竜王の花嫁

桜月雪兎

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第二章

46、双子の名前

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 ルドワードは悩んでいた。
 それはもちろん、先日で対面した可愛いわが子たちの名前だ。
 当初、その場にいなかったスカルディアも報告を受けて急いで会いに来てくれた。
 可愛い双子は現在アリシアと一緒に過ごしている。
 さすがに生まれたばかりで外に出れないことからアリシアは自室にて過ごすことが多くなった。
 子供たちを外に出せれるようになったら前のように温室や中庭などで過ごすことも多くなるだろう。
「竜王様」
「ディスタ」
「御子様たちの名前、まだですか?」
「今悩んでいるんだ」
「アリシア様はなんと?」
「シアは俺に任せると」
「おや?そうなんですか?」
「ああ。名前は両親からの最初の贈り物だからと」
「なら、アリシア様もお考えにならないので?」
「あ、ああ。シアはすでに考えている。シアは女の子の、俺は男の子のを担当している」
「ああ、分けられているのですね」
「そうだ」
「ならば、竜王様。頑張って下さい。国民も御子の名前を披露されるのを楽しみにしているのですから」
「そうだよなぁ」
 ルドワードは悩んでいた。
 大事な一生の贈り物だ。
 こんな風に子供のことを想って名前を付けるのかと親になってしみじみ思ったのだ。
「うん。国民を明るく幸せに導けるようないい王子になって欲しいものだ」
「そうですね」
「……そうか」
「竜王様?」
「ディスタ、決めたぞ」
「おや?悩んでいた割に早いですね」
「まぁな、これ以上悩んでもいいのは浮かばない気がするしな」
「そうですか。では、今日はここまでになさってアリシア様のもとに向かわれては?」
「ああ。すまないな」
「いいえ。お疲れ様でした」
「ああ、ディスタもな」
 ディスタは一礼して足早に去っていくルドワードを送り出した。
 その姿に苦笑しながら。
「もう、父親なんですね」

 ルドワードはアリシアと双子の待つ自室に戻った。
「お帰りなさいませ、ルド様」
「ああ、ただいま。シア、子供たち」
「いつもお疲れ様です」
「ああ。シア」
「はい?」
 ルドワードは意を決して話した。
 自分の考えた子供の名前を。
「子供の名前なんだか…」
「はい」
「マクシリアンとしようと思う」
「マクシリアン?」
「我が国で光を意味する言葉をもじった。国民たちが明るく、平和に過ごせるように導ける者になるように」
「いい名前ですね」
「アリシアは?」
「私は母国の月の女神様から頂いて、ルナンシェです」
「月の女神かぁ」
「はい。慈愛の神です。魔力は月の力に影響されることもありますので信仰としてはとても有名です」
「いい名前だな」
「はい」
 二人は双子の寝顔を眺めた。
 後日正式の双子の姿と名前が映像として、国中に放映された。
 国営用の巨大映像機が主要都市に設置されているのだ。 
 しばらくは国民主体の誕生祭としてお祭り騒ぎだった。


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