乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第二十二章 前を向く為にも

光の念を込めたお守り【アレン視点】

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「ふふっ」

 俺は笑いが込み上げてきてついつい吹き出してしまった。

「???」

 キースは訳が分からず眉間に皺を寄せて首を傾げた。

 俺は、花壇の方に視線を向けた後、庭園の扉を見る。扉が動いた形跡は無いというのに……。

 ーー可愛らしく動揺した顔が頭に浮かぶ。

 今から数時間前だ。クロエ殿が俺を訪ねにきたのは。

 きっと、ソフィア嬢は間に合わず一人で行動するだろうからと。

 呪いをかけられ、解くために悪魔に会いに行くだろうと。

 唐突過ぎて、驚いたが実際に何度か急な展開になってるのですんなりと受け入れられる。

 悪魔と契約した者がいて、その者がソフィア嬢に呪いをかけたそうだ。

 悪魔との契約は禁忌だ。それを犯した者は裁かねばならない。だが……。

 契約者は父上の宰相の娘に間違いは無い。調べはついてるからな。

 ここ数日間で驚く程の魔力の増量と闇魔法の知識がある特に呪いに関しての知識が豊富だった事。何せ、闇魔法と呪いは知ってる人は極わずかなのだ。いくら宰相の娘とはいえ、知らないはずなのだ。

 俺でさえ闇魔法と呪いの知識が無いしな。そんな知識を身につけられる唯一の方法は悪魔との契約だろうから。

 ーー……願わくば、罪を軽くとは言わないがせめて静かに穏やかに暮らせる環境を作ってやりたいものだ。

 だが、また勘違いさせても困る。

 禁忌を犯した者は追放される。追放されても何もしないのが良いかもしれないな。

 ソフィア嬢には渡せるものも無事に渡せたし……、俺もやらないとな。

 クロエ殿から渡された物はお守りだ。念じれば念じるほどその効果は強まる特殊なお守り。光の念を込めたお守りなので負を弾く効果があるのだとか。

 それを渡してほしいと頼まれた。けど、呪いは透明になるのだと聞いたからソフィア嬢の性格も考えて庭園に来るのだろうと思った。

 その呪いは人に存在を気付かれると呪いを受けた本人は消えるらしいが、他者がソフィア嬢の呪いに気付いた事をソフィア嬢本人が気付かなければ問題はないそうだ。

 クロエ殿も俺の話題を出したと言っていたし、何かしら思い出して来てくれるだろうと考えた。

 気配は無いが来てくれている事を信じてワザとお守りを落とした。

 落とした場所を確認をした後、何事も無いように羽根ペンを動かす。

 横目でしか見えなかったが、お守りを掴もうとしているソフィア嬢が一瞬見えた気がして今度は落とした場所をしっかりと見ると、そこには誰も居なかった。落としたはずのお守りも無くなっていた。

 見失うはずはない。落とした場所を確認したのだから。

 だから、来てくれたという安心感で笑ってしまったのだ。

 光の力を宿したお守りだから一瞬だけ呪いが解けるとは言っていたが、本当にそうなるとは思わなかった。

 ソフィア嬢が触れると消え、光となって守ってくれるとも話していた。だから、消えた事には驚かなかった。

「あのぅ。殿下?」
「ん?」
「今、一瞬だけソフィア様が居たような……」

 キースは不思議そうに花壇を見ている。俺は知らないフリをした。

「気のせいかではないか。庭園には王族の許可が必要だろ。俺は許可してないしな」
「左様ですか……いえ、勘違いでした」

 納得がいかないような表情になるが、これ以上詮索してはいけないと悟ったようだ。

 普段はマイペースで空気読めない発言をするのにこういう時だけ察しが良い。

 キースはそういう男だ。

 俺は息を吐くと、まだ終わってない書類を片付けるべく羽根ペンを動かした。

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