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第一章
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「とりあえず、俺は王城に向かう。みんなにはここを守って欲しい。ここには俺の可愛い弟妹と大切な使用人たちがいる。今回の件で疲れて眠っているから起こさないようにな」
『『『『『『はい』』』』』』
うん、いい返事だ。
俺は王城にとぶ魔方陣の方に向かった。
奥の一角の扉に入るとそこは床に幾何学模様の魔方陣が設置されているだけの部屋だ。
この魔方陣に乗り、魔力を流すと決められた場所にとぶ。
この魔方陣はクラウドの部屋に繋がっている。
「……いってらっしゃいませ、主人よ」
「ラルク、すぐに戻るからあとは任せたぞ……頼りにしている」
「っ!はい!」
俺を見送りに来たラルクは不満そうな顔をしている。
俺は苦笑してラルクに後の事を任せた。
俺が頼りにしているのを知ると嬉しそうに破顔する。
顔が良いので華がある。
俺は苦笑しながら、クラウドの部屋にとんだ。
俺がクラウドの部屋にある魔方陣につくとちょうど顔を上げたクラウドと目があった。
クラウドは俺だと分かると破顔した。
クラウドの笑顔より俺は目元が気になって仕方無かった。
クラウドの目の下に隈が出来ていたのだ。
また、懲りずに何徹もしやがったな、このバカ王子は!
俺は大股でクラウドの元に向かった。
「カイト、こんな時間に会いに…」
「何徹目だ」
「え?」
「その目の下の隈。少なく見積もっても三日、四日は寝てないな」
「カ、カイト?」
「そんなに徹夜しないといけないぐらい忙しかったのか?それとも逃げ回っていたのか?」
「……逃げました」
「はぁ~~~」
「うっ」
俺がため息をつくとクラウドは怒られた子どものように身を縮めた。
俺にバレれば怒られるのが分かっている筈なのにクラウドは仕事から逃げようとする。
別に仕事が出来ないわけでも、嫌いなわけでもない。
やる意味も知っているし、誰のためになるかも分かっている。
なのにだ。
なのに、何で逃げるのか俺には分からない。
分からないがクラウドは根詰めてでも最後にはやるのだから、俺はため息しかでない。
本題を忘れるところだった。
「仕事は手伝えないが出来たら構ってやるから頑張れ」
「っ!ああ!!」
「それと、緊急事態なので国王様や王妃様に謁見を頼めないか?」
「ん?お前ならこんな時間でも快く会ってくれるだろ?」
「緊急事態だって言っただろ。それに俺個人の問題じゃない」
「分かった。すぐに取り付ける」
クラウドは俺が真剣と言うか神妙な顔をしているのに気付いて、すぐに行動してくれた。
こう、察しも良いのだ、クラウドは。
深夜の連絡にも関わらず国王様と王妃様はすぐに会ってくれることになった。
場所は二人の部屋だったが、これだって気を使ってくれたからだろう。
あの二人は良く俺たちを自身の部屋に招待する。
それが深夜でもだ。
それだけ仲が良いと証明されている。
王城の面々は俺がこんな時間にいても不思議に思わないし、微笑ましく見られる。
今回はこれがありがたい。
要らない詮索をされないからな。
『『『『『『はい』』』』』』
うん、いい返事だ。
俺は王城にとぶ魔方陣の方に向かった。
奥の一角の扉に入るとそこは床に幾何学模様の魔方陣が設置されているだけの部屋だ。
この魔方陣に乗り、魔力を流すと決められた場所にとぶ。
この魔方陣はクラウドの部屋に繋がっている。
「……いってらっしゃいませ、主人よ」
「ラルク、すぐに戻るからあとは任せたぞ……頼りにしている」
「っ!はい!」
俺を見送りに来たラルクは不満そうな顔をしている。
俺は苦笑してラルクに後の事を任せた。
俺が頼りにしているのを知ると嬉しそうに破顔する。
顔が良いので華がある。
俺は苦笑しながら、クラウドの部屋にとんだ。
俺がクラウドの部屋にある魔方陣につくとちょうど顔を上げたクラウドと目があった。
クラウドは俺だと分かると破顔した。
クラウドの笑顔より俺は目元が気になって仕方無かった。
クラウドの目の下に隈が出来ていたのだ。
また、懲りずに何徹もしやがったな、このバカ王子は!
俺は大股でクラウドの元に向かった。
「カイト、こんな時間に会いに…」
「何徹目だ」
「え?」
「その目の下の隈。少なく見積もっても三日、四日は寝てないな」
「カ、カイト?」
「そんなに徹夜しないといけないぐらい忙しかったのか?それとも逃げ回っていたのか?」
「……逃げました」
「はぁ~~~」
「うっ」
俺がため息をつくとクラウドは怒られた子どものように身を縮めた。
俺にバレれば怒られるのが分かっている筈なのにクラウドは仕事から逃げようとする。
別に仕事が出来ないわけでも、嫌いなわけでもない。
やる意味も知っているし、誰のためになるかも分かっている。
なのにだ。
なのに、何で逃げるのか俺には分からない。
分からないがクラウドは根詰めてでも最後にはやるのだから、俺はため息しかでない。
本題を忘れるところだった。
「仕事は手伝えないが出来たら構ってやるから頑張れ」
「っ!ああ!!」
「それと、緊急事態なので国王様や王妃様に謁見を頼めないか?」
「ん?お前ならこんな時間でも快く会ってくれるだろ?」
「緊急事態だって言っただろ。それに俺個人の問題じゃない」
「分かった。すぐに取り付ける」
クラウドは俺が真剣と言うか神妙な顔をしているのに気付いて、すぐに行動してくれた。
こう、察しも良いのだ、クラウドは。
深夜の連絡にも関わらず国王様と王妃様はすぐに会ってくれることになった。
場所は二人の部屋だったが、これだって気を使ってくれたからだろう。
あの二人は良く俺たちを自身の部屋に招待する。
それが深夜でもだ。
それだけ仲が良いと証明されている。
王城の面々は俺がこんな時間にいても不思議に思わないし、微笑ましく見られる。
今回はこれがありがたい。
要らない詮索をされないからな。
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