天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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二章

エンペラーとおねんね!

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「エンペラ~! おねんねするよ~」
「ガウッ!」

 お風呂上りでパジャマに着替えたシロはベッドに飛び乗った。その後からブレイクがバスタオルを持って歩いていく。

「こらシロ、まだ髪の毛乾かしてないだろ」
「う?」

 水滴を纏ったシロの髪をブレイクがタオルで包んだ。そしてポンポンと濡れた髪の毛を拭いていく。
 シロっは目を瞑って大人しくそれを受け入れる。

「―――はい、おしまい」
「パパありがと~」
「どういたしまして。せっかく買ったんだから寝る前にエンペラーにブラッシングしてやったらどうだ?」
「うん!」

 シロは新しく買ってきたブラシを手に持ってエンペラーに抱き着いた。

「ふふっ、エンペラー今日は石鹸の匂いがするねぇ」
「ガウッ!」

 今日はシロ達と一緒に寝るにあたって、昼間にエンペラーはお風呂に入れられたのだ。エンペラーもシロと寝るために大人しく現れた。おかげでエンペラーのフワフワになった毛皮からは清潔な石鹸の匂いが漂ってくる。
 シロは鼻をモフモフに埋めてスンスンと匂いを嗅いだ後、エンペラーのブラッシングを始めた。

「シロがふわっふわにしてあげるからね~」
「ガウッ!」

 シロはカリスマトリマーになりきってエンペラーの毛をブラッシングしていった。





「ほら、もう寝るぞ」
「は~い」

 シロの絶妙なブラッシングでエンペラーはもう既にうとうとしている。半分しか開いていない目はしきりに閉じたり開いたりを繰り返している。

「エンペラーかわいっ」
「シロも負けないくらいかわいいから大人しくおねんねしような」
「は~い」

 シロはブレイクによって後ろから抱っこされ、ベッドの真ん中に横たえられた。ブレイクはエンペラーも同じように抱っこすると、シロの横に寝かせる。そしてブレイクは自分もシロを挟んでエンペラーと反対側に寝ころんだ。
 ブレイクは足元の方にどかされていた掛布団をシロやエンペラーの首元まで掛ける。

「パパ見て、エンペラーもう寝ちゃった」
「ほんとだな」

 シロに頭を撫でられているエンペラーは既に寝息を立てている。若干ピンク色の舌が出ているのが大変かわいらしい。

「かわいいねぇ」
「そうだな」

 シロは横向きに眠っているエンペラーの腹毛に顔を埋めて抱き着いた。
 ブレイクは自分の腹にいつもの重みがないことに違和感を覚える。

「今日はパパのお腹には乗ってくれないのか?」
「今日はエンペラーの日なの」
「残念だなぁ」

 ブレイクはそう言って微笑み、背中からシロを抱きしめた。

「えへへ、あったかい」
「あったかいなぁ」

 二人と一匹の体温で布団の中は心地よい温かさになった。

「ねぇパパ、今度またエンペラーと寝てもいい?」
「いいけど、もう一匹のワンコが拗ねるぞ?」
「そしたらクロも一緒に寝ればいいの」
「クロと一緒に寝んのか~……」

 ブレイクとしては微妙な気持ちだ。
 クスクスと笑うシロのお腹をブレイクはポンポンする。

「ん~、ぽんぽんされたら眠くなっちゃうの」
「いいんだよ。まだまだ赤ちゃんなんだから夜更かしすんな」
「ん~……」

 何分もしないうちにシロに眠気がやってきて、エンペラーと同じように寝息を立て始める。
 ブレイクも寝ようと目を閉じたが、何者かの気配を感じてガバッと上体を起こす。

「…………おい、お前何してんだ」
「……エンペラー……ずるい……」

 扉の前にはクロがぬぼぉと立っていた。

「勝手に人の部屋に忍び込んでくんな」
「……」
「……おいなにしてんだ」
「……だきょう……」

 シロとエンペラーの足元は空いているので、クロは勝手にベッドに上がってそこに丸くなった。

「おい俺の足を枕にするんじゃない」
「……かたい……」
「……まあいいか」

 ブレイクは諦めて寝ころび、そのまま目を閉じた。
 文句を言ったわりに、ブレイクの口は弧を描いていたのだった。






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