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第一章
10
カイルはターニャ女医の方を向いた。
「ターニャ女医、アイリスは?」
「目を覚まされたのなら、これよりはスープやお粥などの柔らかい物からゆっくりと食べてもらってください」
「ああ」
「すぐに沢山は食べれないでしょうから、食べれるだけ食べてもらい、足りない分は栄養の点滴で」
「そうか」
「はい」
「それでは引き続き頼む」
「はい」
カイルはターニャから今後の方針を聞いた。
そして、カイルがいなくてもアイリスが治療を受けれるようにカイルはアイリスとターニャ女医の顔合わせをしたのだ。
アイリスが先程ターニャ女医の問診に答えなかったのも命令でも強制でもなかったからだ。
「アイリス、このターニャ女医はアイリスの体を治してくれるお医者様だ」
「お、医者、様」
「そうだよ。大丈夫、アイリスを傷付ける事はないよ」
「はい」
「しっかり治そうね。大丈夫、私も様子を見に来るから」
「はい」
アイリスはターニャ女医の方を初めて向いた。
アイリスが自ら視界に入れるのはカイルだけだ。
それは子爵家でも同じだった。
アイリス自ら誰かを視界に入れることはなかった。
呼ばれたり、無理矢理向かされたりしていたのだ。
だけど、カイルは最初に視界に入り込んだ。
物理的にも精神的にも。
カイルがアイリスの心を動かした。
その時からアイリスにとってカイル特別な存在なのだ。
そのカイルが『大丈夫』だと、『傷付けない』と言うので、アイリスはそれを信じた。
だから、アイリスの視界は広くなり他の人が入るようになった。
カイルはそれを匂いで理解した。
アイリスの心が動き、視界が広がった。
それは少しずつアイリスが人になっている証拠でもあった。
「アイリス、私の両親を紹介しよう」
「りょ、うしん?」
「ああ、父上、母上」
「ああ」
「ええ」
カイルに呼ばれ、ルドルフたちは近付いた。
そして、アイリスの視界に2人は入った。
カイルはアイリスの状態を見つつ、匂いでも判断しながら両親を紹介した。
「こちらが私の父、ルドルフ・ヴァルファス公爵だよ」
「アイリス嬢、私がカイルの父親だよ」
「カイル、様の、父…親?」
「ああ、そうだよ」
ルドルフは優しく微笑んだ。
その顔はカイルに似ていた。
「それからこちらが私の母、リリーシア・ヴァルファス公爵夫人だよ」
「アイリスちゃん、私がカイルの母親よ。可愛い娘が出来て嬉しいわ」
「カイル、様、の母親?」
「ええ、そうよ」
アイリスは『両親』と言う存在は恐ろしいものだと認識していた。
子爵家でアイリスはプラスの感情を感じたことがなかった。
しかし、ヴァルファス公爵家に来てから大切にされている。
アイリス自身の感じていた『両親』と言う存在とかけ離れた『両親』を感じとり、アイリスは少し戸惑った。
「大丈夫だよ。私の両親はアイリスを傷付けないし、大切にしてくれるよ」
「ああ、勿論だとも。私の息子の嫁になるのだ。私のたちの娘みたいなものだよ」
「ええ、可愛い娘よ。もう心配はないのよ」
ルドルフたちは優しく微笑みながらカイルの手の上からアイリスの手を握った。
それは宝物を掴むような優しさで。
カイルの手の上からだったのはアイリスが急に触れられたことで怖がらないように配慮したからだ。
その優しさが分かったアイリスは少し目を見開いてから安心したように目を閉じた。
「はい、よろしくお願いいたします」
それだけを言ってまた眠りについたのだ。
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「ターニャ女医、アイリスは?」
「目を覚まされたのなら、これよりはスープやお粥などの柔らかい物からゆっくりと食べてもらってください」
「ああ」
「すぐに沢山は食べれないでしょうから、食べれるだけ食べてもらい、足りない分は栄養の点滴で」
「そうか」
「はい」
「それでは引き続き頼む」
「はい」
カイルはターニャから今後の方針を聞いた。
そして、カイルがいなくてもアイリスが治療を受けれるようにカイルはアイリスとターニャ女医の顔合わせをしたのだ。
アイリスが先程ターニャ女医の問診に答えなかったのも命令でも強制でもなかったからだ。
「アイリス、このターニャ女医はアイリスの体を治してくれるお医者様だ」
「お、医者、様」
「そうだよ。大丈夫、アイリスを傷付ける事はないよ」
「はい」
「しっかり治そうね。大丈夫、私も様子を見に来るから」
「はい」
アイリスはターニャ女医の方を初めて向いた。
アイリスが自ら視界に入れるのはカイルだけだ。
それは子爵家でも同じだった。
アイリス自ら誰かを視界に入れることはなかった。
呼ばれたり、無理矢理向かされたりしていたのだ。
だけど、カイルは最初に視界に入り込んだ。
物理的にも精神的にも。
カイルがアイリスの心を動かした。
その時からアイリスにとってカイル特別な存在なのだ。
そのカイルが『大丈夫』だと、『傷付けない』と言うので、アイリスはそれを信じた。
だから、アイリスの視界は広くなり他の人が入るようになった。
カイルはそれを匂いで理解した。
アイリスの心が動き、視界が広がった。
それは少しずつアイリスが人になっている証拠でもあった。
「アイリス、私の両親を紹介しよう」
「りょ、うしん?」
「ああ、父上、母上」
「ああ」
「ええ」
カイルに呼ばれ、ルドルフたちは近付いた。
そして、アイリスの視界に2人は入った。
カイルはアイリスの状態を見つつ、匂いでも判断しながら両親を紹介した。
「こちらが私の父、ルドルフ・ヴァルファス公爵だよ」
「アイリス嬢、私がカイルの父親だよ」
「カイル、様の、父…親?」
「ああ、そうだよ」
ルドルフは優しく微笑んだ。
その顔はカイルに似ていた。
「それからこちらが私の母、リリーシア・ヴァルファス公爵夫人だよ」
「アイリスちゃん、私がカイルの母親よ。可愛い娘が出来て嬉しいわ」
「カイル、様、の母親?」
「ええ、そうよ」
アイリスは『両親』と言う存在は恐ろしいものだと認識していた。
子爵家でアイリスはプラスの感情を感じたことがなかった。
しかし、ヴァルファス公爵家に来てから大切にされている。
アイリス自身の感じていた『両親』と言う存在とかけ離れた『両親』を感じとり、アイリスは少し戸惑った。
「大丈夫だよ。私の両親はアイリスを傷付けないし、大切にしてくれるよ」
「ああ、勿論だとも。私の息子の嫁になるのだ。私のたちの娘みたいなものだよ」
「ええ、可愛い娘よ。もう心配はないのよ」
ルドルフたちは優しく微笑みながらカイルの手の上からアイリスの手を握った。
それは宝物を掴むような優しさで。
カイルの手の上からだったのはアイリスが急に触れられたことで怖がらないように配慮したからだ。
その優しさが分かったアイリスは少し目を見開いてから安心したように目を閉じた。
「はい、よろしくお願いいたします」
それだけを言ってまた眠りについたのだ。
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