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こぼれ話

久々ににゃんこに会いに行く!

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 さてさてみなさん、前にシロが拾ってきた白猫のことを覚えてますか? シロは覚えてます。
 実はあれから何回か会いに行ってるんです。もちろんパパに連れられて。

 忙しい時期も過ぎてパパにも時間ができたので、久々ににゃんこに会いに行くことになった。

「シロ~お着替えするぞ~」
「は~い」

 にゃんこに会いに行く日はちょっと綺麗なワンピースを着させられる。

「よ~し、かわいいぞ」
「えへへ」

 ぐりぐりとパパに頭を撫でられる。


 にゃんこに会いに行く日はクロとエンペラーに気付かれないようにコッソリと出ていく。二人に見つかっちゃうと行かせてくれないからね。
 パパと手を繋いで歩いていく。王城のすぐ近くにそのお家があるから徒歩で行けるのだ。

 にゃんこを引き取ってくれたおじいちゃんとおばあちゃんのお家はとても大きい。さすが殿下のお知り合い。
 門番さんに大きい門を開けてもらい敷地内に入る。そして豪華な玄関をくぐった。

「おじいちゃんおばあちゃんこんにちわ~!」
「あらいらっしゃいシロちゃん。ブレイクも」
「よく来たな」

 二人に頭を撫でられる。この二人をおじいちゃん、おばあちゃんと呼んでいるのは本人達に熱望されたからだ。

「に~」
「!」

 走ってやってきた白猫がシロの足に擦りついてきた。

「シルキーも待ってたのよ~」
「シルキーひさしぶり~!」
「にぃ~」

 あの白猫はシルキーと名付けられ、すくすくと成長している。抱っこするとその重みで一層成長を感じる。

「ん~! シルキーはもうすぐ大人だねぇ。シロ追い抜かされちゃった」
「シロはまだ子どもでいい」
「そうよ」
「そうだ」

 おお、一斉にお子様コール。

「さぁ、立ち話もなんですしお茶にしましょう。シロちゃんにはココアを入れるわね」
「ありがとうおばあちゃん!」
「うふふ」

 シルキーを抱っこしたままいつも通されるお部屋に向かった。シルキーはご機嫌そうに喉をゴロゴロと鳴らしてる。

 おじいちゃんとおばあちゃんは動物が大好きで、このお屋敷にはいろんな動物がいる。どういう躾けをしたのか分からないけど、変異種でもなんでもないトラが普通に廊下を歩いてたのを見た時は驚いた。隣にいた黒猫の毛繕いしてたし。食べちゃうんじゃないかと思ってドキドキした。

 ソファーに座ってシルキーを膝に乗せると、動物達が寄ってきた。トラにベロンとほっぺを舐められる。あとは黒猫三毛猫カワウソ、さらに犬も寄ってくる。

「あらあら、シロちゃんモテモテねぇ」
「うむ」
「えへへ」

 おじいちゃんとおばあちゃんも座る。パパも私の隣に座った。

「最近あんまり来てくれなくてこの子達も寂しかったみたいねぇ」
「仕事が忙しかったので。シロも頑張ったんですよ。シロ、お話できるか?」
「うん!」
「あら、それはぜひ聞きたいわ。ねぇあなた」
「ああ」

 それからはココアを飲みながら最近会ったことをお話しした。









「―――あらあら、シロちゃんとのお話が楽しくて時間が経っちゃったわねぇ」
「そうだな。こいつらがソワソワし始めている」

 確かにおじいちゃんの足元にいるワンコ達がキラキラした目をして足踏みを始めてる。シルキーもうずうずしてるみたい。

「シロ、いつもみたいに庭で遊んでくるか?」
「うん! 行ってきます!」

 三人に手を振って部屋を出た。
 お外で遊びたい動物達も私の後について来る。シルキーは抱っこしてほしいみたいだから抱っこして連れてく。




「みんな~いくよ~」

 シュンシュンシュンシュンッ

 動物が多いのでボールやら木の枝やらをいっぱい投げる。このお家の子はイヌ科以外も全力で取りに走るから不思議。




***




 ブレイク達三人は窓から遊ぶシロを眺めていた。

「毎回お邪魔してすみません」
「いいのよ、私達もシロちゃんと会えて嬉しいもの。ねぇ?」
「ああ、それに、うちの孫がよく世話になってるみたいだからな」

 二人は微笑んだ。本当にシロを可愛がっていることがブレイクにも伝わってくる。

「いえ、むしろ殿下には返しきれない程の恩があるくらいですよ」

 ブレイクの言葉に二人は苦笑いした。

「あれはあなたが恩を感じるべきことではないと思うけれど」
「いえ、それでも、俺は殿下に感謝してますよ」


 ブレイクは窓の外で動物達にのしかかられて巨大毛玉になる娘を見て、頬を緩ませた。





 





「ただいまー!!」
「しろ……!」
「ガウッ!!」
「ぅわあ!」

 帰宅早々、シロはクロとエンペラーの襲撃にあった。
 クンクンクンクンクンクンクンクン

「しろ……他のいぬのにおいがする……ねこも……」
「ガウウウウ……」
「ぴぃぃぃぃぃ」

 浮気を問い詰める二匹からシロは逃げ惑う。

「ハハハハハ」
「ブレイク」

 慌てる娘を見て笑うブレイクの肩を殿下が叩いた。

「おお殿下、来てたのか」
「シロに会いにな。お祖母様の所に行ってきたのか?」
「ああ。シロはまさか『おじいちゃんとおばあちゃん』が先王陛下と王太后だとは思ってないがな」

 ブレイクがそう言うと殿下はクスクス笑った。

「あの二人は貴族社会で過ごし過ぎて人間嫌いだから、シロを気に入ったのは意外だったよ」


「シロがあの二人の正体に気付いた時の反応が楽しみだ」




 
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