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第二十一章 悪魔は嗤う
もっと深い気持ち
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真夜中ではないのでちらほらと生徒達が寮を抜け出し雑談している。
話し声や歩く音を聞きながらも私は緊張していた。
それもそのはず、私が座っている長めのベンチにアレン様が隣に座っているんだ。
何故、こうなっているのかなんて私が聞きたかった。
アレン様が人目も気にせずに寮付近のベンチに腰を下ろしているというのに、令嬢や令息達は気付いていないのか普通にしていた。
いつもなら廊下ですれ違っただけでも目の色を変えてるというのに……。
そう思ったが、きっと何か魔法を使ったのだろう。そうじゃなきゃ、アレン様を華麗にスルーするはずは無い。
「どうして……ここに?」
「散歩。たまにはね」
「そう、ですか」
ということは今回が初めてじゃなかったということか。タイミング良く現れたものだから誰かが私の事を言ったのでは無いかとか、疑ってしまった。
「星、綺麗だね」
アレン様は夜空を見上げて言う。私も夜空を見上げて息を吐く。
「何も……聞かないんですね」
「え、ああ。もしかして疑問だったよね。大丈夫、皆俺がここにいることは気付いてないから。存在感を薄くする魔法をかけてるからね」
「いえ、そうではなく」
なるほど、存在感を薄くする……そんな便利な魔法がこの世にあるとは……などと一瞬驚いてしまったが、色んな魔法があって新鮮な気持ちにもなる。
そうじゃない、私は首を左右に振る。
私が言いたいのはそういうことじゃないのだと否定して、話を続ける。
「泣いていた理由です。気付いてましたよね」
気付いてたと思う。だって私の顔を見たアレン様は驚いたような顔をしていたんだから。
暗い表情の私を見た後、再び夜空を見上げるアレン様。
「……暗い中にポツポツと光り輝いている小さな星ってさ、暗い考えの中に一点の光を導き出しているような気がして、好きなんだよね。小さな光は無数に集まれば輝きを増すんだ」
「??」
「まるで、落ち込んでる心を励ましてるみたいだろう」
言われて、夜空の星を見る。一つ一つは小さくても無数に集まれば……。
なんともポジティブな考え方だけど、それも一理あるのかも……なんて思ってしまった。
夜の空を人の心の闇と例えるならば、星々が照らしてるのは温かな言葉だ。
その言葉が心に響くかどうかはまた別の話になるけど。
「泣いている理由は聞かないよ。聞かないけど……悲しんだり辛かった時、俺が傍に居たい」
ポンッと頭を撫でられて、悪い気はしない。寧ろ、泣きたくなる。
そのセリフ、私の心が辛くて悲鳴を上げてるのを見過ごしてるような言い方だけど、今はどうでもいい。
慰めの言葉よりも傍に居たいという言葉が何よりも嬉しく思う。
ああーー私、アレン様に出会えて良かった。出会いは最悪だったけども、どんな理由があろうとも心からの優しさじゃなかったとしても……攻略対象者でアレン様が最初で本当に良かったと思う。
この気持ちを何と例えたら良いのだろう。
推しとして好き???
いや、もっと深い気持ち。
気持ちの変化に戸惑っていると、アレン様が話を続けた。
「泣いたら、またその分笑っていてほしい。俺はソフィア嬢の笑顔が大好きだから」
私はゆっくりと頷いた。
きっと私の今の顔は茹でダコのように赤くなっていることだろう。
アレン様が偶然居合わせたというのは嘘でクロエ様に私の様子が変だということを相談されて様子見しに来たというのは……、次の日にクロエ様によって聞かされたのだった。
話し声や歩く音を聞きながらも私は緊張していた。
それもそのはず、私が座っている長めのベンチにアレン様が隣に座っているんだ。
何故、こうなっているのかなんて私が聞きたかった。
アレン様が人目も気にせずに寮付近のベンチに腰を下ろしているというのに、令嬢や令息達は気付いていないのか普通にしていた。
いつもなら廊下ですれ違っただけでも目の色を変えてるというのに……。
そう思ったが、きっと何か魔法を使ったのだろう。そうじゃなきゃ、アレン様を華麗にスルーするはずは無い。
「どうして……ここに?」
「散歩。たまにはね」
「そう、ですか」
ということは今回が初めてじゃなかったということか。タイミング良く現れたものだから誰かが私の事を言ったのでは無いかとか、疑ってしまった。
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「え、ああ。もしかして疑問だったよね。大丈夫、皆俺がここにいることは気付いてないから。存在感を薄くする魔法をかけてるからね」
「いえ、そうではなく」
なるほど、存在感を薄くする……そんな便利な魔法がこの世にあるとは……などと一瞬驚いてしまったが、色んな魔法があって新鮮な気持ちにもなる。
そうじゃない、私は首を左右に振る。
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「泣いていた理由です。気付いてましたよね」
気付いてたと思う。だって私の顔を見たアレン様は驚いたような顔をしていたんだから。
暗い表情の私を見た後、再び夜空を見上げるアレン様。
「……暗い中にポツポツと光り輝いている小さな星ってさ、暗い考えの中に一点の光を導き出しているような気がして、好きなんだよね。小さな光は無数に集まれば輝きを増すんだ」
「??」
「まるで、落ち込んでる心を励ましてるみたいだろう」
言われて、夜空の星を見る。一つ一つは小さくても無数に集まれば……。
なんともポジティブな考え方だけど、それも一理あるのかも……なんて思ってしまった。
夜の空を人の心の闇と例えるならば、星々が照らしてるのは温かな言葉だ。
その言葉が心に響くかどうかはまた別の話になるけど。
「泣いている理由は聞かないよ。聞かないけど……悲しんだり辛かった時、俺が傍に居たい」
ポンッと頭を撫でられて、悪い気はしない。寧ろ、泣きたくなる。
そのセリフ、私の心が辛くて悲鳴を上げてるのを見過ごしてるような言い方だけど、今はどうでもいい。
慰めの言葉よりも傍に居たいという言葉が何よりも嬉しく思う。
ああーー私、アレン様に出会えて良かった。出会いは最悪だったけども、どんな理由があろうとも心からの優しさじゃなかったとしても……攻略対象者でアレン様が最初で本当に良かったと思う。
この気持ちを何と例えたら良いのだろう。
推しとして好き???
いや、もっと深い気持ち。
気持ちの変化に戸惑っていると、アレン様が話を続けた。
「泣いたら、またその分笑っていてほしい。俺はソフィア嬢の笑顔が大好きだから」
私はゆっくりと頷いた。
きっと私の今の顔は茹でダコのように赤くなっていることだろう。
アレン様が偶然居合わせたというのは嘘でクロエ様に私の様子が変だということを相談されて様子見しに来たというのは……、次の日にクロエ様によって聞かされたのだった。
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