この世界と引き換えに愛を乞う

seto

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サイラスはカロクの腕を掴んだまま、真っ直ぐに旧校舎へと向かう。

「サイラス様‥?」

明らかに学園長室とは別の方向へ向かうサイラスに、カロクが問うようにその名を呼んだ。しかしサイラスからの返事は無い。
カロクは不安になって、サイラスの横顔を見つめた。

サイラスは時折、強引な所があった。が、カロクを無視した事はない。
そしてさっき、確かにサイラスは不機嫌そうだった。外に見せてはいなかったが。
もしや自分が何かしてしまったのだろうかと、カロクは不安に思った。

「サイラスさー‥‥んぅっ!?」

サイラスはそのまま使われなくなった部屋の一室にカロクを押し込むと、強引にその唇を奪った。カロクの体を壁へと追いやり、大きな体で逃げ道を塞ぐ。顎を掴む指先は強引だったが、力加減はされているようで、痛みはなかった。

「‥!? ‥‥ッ!?」

見開かれるカロクの瞳に、サイラスの咎めるような視線が絡む。もはや不機嫌を隠す様子はなく、眉間にシワが刻まれ、その灰青の瞳には苛立ちが滲んでいた。

「サイ‥‥っ、んん‥っ!! 」

何故、と問いかけようと唇を開くも、その隙間から入り込んだサイラスの舌に言葉を奪われてしまった。逃げる舌を捉えられ、強引に絡め取られる。
そのまま舌の根を擽られ、裏筋を舌の腹で擦り上げられれば、ジンッと痺れるような快感が肌をかけた。粘膜が擦れ合う度に、ゾクゾクと震えるような快楽がうなじから下肢へと落ちる。
絡んだままの視線が、与えられる刺激にトロリと溶けた。そんなカロクの瞳に、サイラスは瞳の奥に凶暴な熱を滲ませた。

「んぅ‥‥っ、ふ‥‥んんッ」

ジュルリとカロクの舌を啜り、そのままその舌先に歯を立てれば、ビクンとカロクの肩が跳ねた。ジンジンと痺れるような快楽に思考が溶け、酸欠と快楽でじわりと瞳に涙が滲んだ。

そんな7つの光を弾く瑠璃色が、より淫らにサイラスを誘う。悩ましげに眉尻が下がり、もっと、と強請るように瞳が揺れる。そんな視線を間近で受けながら、クッとサイラスは目尻をすがめた。自身の中にある凶暴な欲が、頭を擡げるのが分かった。

身長差で僅かに上向くカロクの唇を軽く食み、歯列をなぞり、上顎を擽る。そのままカロクの唇を親指で無理やりこじ開けると、より深く分厚い舌をねじ込んだ。
ヌルりと舌の腹全体で裏筋を舐め上げ、そのまま唾液を捏ねるように互いの舌の腹を擦り合わせる。その度に粘着質で卑猥な水音が、カロクの耳を犯した。
流し込まれるサイラスの唾液と自身の唾液が、カロクの口腔内で淫らに絡み合う。するとサイラスはそれを飲み込むよう指示するように、トンッとカロクの喉仏を指先で軽くノックした。

「ん‥‥っ、んく‥‥は‥んぅっ」

カロクは懸命に混ざり合う唾液を飲み下す。しかし全てを飲み干す事ができず、口角から溢れて首筋へと伝った。

「ん‥‥っ、ぁ‥ッ。は‥‥ぁ‥っ」

ヌルりと絡んだ舌を引きずりながら、サイラスはカロクの唇を解放する。離れていく舌を名残惜しむかのように舌先を差し出せば、互いの舌を繋ぐように銀糸が伝って、プツリと切れた。

すっかり息が上がってしまったカロクの体をサイラスが掻き抱く。そのままコツンとカロクの額に自らの額を合わせると、バツが悪そうにまつ毛を伏せながらため息をついた。

「‥‥さいらす、様‥?」

ぽやんとした表情でカロクが問う。
するとサイラスが申し訳なさそうに視線をあげ、口角を伝う唾液を舐めとった。

「‥‥すまん。まさか自分がここまで狭量だとは思わなかった。」

そう言ってサイラスは触れるだけのキスを唇へ落とす。

「なに‥?」

未だ快楽にぼんやりとした頭でカロクが問うと、グッとサイラスの喉が苦しげに鳴った。

「‥‥このまま食っちまいてぇな。」

キスひとつでここまでの色気を滲ませるカロク。最後までその体を暴いてしまえば、どうなることか。サイラスは再度ため息をついた。

「学園でのことは、基本俺は口を出さないつもりだった。だがな、カロク。」
「‥‥?」
「あれはダメだ。近すぎる。」

何も分かっていない様子のカロクに、サイラスは再び咎めるような視線を投げる。

「お前がシルヴェストの事を何も思っていない事は分かっている。だが、実際あそこまで腹が立つとは思わなかった。」

そう言ってサイラスがカロクの瞳を覗き込むと、ハタと気づいたようにカロクの瞳が開いた。

「ぁ‥‥!! その、あれは‥‥っ」
「分かっている。別に浮気だなんて思っていない。」
「ごめんなさい‥」

しゅんとカロクが頭を垂れる。
そんなカロクの様子に、フッとサイラスは苦笑を漏らした。

「次回から気をつけてくれればいい。俺は俺が思う以上に嫉妬深いようだからな。」

そう言ってニッとサイラスが笑うと、一拍遅れてボッとカロクの頬が紅潮した。
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