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19.~終末の女神、そして……~
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「ハァハァハァ……!!!私、もう走れない…」
マリアはルネと手を繋ぎながら走って逃げていたが、体力の限界を迎えていた。
すぐ背後から、怒り狂った邪悪な赤い竜の影が迫っている。どこへ逃げても、この大悪魔を倒さねば人類が滅亡させられるだけである。
分かってはいるが、ルネはまだどこかに気弱さと臆病さとを抱えていた。
遂に赤い竜は二人に追い付くと、マリアの体を左手で掴んで握り締めた。
ギリギリギリ………
「マリアちゃん!!マリアちゃんを離しなさい!」
ルネが叫ぶと、赤い竜はマリアの体を地面に叩きつけた。華奢な人形の様な肢体も悲鳴を上げている……
マリアは息も絶え絶えに、
「………いつもゴメンね…何も出来なくて…私も魔法が使えたら良かったのにね……」
「そんな事ないよ、マリアちゃん……だって私の友達だもん。だからそんな事……」
刹那の静寂の中で、二人は瞳を交わす…
ルネの言葉を聞くと、マリアは血を流しながら
永遠に目を閉じた。しかし、その顔は安らぎに満ちていた。天使の様なマリアの顔に、ルネの涙が滴り落ちる。
「私はもう逃げない………。」
ルネは静かに立ち上がると、両手を胸の前で組み天に祈った。
赤い竜はそんなルネに向かって怒り狂いながら地を走り襲いかかった。
ギャアギャアと鳴き声をあげながら、傷口から血を吹き出して凄い速さで迫る。
「神様……私に力と勇気と加護をお与えください」
ルネの果てしなく清らかで聖なる祈りは、
天上界からの奇跡をもたらした。
彼女の背後から立ち昇る白金のオーラは、やがて神話の神の姿へと変化し、遥か頭上の天空から聖なる光を赤い竜めがけて降り注ぐ。
ギャアアアアア!!!断末魔の絶叫がこだますると、
煌めく聖なる光の中で天に吸い上げられた
古えの赤い竜は、生命を奪われ絶命し、
青い海の中へと落ち、大きな波しぶきがあがる。
白目を剥いて傷だらけの邪悪な赤い竜は、ピクリとも動かず深い深い海底へと沈んでいった。
総てを飲み込む深海の深淵へと………
かくして戦いは終わった。しかし、奇跡はまだ終わらなかった。
鉛色の空を覆っていた雲が流れてゆき、水色の空が見えてきた。そよ風が優しくルネの頬を撫でる。
涙交じりの顔で空を見上げると、そこに黄金のオーラで出来た女神の姿があった。
「ルネ……あなたのお陰で邪悪なる者はすべて祓われました。褒美に願い事を叶えてあげましょう……」
女神の安らぎのオーラは、傷ついた全てを癒した。まるで聖母に抱かれた赤子のような、果てしなき安堵と心地良さに満たされる。
「願い事…私の願いは、この戦いで失われた善良な人々を生き返らせてください……」
そう言った瞬間、ルネはまばゆい光に包まれて意識を無くした。
「ん…………うぅ…ここは?」
ルネが目を覚ますと、辺り一面黄金色の草原だった。ほのかな甘い香りと、心地良い穏やかなそよ風が吹いている。
「ルネ………」
優しげな女性の声に振り向くと、先程のオーラの女神が実体として立っていた。
「あの………女神様?」
「ルネ、あなたの願いを叶えてあげます。果てしなく清いその魂は、もはや魔女ではなく、
聖なる乙女……さぁ、この宝玉を……」
光輝く女神はルネに、キラキラ光る宝石の様な玉を渡した。
「………これは?」
「あなたが神の祝福を受けて聖別された証です。そして真の幸せの意味を見出せるあなたなら、きっと地上を楽園に出来るでしょう…」
「ありがとうございます、女神様……!」
何故かとめどなく涙が溢れる……
本当の幸せの意味…その答えはルネの心の中にある……
そして…………
マリアはルネと手を繋ぎながら走って逃げていたが、体力の限界を迎えていた。
すぐ背後から、怒り狂った邪悪な赤い竜の影が迫っている。どこへ逃げても、この大悪魔を倒さねば人類が滅亡させられるだけである。
分かってはいるが、ルネはまだどこかに気弱さと臆病さとを抱えていた。
遂に赤い竜は二人に追い付くと、マリアの体を左手で掴んで握り締めた。
ギリギリギリ………
「マリアちゃん!!マリアちゃんを離しなさい!」
ルネが叫ぶと、赤い竜はマリアの体を地面に叩きつけた。華奢な人形の様な肢体も悲鳴を上げている……
マリアは息も絶え絶えに、
「………いつもゴメンね…何も出来なくて…私も魔法が使えたら良かったのにね……」
「そんな事ないよ、マリアちゃん……だって私の友達だもん。だからそんな事……」
刹那の静寂の中で、二人は瞳を交わす…
ルネの言葉を聞くと、マリアは血を流しながら
永遠に目を閉じた。しかし、その顔は安らぎに満ちていた。天使の様なマリアの顔に、ルネの涙が滴り落ちる。
「私はもう逃げない………。」
ルネは静かに立ち上がると、両手を胸の前で組み天に祈った。
赤い竜はそんなルネに向かって怒り狂いながら地を走り襲いかかった。
ギャアギャアと鳴き声をあげながら、傷口から血を吹き出して凄い速さで迫る。
「神様……私に力と勇気と加護をお与えください」
ルネの果てしなく清らかで聖なる祈りは、
天上界からの奇跡をもたらした。
彼女の背後から立ち昇る白金のオーラは、やがて神話の神の姿へと変化し、遥か頭上の天空から聖なる光を赤い竜めがけて降り注ぐ。
ギャアアアアア!!!断末魔の絶叫がこだますると、
煌めく聖なる光の中で天に吸い上げられた
古えの赤い竜は、生命を奪われ絶命し、
青い海の中へと落ち、大きな波しぶきがあがる。
白目を剥いて傷だらけの邪悪な赤い竜は、ピクリとも動かず深い深い海底へと沈んでいった。
総てを飲み込む深海の深淵へと………
かくして戦いは終わった。しかし、奇跡はまだ終わらなかった。
鉛色の空を覆っていた雲が流れてゆき、水色の空が見えてきた。そよ風が優しくルネの頬を撫でる。
涙交じりの顔で空を見上げると、そこに黄金のオーラで出来た女神の姿があった。
「ルネ……あなたのお陰で邪悪なる者はすべて祓われました。褒美に願い事を叶えてあげましょう……」
女神の安らぎのオーラは、傷ついた全てを癒した。まるで聖母に抱かれた赤子のような、果てしなき安堵と心地良さに満たされる。
「願い事…私の願いは、この戦いで失われた善良な人々を生き返らせてください……」
そう言った瞬間、ルネはまばゆい光に包まれて意識を無くした。
「ん…………うぅ…ここは?」
ルネが目を覚ますと、辺り一面黄金色の草原だった。ほのかな甘い香りと、心地良い穏やかなそよ風が吹いている。
「ルネ………」
優しげな女性の声に振り向くと、先程のオーラの女神が実体として立っていた。
「あの………女神様?」
「ルネ、あなたの願いを叶えてあげます。果てしなく清いその魂は、もはや魔女ではなく、
聖なる乙女……さぁ、この宝玉を……」
光輝く女神はルネに、キラキラ光る宝石の様な玉を渡した。
「………これは?」
「あなたが神の祝福を受けて聖別された証です。そして真の幸せの意味を見出せるあなたなら、きっと地上を楽園に出来るでしょう…」
「ありがとうございます、女神様……!」
何故かとめどなく涙が溢れる……
本当の幸せの意味…その答えはルネの心の中にある……
そして…………
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