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2.~王家と四人の騎士~

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 世の中には色々な人間がいて、様々な人生を送っている。千差万別、十人十色。
世の片隅で泣く者があれば、高らかに笑う高貴な者達もいた。
 
 ここフランシア王国の首都・サンブルク城にも、色とりどりの人生を送る人々がいた。

新緑の五月のある日、城の大広間に王国が誇る四人の騎士達が呼び出されていた。
真紅の鎧の竜騎士セシル、クールな白鳥騎士マクベス、巨体の鋼鉄騎士ビゴー、紅一点の薔薇騎士シャネル。魔法こそ使えないものの、いずれも極めて優れた武人達であった。

 「もう間もなく、国王陛下がお見えになります」

小間使いが去ってしばしの後、フランシア国王・リカルドが姿を現した。一人息子のエリアル王子と、その妹のアリス姫を引き連れて。

 「今日そなたらに集まってもらったのは他でもない、最近異変が噂されていた北小島の神殿についてだ。」

片膝をついて拝謁している四騎士達に、王は続ける。

 「王宮の魔導師らの話しによれば、間もなく神殿地下深くに封印されている魔王と、その下僕どもが復活するやも知れぬらしい……」

その場にいる者は皆、一様に不安げな表情を浮かべている。

 「そこで、万が一の時はそなたらに存分に活躍してもらわねばならぬ。無論、余も戦支度は常に整えてあるが………」

 「お任せ下さい陛下。ひとたび戦いともなれば、全力を尽くします!」

熱血漢の若造、セシルが意気揚々と答えた。

 「うむ。期待しておるぞ。」と国王。

王の横でアリス姫がセシルを見て微かな笑みを浮かべた。セシルは姫と視線が合うと、少し照れ臭そうに赤面した。その様子を横目で見ていたマクベスらは、口角をあげてニヤつくのだった。

御前を去り、城の長い廊下を歩いてる時、マクベスがセシルに言った。

 「国の為にガンバらねばな。」

「俺はアリス姫の為に頑張るよ。(笑)」

そんな会話を聞いて、女騎士シャネルは
やれやれという感じで微笑むのだった。

一部の人々を除いた国民の大多数は、この時起こりつつあった大災難を知らずに過ごしていた……王国の存亡を賭けた歴史に残る戦いの幕開けを………
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