転生して竜の親になりました~でも、スライムなんですけど?!~

桜月雪兎

文字の大きさ
7 / 80
竜親、町興し編

三話 託された卵

しおりを挟む
 いきなり竜に言われたことが私には分からなかった。それもそうだろう、自分の卵の親になってくれと言われたのだ。
 預かるもしくは一時的に守ると言われた方がまだ分かる。
 いや、守りきれないだろうけど。
 だって、スライムだよ、私は。
 最弱モンスターに守れるものがあるのだろうか?わたしはないと思う。
 まぁ、それは片隅においておくとして、なんで親なのだろう?
「何でか、それは…ワシの寿命が関係するんじゃ」
 寿命ですか?
「そうじゃ。ワシはあと数時間の命なのじゃ」
 みじかっ!あっ、ごめんなさい。
「いや、良い。その通りなのじゃからな」
 だから親なんですね。
 ですが、同族の方には頼めないんですか?
「頼めるほどの良い奴はおらんのじゃよ」
 おぅ、なんたることやら。
 それは、悲しいですね。
 まぁ、別に私で良いなら良いですけど……私、スライムですよ?
 それに会ったばかりで大事な卵任せて良いんですか?
「良い、大事だからこそ信じられる者に託したいのじゃ。お主はワシにとって信じるに足る者なのじゃよ」
 そう言ってもらえると嬉しいです。大事に育てますね。
「あぁ。頼んだぞ」
 はい………って、どうしたら良いのですか?
 育て方が少しでもわからないと。
「ふむ、それはそうじゃな…………よし、荒業じゃがワシがお主の一部になろう」
 私の一部に?どういうことですか?
「荒業も荒業じゃ。お主のスキルとワシの魂を統合する」
 マジで?!
 そんなことが出来るんですか?
「スライムであるお主だから出来るのじゃ。スライムの固有スキル吸収でワシの魂をお主が取り込む、そしてワシの意思がお主と一緒になることを望み、それが作用すれば出来る筈じゃ」
 もし、作用しなかったら?
「お主の糧にはなろう」
 まさかのDEAD OR ALIVE!!
 でも、貴方ならたくさんの知識がありますよね?
 それも知りたいし、試してみましょうか?
「ふむ、良い心がけじゃな。お主のため、ワシの子のため。ワシの力をお主にやろう」
 ありがとうございます。頑張ります。
「あぁ、そうじゃ!お主に名をやろう。その方がワシの子との繋がりが強くなる」
 名前ですか?
 でも、生前の名前が………………………あれ?なんだったけ?
 ええええええええええ?!!お、思い出せない?!な、なんで?
「予想じゃが、お主の生前の名はその世界での名じゃ。こちらの世界では使えないんじゃろう」
 まさかの名無しだ!
 ええ~~~、それ名乗る気満々だったのに。
「残念じゃったな。さっきも申したがワシが名をやろうか?」
 あっ、できればお願いします。
 名無しはさすがに嫌なので。
「よかろう。では、今日からお主はティアじゃ、ティア=ドラグーン。話した感じがメス……いや、おなごの様じゃしな」
 もしかしなくても生前は女です!しかも最初、メスって言いましたね!!
「ま、まぁ~。ワシは竜じゃしな」
 …………………そうでした。すみません。
「いや、良いのじゃよ。そういうお主……ティアが良いのじゃからな」
 ありがとうございます!そういえば、貴方は?
「ワシの名はドラグーンじゃ。ワシの名をワシの子との繋がりにした。ようは家族を表す姓じゃな」
 おっと!こっちにも姓を名乗る風習が?
「いや、多くはない。それは主に人間たちの考えじゃ。じゃが、魔物でもより大事なものとの繋がりとして名乗ることがある」
 なるほど……ってことは魔物は普通名前は?
「持っておらんよ。名を与えることは大きな意味をもつ。絶対な繋がりじゃ。それより強いのが姓を共用することじゃ」
 つまり、これから生まれてくるこの子に私が名前を与え、姓も共用するのは魔物にとって完全な繋がりのようなものになるってことですか?
「そうじゃ」
 それはすごい!!大事に、大事に育てますね!
 っていうより、一緒に育てましょうね?
「っっ!そうじゃな、一緒に育てよう」
 私の言葉に驚いたあとドラグーンは嬉しそうに破顔しながら答えた。
 というより私にはそう感じた。
 多分、私が人間だったら分からなかったかもしれない。
 竜の顔はあまり変化がないのだ。
 それでも私がドラグーンに対してそこまで思えたのは私が魔物でドラグーンに名前をもらって繋がったからなのかもしれない。
 まぁ、結局どうしてかは分からないのだからそれで良いと思う。
 ここまできて分かるかもしれないが私は存外、大雑把な所があるのだ。
 今さらだから仕方ないよ、治しようがないんだから。
「ホッホッホッ、誰しも個性はある。それだけじゃ」
 ですよね!
 そろそろ、始めますか?
 なんだか、ドラグーン…弱ってる気がします。
「名づけとは力を使う。ワシの寿命が切れかかっていたのが原因じゃ。しかし、これでワシの魂はティアに吸収される」
 ………………。
 私は軽率な行動をとったのかもしれない。
 そう思い沈んでいるとドラグーンに呆れられた。
 なぜだ、真剣に悩んでいるのに。
「何故じゃと、それは下らん考えじゃからじゃよ。ワシがそうしたいと思ってしたことをティアが悩むな」
 でも、その力を使わなければまだ生きれたでしょ?
「ただ、時間の赴くままに流され生きるのと自身の思いで次に託すのとティアならどっちを選ぶ?」
 ……次に託す方かな、ただ生きるよりは。
「ワシもそうじゃ。じゃからそうしたのじゃ。分かったら、ワシの魂を吸収するのじゃ」
 そう言ったドラグーンの体が白く輝きその光が散らばっていきだした。
 それに伴ってドラグーンの姿は薄く透明になるように消え始めた。
 私はその光こそが魂なのだとなんとなくわかった。
 だから、あわててその光をこぼさないように大きく膨らんでドラグーンを覆い包んだ。
 とっさの行動だったが大きな竜であるドラグーンの全体を包み込むことができたことに私自身が驚いた。
 このスライムの体はどこまでのことができるのか不思議になった。
「ティアよ、ありがとう」
 いいよ、ドラグーン。私も貴方に会えて嬉しかったし、それにこれからはずっと一緒だよ、卵の子とも。
「そうじゃな、ずっと一緒じゃ」
 そう言ってドラグーンは私の中に消えて行った。
 私にはこれがただの別れじゃないことがよくわかった。
 何故ならドラグーンが消えるのと同じように私の中が温かく、力に溢れたのだ。
 それこそがドラグーンが私に吸収された証なのだろうと私は思った。
≪ドラグーンの魂がスキルとの統合を望んでいますね。本当に良いのですか?≫
 私はアステリアさんの声に頷いた。
 アステリアさんは嬉しそうに頷き返してくれた。
≪ドラグーンの魂とスキルの統合をしますね。ドラグーンの魂は『知識者』との統合しました。これで私の役目は終わりですね≫
 え?
 どういうこと?
≪後は『知識者』と統合したドラグーンに託します。ティアさん、新しい生を楽しんでください≫
 あ、はい。
 ありがとうございました。
 無事にスキルとの統合は完了したみたいだけど、アステリアさんとはお別れになってしまった。
≪……ふむ、ティアはアステリア様に導かれておったのじゃな≫
 え?
 そのしゃべり方はドラグーン?!
 な、なんで?
≪先程もアステリア様が仰っておったじゃろ。今まではアステリア様が何も分からんティアに説明していたようじゃが、その役をワシに譲ってきたのじゃ≫
 ってことはこれからはドラグーンが教えてくれるの?
≪そうなるのぅ。アステリア様に感謝じゃな≫
 感謝しています。
≪そうじゃな。ワシが知りえないことも『知識者』が分かっておるからワシがそれをティアに教えよう≫
 そっかぁ。
 本当に一緒に過ごせるね。
 私もドラグーンと居れるから安心だよ。
≪ホッホッ、ティアに足りん所はワシが補おう≫
 ありがとう!
 こうして私とドラグーンは一つの体に共存するような形になった。
 すでにドラグーンは上位スキル『知識者』となったようだけど、私にとってドラグーンはドラグーンなので、そのままそう呼ぶことになった。
 そして私はドラグーンから託された卵を見た。
 ドラグーンが大きかった割に卵はそこまででもない。
 むしろ、小さいかもしれない。
 だってその大きさがどう見ても片手で抱えられそうなほどだ。
 いうなれば犬や猫ほどの大きさしかない。
 まぁ、卵にしては大きいのだけど。
 どうしようか、これ。
≪『袋』に収納すればよい。異空間と言えどティアの中じゃ。魔素も十分あるようじゃし、大丈夫じゃよ。まぁ、子育ての拠点は欲しいところじゃがな。ワシは寿命が少なかった故にこの魔素の多い洞窟にいただけじゃ≫
 そうなんだ。じゃあ、さっそく『袋』に収納、収納。
 大事な卵だもんね、私たちの家族。しっかりと育てよう。
 そのためにも確かに子育ての拠点はいるよね。
 いくら何でもこんな洞窟じゃあ、私も嫌だし。
 うん、外に出よう!最適な場所に最適な環境を作ろう!
≪それが良いじゃろうな≫
 ドラグーンと話し合いというか、確認し合って、私はこの洞窟を出て子育てに最適な場所を探すことにした。

 それはそうと、アステリア様?
≪なんじゃ、分かっておらんのか?アステリア様はこの世界の主神である女神じゃよ≫
 まさかの大物でした!
 本当に感謝しています!

====================================================


ステータス

名前…ティア=ドラグーン【前世:桜坂雫】
個体名…スライム
個体固有スキル…自己再生、吸収、分離、分解
能力スキル
 上位スキル『知識者』(ドラグーン統合)…思考加速、収集『袋』(使用済スペース:3%)、解析、隔離、擬態
 魔力感知、水操作、火炎操作、炎化、性別変換、意思伝達
攻撃スキル…水砲(Lv,1)、火炎弾(Lv,1)
魔法スキル
 元素魔法(火)Lv,1…火球、火壁
 元素魔法(水)Lv,1…水球、水鉄砲
耐性…痛覚無効、物理攻撃無効、熱変動耐性、毒耐性、麻痺耐性、急降下・急上昇恐怖耐性

擬態習得スキル…竜(火炎吐息、咆哮、飛行)【New】

********************************************

やっと本作の本命が起動しました。
これからも温かく見守ってあげてください。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

処理中です...