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婚約記者会見
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しおりを挟む東京
パークハイアット東京
—凛side
15時半。
ホテルの私達の部屋にいるのは、私と淳、由美さんと飯田社長、達也君。
そして、堂本さん。
えっ??
堂本さんッ??
「では、・・・今日の簡単な打ち合わせを始めましょう」
そう言って、私達に何枚かの資料を配った。
その紙には、
1、蓮見凛の引退後、蓮見凛と上原淳の情報を得る目的で詮索し、そこで得た情報を報道機関、個人のSNS、他人に漏らさないことを誓います。
2、第3者に本日の事、2人の事を聞かれた場合も一切口外しないことを誓います。
3、今後偶然2人を見かけても、情報を得る目的で声を掛ける行為をしないことを誓います。
4、12年前に沖縄で起きた抗争事件の話を会見で発言することは一切致しませんことを誓います。
5、この誓いを破った場合、自分の今の立場と関わりのある組織が社会から排除される可能性がある事を承諾いたします。
・・・・・・・・・・・。
す・・・・凄い・・・・。
堂本さんはそれを見ながら、
「報道機関の方々が集まりましたら会見会場とは別の部屋で説明会を行います。まずこの誓いについて・・・・・」
これって堂本さんが考えてくれたのかな??
凄いな・・・・。
でもこの・・・12年前の事件の事・・・。
やっぱり、この話は突っ込まれてしまうもの??
顔を上げ淳を見ると、淳は笑って私の手を握った。
「先ず、とにかくお2人の今後を追わない事・・・この会見前にこういう事があったという話、全てを口外しないよう約束をして頂き、それが出来ない方は会見会場に入室はお断りいたします。そして、あくまでも会見は今回の婚約と凛さんの引退についてのみ!昔の話を持ち出したり、horseの話を持ち出す事は禁止いたします」
おお・・・・。
「でもー・・・・その、昔の話はこの説明時に聞いてきそうっすよね??」
達也君が言った。
確かに・・・・あの事件の件は、私が淳と最初にスクープされた時も聞かれたし・・・多分皆普通に聞いてくるんじゃ・・・・・。
すると、堂本さんが持っていた鞄をテーブルに置き・・・・そのかばんの中から何通もの手紙を出した。
「実は、うちの父が・・・あの事件直後から田代先生のお嬢様を見舞っておりまして・・・その後も手紙をマメにやり取りさせて頂いていたようです・・・・」
え・・・・・・・・。
私がまた顔を上げると、淳も知らなかったようで顔を上げた。
堂本さんのお父様が?
「父は、淳の亡き父親と生前親しくさせて頂いており・・・淳やその弟の湊に関しては父親代わりと思いあの事件があった直ぐ後から被害者のお嬢様のケアに勤しんでおりました。そして、お嬢様に今回の件をご相談した所、このような返信を頂きました」
田代先生の・・・あの・・・・お嬢様・・・・・。
堂本さんは1通の手紙を手に取り淳に渡した。
淳はビックリした顔でその手紙を私にも見える様に開いた。
『堂本様 お元気ですか?私はお腹の子が大分成長し毎日歩くのが大変です。でも食欲は収まらず毎日たくさん食べています』
お子さん・・・・/////////
結婚したんだ・・・・・。
『上原淳さんと蓮見凛さんがまたお付き合いを再開され、お2人もやっと結ばれる時が来るのですね。私の心を救ってくださった上原淳様のお力になれるならば私の事はそのまま記者の皆様にお話をしてください。上原様と蓮見様の事は以前から存じており私自身も大好きでしたので、協力出来れば幸いでございます』
・・・・・・・・・/////////////
あの時の、あの・・・小さな子が・・・・。
胸がきゅっと熱くなって、少し込み上げるものがあった。
封筒を見ると、住所は・・・・小浜?
小浜島にいるの????
「琴音様には承諾を頂きました。名前や個人を特定できることは一切話さず、・・・・なぜ・・・・・あの事件が起きたのか、あの時若かった彼等は・・・報復をした。その事実だけをお伝えするつもりです。」
堂本さんはそう話し、更に・・・・。
「ただその点で特に何も質問が無ければ・・・この話をすることもないでしょう・・・・」
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