138 / 236
第十四章 悪役令嬢
幻想の世界
しおりを挟む
夢か現実か分からない感覚だった。
全体的にふわふわとしてて、その感覚が終わると私の肩に乗っているシーアさんの声がきこえた。
「やはりな。目を開けるんじゃ、……どうやら呼ばれているようじゃ」
「…………???」
私はゆっくりと目を開ける。
そこは、以前に夢で何回も見た空間に似ていた。
霧が濃くて、周りが見えずらい。
だけど、徐々に霧が晴れていき、視界がハッキリとしてきた。
「ここは……?」
「呪いをかけてる相手が作り出した幻想の世界じゃよ」
そこは、硝子の世界だった。
建物は一切なく、大きな硝子で出来た岩のようなものが所々にあるだけだった。
地面も硝子のようで歩くと割れるような音がするが、割れる気配はない。
「ワシが来た時はここまで入ることは出来なかったんじゃが、お主と関係がありそうじゃな」
「シーアさんはどうやってこの場所に?」
「世界樹の力を借りたのじゃ、ワシ一人ぐらいなら簡単に来れるんじゃが……、何らかの力が発揮されて強制的に帰らされてしまうんじゃ」
「あの、アレン様とノア先生はどうなってるんですか?」
詳細を聞かずによく分からないまま来てしまった。
「心配はいらん。今は、目の前のことに集中じゃ。お主を危険から守るためにワシがついて来た。あの王子にはノアがついとる。大事には至らんだろう」
「そう……ですか?」
それなら安心か。
「すまんな。説明する時間が惜しく、急いでしまった」
「いえ。少しでも早めに解決したいですし」
歩き出し、シーアさんと話しているとゾクッと寒気を感じた。
慌てて後ろを振り向くが誰もいない。
「どうしたんじゃ?」
「いや、さっき誰かがいたような……でも気のせいだったようです」
「ここら辺は憎悪が渦巻いておるからのぉ。誰かがいるという錯覚してもおかしくはない。奥に進むにつれて変な感覚が強まるじゃろう」
「……憎悪。この嫌な感覚が」
常に誰かに見られてる気がするし、更に変な感情と記憶が押し寄せてくる。
悪役令嬢の記憶と想いが映像として私の脳内に流れている。
シーアさんは何も言わないから、私だけが脳内に流れている状態なんだろう。
「えっ?? あれ、シーアさん!?」
何かを通った感覚がしたと思ったら、シーアさんが居なくなっていた。
「えっ……これ、どうすんの」
急に一人になってテンパってしまう。
元来た道を戻ろうとするが、奥の道が騒がしかった。
シーアさんを待った方がいいとは思うが、シーアさんの時間が惜しいという言葉が引っかかり、一人で行くことにした。
呪いが長引くと、取り返しがつかない何かがあるとでも言っているようだった。
奥に進むと、見覚えがある景色が見えてきた。
次の瞬間、眩い光に包まれ、光が落ち着くとゆっくりと目を開けた。
「……ソフィア・デメトリアス嬢。キミには失望したよ」
目の前にはアレン様とクロエ様。
アレン様は冷ややかな声で私を見ていた。その声をゲームでしか聞いてなかったので一体何が起こってるのか分からなかった。
アレン様の隣にいるクロエ様は女性の姿で涙目になって小さく震えていた。クロエ様のドレスが若干汚れていた。
ーーなんで?
確か、アレン様はノア先生と一緒にいるはずだ。クロエ様といるはずが無い。
それに周りもおかしい。これって……。
悪役令嬢の断罪シーンに似ているんだ。
全体的にふわふわとしてて、その感覚が終わると私の肩に乗っているシーアさんの声がきこえた。
「やはりな。目を開けるんじゃ、……どうやら呼ばれているようじゃ」
「…………???」
私はゆっくりと目を開ける。
そこは、以前に夢で何回も見た空間に似ていた。
霧が濃くて、周りが見えずらい。
だけど、徐々に霧が晴れていき、視界がハッキリとしてきた。
「ここは……?」
「呪いをかけてる相手が作り出した幻想の世界じゃよ」
そこは、硝子の世界だった。
建物は一切なく、大きな硝子で出来た岩のようなものが所々にあるだけだった。
地面も硝子のようで歩くと割れるような音がするが、割れる気配はない。
「ワシが来た時はここまで入ることは出来なかったんじゃが、お主と関係がありそうじゃな」
「シーアさんはどうやってこの場所に?」
「世界樹の力を借りたのじゃ、ワシ一人ぐらいなら簡単に来れるんじゃが……、何らかの力が発揮されて強制的に帰らされてしまうんじゃ」
「あの、アレン様とノア先生はどうなってるんですか?」
詳細を聞かずによく分からないまま来てしまった。
「心配はいらん。今は、目の前のことに集中じゃ。お主を危険から守るためにワシがついて来た。あの王子にはノアがついとる。大事には至らんだろう」
「そう……ですか?」
それなら安心か。
「すまんな。説明する時間が惜しく、急いでしまった」
「いえ。少しでも早めに解決したいですし」
歩き出し、シーアさんと話しているとゾクッと寒気を感じた。
慌てて後ろを振り向くが誰もいない。
「どうしたんじゃ?」
「いや、さっき誰かがいたような……でも気のせいだったようです」
「ここら辺は憎悪が渦巻いておるからのぉ。誰かがいるという錯覚してもおかしくはない。奥に進むにつれて変な感覚が強まるじゃろう」
「……憎悪。この嫌な感覚が」
常に誰かに見られてる気がするし、更に変な感情と記憶が押し寄せてくる。
悪役令嬢の記憶と想いが映像として私の脳内に流れている。
シーアさんは何も言わないから、私だけが脳内に流れている状態なんだろう。
「えっ?? あれ、シーアさん!?」
何かを通った感覚がしたと思ったら、シーアさんが居なくなっていた。
「えっ……これ、どうすんの」
急に一人になってテンパってしまう。
元来た道を戻ろうとするが、奥の道が騒がしかった。
シーアさんを待った方がいいとは思うが、シーアさんの時間が惜しいという言葉が引っかかり、一人で行くことにした。
呪いが長引くと、取り返しがつかない何かがあるとでも言っているようだった。
奥に進むと、見覚えがある景色が見えてきた。
次の瞬間、眩い光に包まれ、光が落ち着くとゆっくりと目を開けた。
「……ソフィア・デメトリアス嬢。キミには失望したよ」
目の前にはアレン様とクロエ様。
アレン様は冷ややかな声で私を見ていた。その声をゲームでしか聞いてなかったので一体何が起こってるのか分からなかった。
アレン様の隣にいるクロエ様は女性の姿で涙目になって小さく震えていた。クロエ様のドレスが若干汚れていた。
ーーなんで?
確か、アレン様はノア先生と一緒にいるはずだ。クロエ様といるはずが無い。
それに周りもおかしい。これって……。
悪役令嬢の断罪シーンに似ているんだ。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
悪役令嬢が行方不明!?
mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。
※初めての悪役令嬢物です。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
〘完結〛ずっと引きこもってた悪役令嬢が出てきた
桜井ことり
恋愛
そもそものはじまりは、
婚約破棄から逃げてきた悪役令嬢が
部屋に閉じこもってしまう話からです。
自分と向き合った悪役令嬢は聖女(優しさの理想)として生まれ変わります。
※爽快恋愛コメディで、本来ならそうはならない描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる