巨体の猛獣アルファは、孤独な治療家を逃がさない~強姦から始まる夫婦生活~』

Aki

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5 暴君の告白、城壁の陥落

荒々しい嵐が過ぎ去った後のように、治療院の室内には二人の荒い呼気と、窓を打ち付ける雨音だけが響いていた。
広の体内にすべての熱を放ち終えた鷹也は、ゆっくりと上体を起こした。
しかし、その巨大な身体を完全に離すことはなく、広の汗ばんだ前髪を大きな手でそっと梳き上げる。先ほどまでの獰猛な獣のような振る舞いが嘘のように、その指先は酷く優しかった。

「……痛かったよな。無理やりすまなかった」

鷹也の声は低く、微かに震えていた。
事の重大さに気づいたのか、その瞳には明確な「負い目」が浮かんでいる。だが、広を見つめる視線だけは、決して逃がさないと告げるように真っ直ぐに据えられていた。

「謝るくらいなら、最初から……」

広は片手で口元を覆いながら、掠れた声で恨み言をこぼす。それでも、自分を覆い隠すように抱きしめてくる鷹也の広い胸板を押し返すことはできなかった。
鷹也は小さく息を吐き、広の頬を包み込むように触れた。

「謝るが、後悔はしてねえ。……井戸沼さん、いや、広」

突然名前で呼ばれ、広の肩がビクッと跳ねる。

「俺と付き合ってくれ。いや、俺のモンになってくれ」

鷹也の言葉は、飾り気のない、不器用なほどストレートなものだった。

「今まで、こんな風に誰かに執着したことはなかった。あんたの匂いも、俺の下で泣く声も、全部俺だけのものにしたい。……俺は、あんたに本気で惚れてる」

100kgを超える巨漢からの、独占欲と男気に満ちた重すぎる愛の告白。
広の心臓が、先ほどの快楽とは全く別の理由で早鐘を打つ。

(……俺のモンになってくれ、って)

大学生の頃、「男のくせに気持ち悪い」と突き放された記憶の残骸が、鷹也の熱い言葉によってパラパラと崩れ落ちていくのを感じた。
だが、同時に別の恐怖が広の胸をきつく締め付けた。

「……本気、ですか」

広は視線を泳がせ、ぎこちない声で尋ねた。

「俺は男ですよ。それに、もう35のおじさんです。大井さんは今まで女の人と付き合ってきたんでしょう? 男の身体なんて、珍しくて一時の気の迷いで興奮しただけで……」

広の瞳が、不安に揺れる。

「一線を超えたら、すぐに飽きるんじゃないですか……。そんなの、俺は……」

それは、孤独を愛する広にとって最大の恐怖だった。
この圧倒的な熱量にほだされて自分のすべてを委ねた後で、「やっぱり男は無理だ」と捨てられるくらいなら、最初から一人でいた方がずっとマシだ。その不安が、広の身体をこわばらせていた。
しかし、その言葉を聞いた鷹也の表情は、予想外のものだった。
鷹也は目を丸くして数秒間固まり——やがて、堪えきれないように低く喉を鳴らして笑い始めたのだ。

「……っ、ふ、くくっ……ははっ!」
「な、何がおかしいんですか……っ。こっちは真剣に……」
「いや、違う、悪かった」

鷹也は笑いを含んだまま、愛おしくてたまらないというように広の額に自分の額をコツンとすり合わせた。

「……俺はてっきり、警察呼ばれるか、二度と面見せるなって殴られるかと思ってたんだ。無理やり抱いちまったからな。だから、今日から何ヶ月もかけて、土下座でも何でもして、じわじわあんたの外堀埋めて落とす覚悟だった」

鷹也の熱い吐息が、広の唇にかかる。

「それなのに、あんたは『飽きられるのが怖い』なんて、可愛すぎる心配して俺の告白を受け入れてくれようとしてる。……こんなに嬉しいこと、俺の人生で初めてだ」
「えっ……ぁ、」

広の顔がカァッと熱くなる。「受け入れる」などと一言も言っていないのに、自分の不安の吐露が、結果的に鷹也への未練と好意を裏付けるものになってしまっていたのだ。

「飽きるわけねえだろ。こんなにすげぇ身体で、俺のこと狂わせるくせに」

鷹也の太い腕が、再び広の腰をガッチリと抱き寄せる。
その瞬間、広は自分の中に入ったままの棒が、再び硬く熱い「塊」に戻って来ていることに気づいた。

「あっ…うそ……っ。大井さん、さっき、あんなに出したのに……っ」
「嘘じゃねえよ。あんたが可愛すぎるのが悪い」

鷹也の瞳に、先ほどよりもさらに深い、真っ暗な情欲の炎が灯っていた。一度繋がったことで、猛獣のタガは完全に外れてしまったらしい。

「一時の気の迷いなんかじゃないってこと、あんたの頭の中が俺のこと以外何も考えられなくなるまで、朝までかけて証明してやる」
「ちょっ、待って、朝までなんて……っ、あ、んぅっ!」

反論する唇は、再び強引で熱いキスによって完全に塞がれた。
鷹也の手が、先ほどとは違う、余裕と底なしの溺愛を含んだ手つきで広の身体をなぞり始める。
恐怖も不安も、すべてを焼き尽くすような圧倒的な熱情。孤独だった広の夜は、この底なしの性欲と愛を持つ猛獣によって、甘く、そして果てしなく溶かされていくのだった。
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