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夜遅く。王宮にサイラスとオーヴァンは揃って登城した。
王、アシュクロフトはサイラスからの報告を厳しい顔で聞いていた。魔王の器が誕生した。それも、既に7体の魔族を従えているという。明確な脅威だ。
何故もっと早くに報告できなかったと咎めたい所だが、それが宰相オーヴァンの息子だと聞くと躊躇われるのも頷ける。
「北が降りてきているこの時期に、なんと都合の悪い‥。」
アシュクロフトが嘆く。
深くため息を吐いてから、ヒタリとオーヴァンを見据えた。
「他に知っているものは?」
「我が家の家令であるローレンスが。あとは、カロク付きの双子の侍従も魔族の姿を目にしているでしょう。それがどういう意味を持つかは理解していないでしょうが。」
カロクは度々魔族達と戯れていた。
もちろん人目のない所を選んで魔族達を呼び出してはいたが、ほとんどをカロクのそばで過ごすレンとリンが、魔族の姿を全く見ないという可能性は低かった。
それを考慮して、オーヴァンはアシュクロフトに報告する。
「それと息子達にはカロクが魔族を従えた旨を話してあります。器だということはまだ伏せてはいますが。
あとは、魔力暴走を目撃した者が多数。もちろん箝口令をしきましたが、全く情報が漏れないという保証はありません。」
「そうか‥。だが、まだ幸いだと言うべきか。」
アシュクロフトは難しい顔で考え込む。
実質、カロクが器だときちんと知るものは3人。皆信用のおける者ばかりだ。
「今はまだ、この事実を公表するべきでは無いだろう。いずれは隠しきれなくなるだろうが、まだその時ではない。」
北の動きもあるしな、とアシュクロフトが言う。
「あとはー‥、オーヴァン。」
「はい。」
「その子は手がつけられぬほど、我儘ではないだろうな?」
アシュクロフトの懸念はそこだった。
肉体的にも精神的にも幼い子が、大きい力を持ってしまえばどうなる事か。それが我儘放題の子息ならば目も当てられない。オーヴァンに限って、そのような事は無いだろうが。
しかしオーヴァンが逃げるように視線を下げ、そのオーヴァンを呆れたような視線で見るサイラスに一抹の不安を覚える。
「おい‥‥」
アシュクロフトは思わず低い声が漏れる。
躊躇うオーヴァンにサイラスは軽く息を吐き出すと、今までから現在のカロクの状況を説明した。
「‥‥‥‥オーヴァンよ。」
アシュクロフトは頭を抱えたまま、オーヴァンを咎める声色でその名を呼ぶ。オーヴァンも理解しているのか、視線を伏せたまま動かない。オーヴァンとカロクの仲は、いいとまではいかないが改善傾向にはある。だがだからといって、カロクが人嫌いになっている事は間違いなかった。
「過ぎてしまった事は、もはやどうにもなるまい。あとはこれ以上その子が人に嫌悪を抱かぬように気をつけるしかないだろう。」
そう言って、アシュクロフトはため息をついた。サイラス曰く、本人自体は素直でいい子である。ならば、直ぐにどうこうする必要もないように思えた。
「魔族と引き離す事難しいのだな?」
「‥‥‥はい。」
「無理に引き離せば、魔王化する可能性が高いです。ただ本人も魔族の影響力は理解しているようですので、無理に引き離そうとしなければ今の所は問題ないかと。」
力なく答えるオーヴァンに代わり、サイラスが補足する。事実、カロクはただ平和に過ごしたいと言っていた。魔族達と共に。
それさえ叶うのならば、多少首輪を付けられる事も考慮出来るだろう。
「問題の先送りにしかならんが、今は様子を見る他あるまい。とりあえず、目下の面倒事を片付ける方が先であろう。」
そう言ってアシュクロフトはカロクの話を切り上げると、南下しつつある公国への動向について議論を始めた。
王、アシュクロフトはサイラスからの報告を厳しい顔で聞いていた。魔王の器が誕生した。それも、既に7体の魔族を従えているという。明確な脅威だ。
何故もっと早くに報告できなかったと咎めたい所だが、それが宰相オーヴァンの息子だと聞くと躊躇われるのも頷ける。
「北が降りてきているこの時期に、なんと都合の悪い‥。」
アシュクロフトが嘆く。
深くため息を吐いてから、ヒタリとオーヴァンを見据えた。
「他に知っているものは?」
「我が家の家令であるローレンスが。あとは、カロク付きの双子の侍従も魔族の姿を目にしているでしょう。それがどういう意味を持つかは理解していないでしょうが。」
カロクは度々魔族達と戯れていた。
もちろん人目のない所を選んで魔族達を呼び出してはいたが、ほとんどをカロクのそばで過ごすレンとリンが、魔族の姿を全く見ないという可能性は低かった。
それを考慮して、オーヴァンはアシュクロフトに報告する。
「それと息子達にはカロクが魔族を従えた旨を話してあります。器だということはまだ伏せてはいますが。
あとは、魔力暴走を目撃した者が多数。もちろん箝口令をしきましたが、全く情報が漏れないという保証はありません。」
「そうか‥。だが、まだ幸いだと言うべきか。」
アシュクロフトは難しい顔で考え込む。
実質、カロクが器だときちんと知るものは3人。皆信用のおける者ばかりだ。
「今はまだ、この事実を公表するべきでは無いだろう。いずれは隠しきれなくなるだろうが、まだその時ではない。」
北の動きもあるしな、とアシュクロフトが言う。
「あとはー‥、オーヴァン。」
「はい。」
「その子は手がつけられぬほど、我儘ではないだろうな?」
アシュクロフトの懸念はそこだった。
肉体的にも精神的にも幼い子が、大きい力を持ってしまえばどうなる事か。それが我儘放題の子息ならば目も当てられない。オーヴァンに限って、そのような事は無いだろうが。
しかしオーヴァンが逃げるように視線を下げ、そのオーヴァンを呆れたような視線で見るサイラスに一抹の不安を覚える。
「おい‥‥」
アシュクロフトは思わず低い声が漏れる。
躊躇うオーヴァンにサイラスは軽く息を吐き出すと、今までから現在のカロクの状況を説明した。
「‥‥‥‥オーヴァンよ。」
アシュクロフトは頭を抱えたまま、オーヴァンを咎める声色でその名を呼ぶ。オーヴァンも理解しているのか、視線を伏せたまま動かない。オーヴァンとカロクの仲は、いいとまではいかないが改善傾向にはある。だがだからといって、カロクが人嫌いになっている事は間違いなかった。
「過ぎてしまった事は、もはやどうにもなるまい。あとはこれ以上その子が人に嫌悪を抱かぬように気をつけるしかないだろう。」
そう言って、アシュクロフトはため息をついた。サイラス曰く、本人自体は素直でいい子である。ならば、直ぐにどうこうする必要もないように思えた。
「魔族と引き離す事難しいのだな?」
「‥‥‥はい。」
「無理に引き離せば、魔王化する可能性が高いです。ただ本人も魔族の影響力は理解しているようですので、無理に引き離そうとしなければ今の所は問題ないかと。」
力なく答えるオーヴァンに代わり、サイラスが補足する。事実、カロクはただ平和に過ごしたいと言っていた。魔族達と共に。
それさえ叶うのならば、多少首輪を付けられる事も考慮出来るだろう。
「問題の先送りにしかならんが、今は様子を見る他あるまい。とりあえず、目下の面倒事を片付ける方が先であろう。」
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