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竜親、町興し編
四十一話、オーガの里③
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ソーガたちの名前を言ったことでちょっとざわついた里の入り口から私たちは里長の後について行った。
私たちが里長さんに連れてこられたのは里長さんの家の執務室のようなところだった。
大きな机を挟んで私たちと里長さんは対面している。
「先ほどは若い衆が申し訳ない」
『いえ、気にしてないわ……私は』
そうなの、私『は』気にしていないんだけど。いまだにいら立ちを隠そうとしない面々がここに居るのよ。
本人が気にしていないのにねぇ。
まぁ、可愛いからいいんだけど。
「そのようだ。名を持つ方に対する対応ではない。それに名を名乗らなくてもあなたが特殊個体であることは分かる」
『そうね。ドラグーンに言われたわ。【スライム】で意思疎通ができる者はいないと。私は生まれた時に最初にあったのがドラグーンだから』
「そうだったか。いや、本当に申し訳ない」
『いいのよ。それで本題に入りたいんですけど?』
このままいけばいつまでも謝りそうな里長さんに本題に入ってもらった。
たぶん私たちをここに呼んだのはこれ以上騒ぎを大きくしないためだろうからね。
「そうだな。我が里では確かに道具を作っているが分かるように魔物で人間や亜人たちと交流している者は極少数だ。よって金は必要ない」
『分かったわ』
「こちらとしては材料を提示してもらえれば、必要な物を作ろう」
『物々交換。主に鉄鉱石でってことね』
「察しが良くて助かる」
『幸い、鉄鉱石の類は持っているわ。でも、樹木を切る斧すらない状態だから柄の部分の木材は提供できないの』
「木材は必要ない。ここでも十二分に取れる」
『分かったわ』
私は「袋」の中にある鉱石類を確認した。
なるべく状態の良い物は手元の置いておきたいけど、それなりの物を提示する必要がある。
それに私が持っているのは『マダカル鉱石』、『エルディ鉱石』、『魔鉱石』の三種類。
『マダカル鉱石』と『エルディ鉱石』は上質だけど、加工が難しいらしいから、ここはちょっと勿体なくても、魔素を含んだ鉄鉱石である『魔鉱石』を提供しておこう。
今後も取引する可能性があるしね。
私は一度カルマに分量を見てもらいながら里長さんの前に『魔鉱石』を出した。
『欲しいものは斧が20本、鍛冶道具が2セット、大工道具が2セット、鋏や調理道具も5セットほど欲しいの。これぐらいあれば足りるかしら?』
「いや、これぐらいでいい。十分だ」
カルマに分量を見て貰っているし、間違いはなかった。
里長さんはその場で質の検査までしたようだ、抜け目ないなぁ。
まぁ、見られて困るようなものは出してないけどね。
状態は良かったらしく、ちょっと里長さんの表情がほころんだ。
『そう、どれぐらいあればできるかしら』
「既存の物でもいいならある程度はすぐに用意できるが」
『そうね。なるべく早く欲しいから私は既存でもいいけど』
私がそう言いながらガルドやカルマたちを見ると全員が了承のようで頷いた。
「お嬢がいいなら問題ない」
「ああ、鍛冶場さえできれば俺が何でも作ってやる」
『そうね。既存でいいわ。出来上がるのを待つほどの時間もないから』
「そうか、すぐに用意させよう」
『ありがとう』
里長さんはそういうと手元にあった呼び鈴を鳴らした。
そうすると外で控えていたであろう秘書のようなオーガの男性がきた。
里長さんは私たちの注文分を告げて、すぐに用意するように言うと秘書さんは心得たようで、一礼するとそのまま出て行った。
うん、よく教育された人だなぁ、なかなか、ああはならないよ。
「いや、いい取引だったと思う」
『私もよ』
私と里長さんは互いに微笑み合っていた。
うん、いい買い物をしたなぁ、この後何もなければ本当にいいんだけどね。
私がそう思いながらソーガたちがいるであろう方向に目をやった。
私たちが里長さんに連れてこられたのは里長さんの家の執務室のようなところだった。
大きな机を挟んで私たちと里長さんは対面している。
「先ほどは若い衆が申し訳ない」
『いえ、気にしてないわ……私は』
そうなの、私『は』気にしていないんだけど。いまだにいら立ちを隠そうとしない面々がここに居るのよ。
本人が気にしていないのにねぇ。
まぁ、可愛いからいいんだけど。
「そのようだ。名を持つ方に対する対応ではない。それに名を名乗らなくてもあなたが特殊個体であることは分かる」
『そうね。ドラグーンに言われたわ。【スライム】で意思疎通ができる者はいないと。私は生まれた時に最初にあったのがドラグーンだから』
「そうだったか。いや、本当に申し訳ない」
『いいのよ。それで本題に入りたいんですけど?』
このままいけばいつまでも謝りそうな里長さんに本題に入ってもらった。
たぶん私たちをここに呼んだのはこれ以上騒ぎを大きくしないためだろうからね。
「そうだな。我が里では確かに道具を作っているが分かるように魔物で人間や亜人たちと交流している者は極少数だ。よって金は必要ない」
『分かったわ』
「こちらとしては材料を提示してもらえれば、必要な物を作ろう」
『物々交換。主に鉄鉱石でってことね』
「察しが良くて助かる」
『幸い、鉄鉱石の類は持っているわ。でも、樹木を切る斧すらない状態だから柄の部分の木材は提供できないの』
「木材は必要ない。ここでも十二分に取れる」
『分かったわ』
私は「袋」の中にある鉱石類を確認した。
なるべく状態の良い物は手元の置いておきたいけど、それなりの物を提示する必要がある。
それに私が持っているのは『マダカル鉱石』、『エルディ鉱石』、『魔鉱石』の三種類。
『マダカル鉱石』と『エルディ鉱石』は上質だけど、加工が難しいらしいから、ここはちょっと勿体なくても、魔素を含んだ鉄鉱石である『魔鉱石』を提供しておこう。
今後も取引する可能性があるしね。
私は一度カルマに分量を見てもらいながら里長さんの前に『魔鉱石』を出した。
『欲しいものは斧が20本、鍛冶道具が2セット、大工道具が2セット、鋏や調理道具も5セットほど欲しいの。これぐらいあれば足りるかしら?』
「いや、これぐらいでいい。十分だ」
カルマに分量を見て貰っているし、間違いはなかった。
里長さんはその場で質の検査までしたようだ、抜け目ないなぁ。
まぁ、見られて困るようなものは出してないけどね。
状態は良かったらしく、ちょっと里長さんの表情がほころんだ。
『そう、どれぐらいあればできるかしら』
「既存の物でもいいならある程度はすぐに用意できるが」
『そうね。なるべく早く欲しいから私は既存でもいいけど』
私がそう言いながらガルドやカルマたちを見ると全員が了承のようで頷いた。
「お嬢がいいなら問題ない」
「ああ、鍛冶場さえできれば俺が何でも作ってやる」
『そうね。既存でいいわ。出来上がるのを待つほどの時間もないから』
「そうか、すぐに用意させよう」
『ありがとう』
里長さんはそういうと手元にあった呼び鈴を鳴らした。
そうすると外で控えていたであろう秘書のようなオーガの男性がきた。
里長さんは私たちの注文分を告げて、すぐに用意するように言うと秘書さんは心得たようで、一礼するとそのまま出て行った。
うん、よく教育された人だなぁ、なかなか、ああはならないよ。
「いや、いい取引だったと思う」
『私もよ』
私と里長さんは互いに微笑み合っていた。
うん、いい買い物をしたなぁ、この後何もなければ本当にいいんだけどね。
私がそう思いながらソーガたちがいるであろう方向に目をやった。
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