この世界と引き換えに愛を乞う

seto

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時を同じくして、オーヴァンの元へ訪れていたサイラスは急激な魔力の高まりを感じて顔を上げた。
次いでオーヴァンがガタリと席を立ち、素早く視線を窓の外へと流す。

ガッシャァァァン!!!

その瞬間、派手な雷鳴が雲ひとつない空へと鳴り響いた。

「今、のは‥‥っ」

オーヴァンの顔色が、分かりやすく青くなる。
過去にも同じ事があった。
急激な魔力の高まり。派手な爆音。カロクが魔力暴走を起こしたあの夜。
その夜とあまりにも酷似している。
あるいはあの日暴走したのはカロクではなく、魔族の方だったのかもしれない。事実がどちらにしろ、カロクの身に何かあった事には間違いない。

サイラスとオーヴァンは同時に執務室を出た。

「今ならばあの子は部屋に‥!!」

先に執務室を出たサイラスにオーヴァンが声をかける。それを後ろ手に聞き、2人はカロクの自室へと急いだ。


部屋に着いた2人は息を飲んだ。
部屋へと続く廊下の絨毯は焼け焦げ、吹き飛んだ扉の破片が散乱している。
中を覗けば、部屋を分断するように大きな亀裂が走り、その亀裂を起点に放射状に小さく短い亀裂が広がっている。弾け飛んだ壁材やら床板やらが四方八方に散乱し、絨毯や木材には小さな炎が燻っていた。
ベッドに至っては焼いた剣で切り裂いたかのように、焦げ目の残る裂傷から綿やら羽根やらが飛び出し、舞っていた。

「これはー‥」

オーヴァンが息を飲む。
だが、いち早く我に返ったサイラスが鋭く問う。

「あの子は‥!?」
「っ‥‥!!」

2人が慌てて室内へと押し入ると、ベッド脇に気を失ったキースの姿があった。

「‥なぜ、ここに?」

オーヴァンが訝しげにキースを見やる。
彼は先程最後の授業を終えて帰宅したはずだ。ローレンスからもそう聞いている。
サイラスにもそう告げると、サイラスの眉間に深くシワがよった。

「幸い、息はまだある。後で問い詰めるといい。だが今はそれよりも‥」

そう言ってサイラスはぐるりと室内を見回す。だが、部屋にカロクの姿は無い。
サッとオーヴァンの顔が青くなる。

「あの子は、どこに‥‥っ」
「しっかりしろ!! 遠くへは行っていないはずだ。探すぞ!!」

崩れ落ちそうになるオーヴァンをサイラスが叱咤する。

「あの子が行きそうな所。いつも行っていた場所。片っ端から探すぞ!!」
「‥っ、あぁ‥!!」

そう頷き合うと、サイラスとオーヴァンはそれぞれ駆け出して行った。
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