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誰かが遠くで叫んでいる。
響く悲鳴と怒声。鮮血が辺りに飛び散り、至る所で破壊の炎が燻っていた。双子の侍従が傷だらけで倒れているが、屋敷の騎士達は近づく事が出来ないようだ。
黒装束を纏った男達は1箇所に纏められ、カロクはそれを無表情で見下ろしている。
怯えたようにこちらを見あげる目。あらぬ方向へ曲がった手足。血だらけの顔。
その全てが、テレビの向こう側で起こっている事かのようにカロクには写っていた。
刺客は6人。
既に動かなくなっている者もいる。だがそれはただ気を失っているだけで、死んでしまった訳では無いとカロクは分かっていた。
「化け物め。」
男の1人が言う。
その顔に場違いな笑みを貼り付けて。
そうだ。こいつだ。
こいつガ、ローレンスを殺しタ。
コイツガ‥‥
「‥ぐぅ!!」
男が呻く。
気づけばその太腿に、太い氷の刃が刺さっていた。もちろんカロクが出した訳では無い。
「‥‥。」
カロクは傍らに寄り添う露草の頭を撫でた。1番小さかったはずの露草は、いつの間にか大型犬程の大きさの魚へと変貌していた。他の魔族も皆、その姿形を大きく変えている。
「ねぇ。」
カロクが単調な口調で言う。
「誰の指示?」
無感情な瞳が男を捉える。
それに合わせるように魔族達の視線が集中して、男達を威圧した。
「誰が教えるかよ。」
男がククッと笑う。
その様子に、カロクはチラリと黒鳶を流し見た。すると黒鳶はその視線を受け、シュルりとその鎌首をもたげる。その体長は、既に3mはあるだろうか。そのまま男の瞳を覗き込むかのように、もたげた鎌首が近づく。
「ぐ、ぁ‥!!」
その視線に捉えられた瞬間、男が頭を抑えて苦しみはじめた。
カロクには黒鳶が何をしているのか分からない。だが何となく、幻覚のようなものを見せているのだろうと考えていた。しかし、それでも男が口を割ることはなかった。
「黒鳶、こっち。」
埒が明かないと気がつくと、カロクはもう1人の男を指さす。この中でも比較的若く、その瞳にのる感情が消しきれていない個体だ。
「っ‥ぃ、嫌だ‥‥!! ぐぁあぁ‥!!」
傷ついた手足で何とか後ろに下がろうと藻掻くも、男は黒鳶の視線に絡め取られてしまった。その様子に、もう1人の男は舌打ちをした。
「‥‥公国だ。」
分かるだろ?、と男が言う。
口を割るのも時間の問題と考えたのだろう。男はあっさりとその背後の人物の名を上げた。
「公国。」
カロクがその名を繰り返す。
「それ以上は言えない。別に忠誠がある訳じゃないが、俺にもプライドってもんがあるからな。」
そう言って男はククッと笑った。
「‥‥そう。なら、公国を‥。」
潰サナクチャ。
「カロクッ!!」
その時、鋭い低音が響いた。
騎士達の制止を振り切って、青藤色がカロクの元へとかけていく。
オーヴァンだ。
報告を受けたオーヴァンが、王宮の騎士達を連れて帰ってきたのだ。オーヴァンはそのまま、膝をついてカロクを抱きすくめる。
魔族達は、オーヴァンを攻撃する事はなかった。
「‥‥お父さん。」
それをカロクは無感情に見あげた。
「公国を、潰さなければなりません。」
カロクが言う。
その言葉に、オーヴァンはあぁ、と短く答えてカロクを抱く腕に力を入れる。
「じぃが、死にました。公国の、せいで。」
暖かい腕に包まれ、徐々に感情が帰ってくる。フルフルと身体が震え、ジワりと涙が滲んだ。
「あぁ、分かっている。」
オーヴァンが言う。
その低音は、カロクの体に染み込むように優しく、暖かい振動をカロクへと伝えた。見開いた瞳から、ポロリと涙がこぼれた。
「父さん‥っ!! じぃが‥!! じぃが死んじゃったっ!!」
カロクは縋るようにオーヴァンに抱きつき、声を上げて泣いた。
響く悲鳴と怒声。鮮血が辺りに飛び散り、至る所で破壊の炎が燻っていた。双子の侍従が傷だらけで倒れているが、屋敷の騎士達は近づく事が出来ないようだ。
黒装束を纏った男達は1箇所に纏められ、カロクはそれを無表情で見下ろしている。
怯えたようにこちらを見あげる目。あらぬ方向へ曲がった手足。血だらけの顔。
その全てが、テレビの向こう側で起こっている事かのようにカロクには写っていた。
刺客は6人。
既に動かなくなっている者もいる。だがそれはただ気を失っているだけで、死んでしまった訳では無いとカロクは分かっていた。
「化け物め。」
男の1人が言う。
その顔に場違いな笑みを貼り付けて。
そうだ。こいつだ。
こいつガ、ローレンスを殺しタ。
コイツガ‥‥
「‥ぐぅ!!」
男が呻く。
気づけばその太腿に、太い氷の刃が刺さっていた。もちろんカロクが出した訳では無い。
「‥‥。」
カロクは傍らに寄り添う露草の頭を撫でた。1番小さかったはずの露草は、いつの間にか大型犬程の大きさの魚へと変貌していた。他の魔族も皆、その姿形を大きく変えている。
「ねぇ。」
カロクが単調な口調で言う。
「誰の指示?」
無感情な瞳が男を捉える。
それに合わせるように魔族達の視線が集中して、男達を威圧した。
「誰が教えるかよ。」
男がククッと笑う。
その様子に、カロクはチラリと黒鳶を流し見た。すると黒鳶はその視線を受け、シュルりとその鎌首をもたげる。その体長は、既に3mはあるだろうか。そのまま男の瞳を覗き込むかのように、もたげた鎌首が近づく。
「ぐ、ぁ‥!!」
その視線に捉えられた瞬間、男が頭を抑えて苦しみはじめた。
カロクには黒鳶が何をしているのか分からない。だが何となく、幻覚のようなものを見せているのだろうと考えていた。しかし、それでも男が口を割ることはなかった。
「黒鳶、こっち。」
埒が明かないと気がつくと、カロクはもう1人の男を指さす。この中でも比較的若く、その瞳にのる感情が消しきれていない個体だ。
「っ‥ぃ、嫌だ‥‥!! ぐぁあぁ‥!!」
傷ついた手足で何とか後ろに下がろうと藻掻くも、男は黒鳶の視線に絡め取られてしまった。その様子に、もう1人の男は舌打ちをした。
「‥‥公国だ。」
分かるだろ?、と男が言う。
口を割るのも時間の問題と考えたのだろう。男はあっさりとその背後の人物の名を上げた。
「公国。」
カロクがその名を繰り返す。
「それ以上は言えない。別に忠誠がある訳じゃないが、俺にもプライドってもんがあるからな。」
そう言って男はククッと笑った。
「‥‥そう。なら、公国を‥。」
潰サナクチャ。
「カロクッ!!」
その時、鋭い低音が響いた。
騎士達の制止を振り切って、青藤色がカロクの元へとかけていく。
オーヴァンだ。
報告を受けたオーヴァンが、王宮の騎士達を連れて帰ってきたのだ。オーヴァンはそのまま、膝をついてカロクを抱きすくめる。
魔族達は、オーヴァンを攻撃する事はなかった。
「‥‥お父さん。」
それをカロクは無感情に見あげた。
「公国を、潰さなければなりません。」
カロクが言う。
その言葉に、オーヴァンはあぁ、と短く答えてカロクを抱く腕に力を入れる。
「じぃが、死にました。公国の、せいで。」
暖かい腕に包まれ、徐々に感情が帰ってくる。フルフルと身体が震え、ジワりと涙が滲んだ。
「あぁ、分かっている。」
オーヴァンが言う。
その低音は、カロクの体に染み込むように優しく、暖かい振動をカロクへと伝えた。見開いた瞳から、ポロリと涙がこぼれた。
「父さん‥っ!! じぃが‥!! じぃが死んじゃったっ!!」
カロクは縋るようにオーヴァンに抱きつき、声を上げて泣いた。
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