない方が良かったのかもしれません。」
「なんで……なんでそんな事言うの! 私は! アーマンくんに出会うことが出来て良かった! アーマンくんと婚約することが出来た時ほど嬉しいことは無かった! それなのに……アーマンくんは私と出会ったことがそんなに後悔してるの?」
「マリア王女様と出会えたことに後悔などしている訳ありません! 僕だって嬉しかった! 今までこんなに自分が幸せなんだってことに気がついた! それを教えてくれたマリア王女様と出会ったことなど後悔するはずがありません! ですが……今の自分はマリア王女様に対する罪悪感でまともに顔を合わせることが出来ません。」
「それならなんで……私の部屋に来たの?」
「マリア王女様には嘘をついてもバレると思いますので素直に言いますが罪滅ぼしになればと」
「アーマンくんは悪くないって言ってるのに頑固なんだから」
「それはお互い様です。とにかく部屋から出てきてください。出てきてくれれば僕にできることならなんでも聞きますから」
「何でも?」
「僕に出来ることなら」
「なら今度アーマンくんのお家に招待して」
「はい」
「あと食べる時アーンして」
「はい」
「もっと王城に来る日を増やして」
「はい」
「それからマリアって呼んで」
「はい……え? 今なんて言いました?」
「だから、私のことをマリアって呼んでって言ったの!」
「それはちょっと……」
「何でも言う事聞いてくれるんじゃないの」
「はい……」
「それからそれから」
「まだあるんですか!」
何でも聞くなんて言わずに何か一つだけいうことを聞くにすれば良かったと後悔した。
「うーん。思いつかない」
「ないですね! ならその事を叶えるためにもまず部屋から出ましょう!」
「うん!」
やっと部屋から出てくれると思い扉を開けて出ていこうとしたらマリアが服を掴んできた。
「どうしたんですか」
「ちょっと怖いから服握ってていい?」
そうか。いくら部屋から出てくれるとはいえまだ恐怖がなくなった訳では無いのを忘れていた。
「服を掴むとシワになっちゃうんで困りますかね……その代わり手を握って行きましょうか」
「うん!」
掴まれるとこまると言った瞬間シュンとしたが、手ならいいと言った時、すごく笑顔になってくれた。
そして一緒にカナリア王妃とアルバーン国王陛下がいる部屋に向かった。
「失礼します」
ドアをノックし部屋の中に入るとカナリア王妃が突っ込んできてマリアを抱きしめていた。
「ごめんなさいね。怖い思いさせちゃって」
「お母様……」
「マリアすまなかった。大事な時に守ることが出来なくて」
「お父様……」
アルバーン国王陛下はカナリア王妃とマリアを包み込むように抱いて謝っていた。
「マリア……」
「お母様なんですか」
「あなた二日くらい風呂入っていないせいか臭いますよ……」
「風呂はいってきます!」
マリアは臭うと言われるとダッシュで風呂場の方に向かって走っていった。
カナリア王妃様からは「明後日でもいいのよ」と言われたが、今一番辛いのはマリア王女で、少しでも早くその気持ちを消すのが大事だと俺は思ったために、行くことにした。
コンコン
「誰……」
力のない声でそう質問してきた。
「マリア王女様、アーマンです。入っていいですか」
「……いいわよ」
「失礼します。お久しぶりーーではないですね」
部屋の中は真っ暗でマリア王女様の顔もよく見えない。
「アーマンくんお家に帰ったんじゃないの……」
「アルバーン国王陛下から指示を出されたナザリーさんから話を聞きて飛んできたんですよ。」
「そう……」
「少し僕とお話しませんか」
「……」
そう聞いたが、マリア王女からの返事はなかった。
「何も返事を返してくれないなら、返事が返ってくるまで部屋から出ませんからね」
そう言い、部屋の中にあった椅子に座ると、真っ暗で何も見えないがマリア王女がいる方向へ視線をずっと向けてこう続けることにした。
「マリア王女様、僕は王城から家に出ていく時、マリア王女様と喧嘩別れして今の状態になっていることを、すごく後悔しています」
「……」
「あの時、喧嘩別れせずに仲良くなっていれば今とは違ったかもしれないと……もし、王城に残っていればマリア王女様をこんな目に合わさずに済んだのかもしれないと……」
「違う! アーマンくんは悪くない! 悪いのは魔族だし、その時に勝手な行動をした私だよ!」
「違います。悪いのは僕です! 魔族を呼び寄せてしまったのも僕! その時その場にいなくてマリア王女様を傷つけたのも僕!」
「……」
「僕は自分自身が情けなくて情けなくて仕方ないです。婚約者すらも守れない自分がとても恥ずかしいです……」
「……」
「僕はマリア王女様の婚約者として失格なのかも知れません。僕とマリア王女様は出会わない方が良かったのかもしれません。」
「なんで……なんでそんな事言うの! 私は! アーマンくんに出会うことが出来て良かった! アーマンくんと婚約することが出来た時ほど嬉しいことは無かった! それなのに……アーマンくんは私と出会ったことがそんなに後悔してるの?」
「マリア王女様と出会えたことに後悔などしている訳ありません! 僕だって嬉しかった! 今までこんなに自分が幸せなんだってことに気がついた! それを教えてくれたマリア王女様と出会ったことなど後悔するはずがありません! ですが……今の自分はマリア王女様に対する罪悪感でまともに顔を合わせることが出来ません。」
「それならなんで……私の部屋に来たの?」
「マリア王女様には嘘をついてもバレると思いますので素直に言いますが罪滅ぼしになればと」
「アーマンくんは悪くないって言ってるのに頑固なんだから」
「それはお互い様です。とにかく部屋から出てきてください。出てきてくれれば僕にできることならなんでも聞きますから」
「何でも?」
「僕に出来ることなら」
「なら今度アーマンくんのお家に招待して」
「はい」
「あと食べる時アーンして」
「はい」
「もっと王城に来る日を増やして」
「はい」
「それからマリアって呼んで」
「はい……え? 今なんて言いました?」
「だから、私のことをマリアって呼んでって言ったの!」
「それはちょっと……」
「何でも言う事聞いてくれるんじゃないの」
「はい……」
「それからそれから」
「まだあるんですか!」
何でも聞くなんて言わずに何か一つだけいうことを聞くにすれば良かったと後悔した。
「うーん。思いつかない」
「ないですね! ならその事を叶えるためにもまず部屋から出ましょう!」
「うん!」
やっと部屋から出てくれると思い扉を開けて出ていこうとしたらマリアが服を掴んできた。
「どうしたんですか」
「ちょっと怖いから服握ってていい?」
そうか。いくら部屋から出てくれるとはいえまだ恐怖がなくなった訳では無いのを忘れていた。
「服を掴むとシワになっちゃうんで困りますかね……その代わり手を握って行きましょうか」
「うん!」
掴まれるとこまると言った瞬間シュンとしたが、手ならいいと言った時、すごく笑顔になってくれた。
そして一緒にカナリア王妃とアルバーン国王陛下がいる部屋に向かった。
「失礼します」
ドアをノックし部屋の中に入るとカナリア王妃が突っ込んできてマリアを抱きしめていた。
「ごめんなさいね。怖い思いさせちゃって」
「お母様……」
「マリアすまなかった。大事な時に守ることが出来なくて」
「お父様……」
アルバーン国王陛下はカナリア王妃とマリアを包み込むように抱いて謝っていた。
「マリア……」
「お母様なんですか」
「あなた二日くらい風呂入っていないせいか臭いますよ……」
「風呂はいってきます!」
マリアは臭うと言われるとダッシュで風呂場の方に向かって走っていった。
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