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 オリヴィア様はとても怖いもの知らずのようで王太子殿下のサミュエル様にハッキリと物申すのだ。

 見てるこっちがハラハラする。惚れている異性じゃなかったら即刻死刑になってもおかしくない。

 さりげなく、オリヴィア様に注意をしてきたのだがそれもサミュエル様は気に入らないようだった。

 その注意も、サミュエル様から見れば虐めているようにしか思えないんだろう。

 人を責める暇があるならダイエットをしろよ。最愛のオリヴィア様も言ってるんだから。

 ふくよかになったのは私のせいではあるけれど、責任を持って、ダイエットに付き合えば良かったかなぁ。でも本人は痩せたいとは思ってなさそうだし。

 私の話を素直に聞いてくれるとは思えない。オリヴィア様の話をまともに聞けないんだから。

「……心当たりはございませんわ。ですが、サミュエル様は私よりもオリヴィア様を愛しているご様子。知らぬ間にお二人の邪魔をしてしまったようですわね。お受け致しますのでご安心ください」
「~~っ!? どうして……」

 オリヴィア様……納得がいかないという顔をしても、私が望んでるのは追放と婚約破棄なの。

 このままでいいの。だから何も言わないで。

 目が合ったオリヴィア様に首を横に振る。
『何も言わないで』というアイコンタクトのようなものなのだが……。

 オリヴィア様は何を勘違いしたのか、また余計なことを言い出した。

「婚約破棄なんて……そんなの悲しすぎます。クリスチアーヌ様が何をしたと言うのですか? 私にもとても親切にしてくれたというのに。私の意思で奴隷になったというのに!!」

 フォローのつもりなんだろうけど……、全然フォローになってないのよね。
 お願いだから黙ってて……。そんなにムキになって婚約破棄の邪魔をしなくてもいいのよ。

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