私が世界を壊す前に

seto

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豪奢な寝台が激しく軋む。
その軋みに合わせて肌がぶつかる高い音が響き、その度に甘さを孕んだ低い嬌声が漏れた。
「は‥ぁっ、もう、いいかっ、げんに‥っ!!」
唇から漏れでる嬌声を噛み殺しながら、魔王フィオニステールは自身を犯す肉棒の主を睨みつける。ベッドにうつ伏せに押さえつけられ、ろくな抵抗も許されずに背後から猛々しい熱で貫かれる。最奥を開かれれば、強烈な快楽が眼裏に弾けた。何度も咥えこまされているのか、赤く熟れた秘孔からは泡立った白濁がこぼれ、何度も鳴かされたせいで赤く潤んだ瞳は、まるで甘い蜜を滴らせた果実のように雄を誘った。
その様子を目にした白金髪の男は、凶暴な熱を孕んだ菫色の瞳をクッと細めた。
「そんな顔をしても、我々を煽るだけですよ‥?」
「ん、ぁっ!!」
一際深く内側を穿たれ、フィオニスは高く鳴いた。
悩ましげにひそめられた形の良い眉が男の劣情を煽る。濡れ羽色の美しい長髪は白濁に汚され、陶器のような白い肌には情欲の跡がそこかしこに散っている。
「ほら、フィオニスさま。頑張って腰を振らないと、いつまでたっても終わりませんよ‥?」
そう言って白金髪の男が容赦なく腰を打ち付ければ、泡立った秘孔がぐちゅんと卑猥な水音を立てた。
「か、は‥っ!!!」
しなやかにその背を反らせ、苦しげに息を吐き出す。
これで何回目だろうか? ヒクヒクと震える形の良いフィオニスの雄が、透明な蜜を垂らした。
「‥ぅ」
不意に伸びてきた長い指先がフィオニスの顎を掬う。フィオニスは反射的に顔を背けようとするも、そのまま顎を掴まれ唇を塞がれた。
「っ‥ん、ふ‥」
抗議する間もなく舌を捩じ込まれれば、瞳に溜まった涙がポロリと落ちる。そんなフィオニスの様子に、唇奪った青髪の男が満足気に笑った。
「そんなに責め立てては可哀想だろう?ほら、こんなに涙を流されて‥」
だが言葉とは裏腹に、冷たく見えるその薄氷色の瞳を楽しげに細め、再び深く唇を合わせた。
「ん、ぅ‥はっ‥‥も、やめ‥っ」
抗議の声をあげれば、カシリと強めに舌先を噛まれた。
強い刺激にヒクリと喉を震わせれば、別の節くれだった指先が瞳に溜まった涙を掬った。
「シリウスもフリードリヒも、フィオニス様を虐めすぎだ。いくら世界最強の魔王様と言えど、勇者7人を相手にすれば体力も底を尽きよう。」
そう言って赤銅髪の男が、宥めるようにフィオニスの背を撫でる。だが敏感になったその体は、そんな男の指先にさえ感じてしまう。
「‥あぁ、申し訳ありませんフィオニス様。お辛いでしょうが、もう少しお付き合い下さいませ。」
粗暴な見た目とは裏腹に、丁寧な言葉遣いで赤銅髪の男が言う。しかしそのタレ目がちの金の瞳には、先の男達と同じ凶暴な熱が宿っていた。
 「貴方が言わないで下さいよ、アウロラ。フィオニス様を散々焦らし、『挿れてくれ』と懇願させるまでグズグズに溶かしたのは貴方でしょう?」
別の指先が、フィオニスの漆黒の髪を一束掬う。
亜麻色の髪をしたその男は、すくい上げた毛先に口付けを落として薄く笑った。長いまつ毛に縁取られた翡翠の瞳に同じ欲を宿し、その毛先の感触を楽しむように指先に絡ませる。
「フィオニス様を思っての事だ。お前達と一緒にされては困る。」
「同じことだ、アウロラ。過ぎたる快楽は、時として毒となるというのに。」
また別の声が降る。
声の主である、薄桜の髪の男が労わるように揺さぶられるフィオニスの頬へ触れた。憐れむようにその若緑の瞳を細めるが、その奥には他の男たちと同じ、仄暗い欲を滲ませている。彼もまた、フィオニスを求める男達の1人だった。
男の指先は涙の跡をそっとなぞり、スルリと首筋へと落ちる。もどかしい刺激にゾワリと肌が粟立った。
「さわ、んな‥っ!! 」
フィオニスが腕を振ると、別のしなやかな指先がその手を掴んで引き寄せる。
「フィオニス様、わたくしも鎮めて下さい。」
そう言って、銀鼠髪の男が掴んだ指先に自身の熱を押し当てる。華奢な見た目とは裏腹に質量のあるそれに、フィオニスの体がビクリと強ばった。
「フィオニス様、俺も。」
そう言って反対側の手を、同じ銀鼠髪の男が掴む。
そっくりな見た目の2人だが、その瞳の色は異なる。燃えるような猩々緋の瞳と、深い水底を思わせる青藍の瞳。だがその瞳に宿る熱は同じ。飢えた肉食獣のような熱だ。
「「フィオニス様‥」」
2人の声が重なる。
ゾッとするほど妖しい声音に、恐怖と共にゾクリと期待が背をかけた。
フィオニスの両手に、それぞれの熱が触れる。同じ形に見えて、実は異なる質量であることをフィオニスは身をもって知っていた。以前にもその逞しい雄で、散々貫かれたのだから。
「フィオニス様、気を散らさないで下さい。今貴方の中にいるのは私ですよ‥?」
「ぁぐっ!!」
そう言ってシリウスが突き上げると、苦しげな嬌声が漏れた。
「は、ぁ‥っ!! お前‥達、もぅ‥本当に‥んっ!!」
フィオニスが視線を巡らせれば、7対の欲を孕んだ瞳がフィオニスを見下ろしていた。そのどれもが、フィオニスのその体を渇望している。次は自分こそが、とその美しい瞳をギラつかせている。
「ほら、フィオニス様‥」
シリウスが言う。
「さぁ、フィオニス様‥?」
「フィオニス様。」
「フィオニス様‥。」
「‥フィオニス様。」
「「フィオニス様。」」
男達が口々にその名を呼ぶ。
妖しく、艶めかしく、懇願するように。
あぁ、何故こんな事になってしまったのか‥。
快楽に濁る意識の中、フィオニスは考える。
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