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中森再び・それから…
第41話
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中森がまた麻智のアパートへやってきた。
「中森さんて、いつも突然ですね。」
「今日は近くまで来たので寄ってみました。隅田さんはまだ一緒に住んでるんですか?」
「え?ええ、まだ一緒に住んでます。」
麻智は中森の言葉にちょっと引っ掛かり、同じく引っ掛けて応える。
「あ、嫌味を言ったつもりでは無かったんですが、嫌な言い方になってしまってすみません。」
「何か御用ですか?」
「私が取材してたネタも終わりましたので、挨拶がてら、お伝えしたいことがあって来ました。」
「それはどうも。で、“お伝えしたいこと”とは何ですか?」
「隅田さんは?」
「ちょっとコンビニ行っててすぐ戻ります。上がって待ちますか?」
「あー、いえ、さすがにそれはちょっと。隅田さんが戻ってきたらまた来ますよ。」
と言っていたら、入り口ドアを半開きで話してた隙間から三牙の姿が見えた。
「ただいま。あ、中森さんどうしたんですか?」
「隅田さんお帰りなさい。君にもちょっとお伝えしたいことがあって、近くまで来たので寄ってみました。」
三牙が丁度帰ってきたので、家の中で3人で話する。
「まずは隅田さん。“ヒカリ”さんと会ってきましたよ。」
「あ、そうですか。会えました?」
「はい。ヒカリさんのお母さんがご病気で入院されてたそうで、なかなかお店に行く時間が取れなかったそうです。あなたが借りたお金の話しましたよ。それで、『今度はちゃんと断って、そんな条件じゃなく普通に自分のことを考えてもらいます。』って言ってたよ。だから、連絡してあげて。」
「そうですか、良かった!ありがとうございます。」
三牙はホッとしているけど、“ヒカリ”って子はまだ三牙を諦めてないんだと、複雑な気持ちだ。
「隅田さんが今後どんな対応するかは分かりませんが、とりあえずお金のことはキチンとする方がスッキリしますよね。」と中森は麻智の顔を見て付け加える。
「それから、柳井田さんのお父さんの話です。やっぱり隅田さんの知り合いの“ヒカリ”さんが、あのオフ会に来てた〔みけりす〕で間違い無かったんですが、〔みけりす〕は薬なんて盛ってないそうです。
それで、よく考えて思い出したんですが、一次会の会計が済んでから、柳井田さんが薬を自分で飲んでたんです。確か、『アレルギーあってなぁ、今日忙しくて忘れてた』って言ってたんです。
その時水が無くて、焼酎の水割りの氷が溶けた残りで飲んでたんですよね。それからまた〔みけりす〕とホテルでビールを飲んでるので、それが薬に作用したみたいです。
柳井田さんに電話で確認しましたが、『確かにあの時、アレルギーの薬飲んだよ』と言ってました。」
「へぇー、やっぱり薬とお酒って駄目なもんなんですね。」
「薬って、やっぱり飲み方はキチンと守らないと危ないですよね。」
「そうですね、父にも気を付けるようによく言って聞かせます。
色々調べていただいてありがとうございました。」
中森はただそれだけの用事で、アパートから帰って行った。
**
三牙のお父さんが家に帰って来たと、三牙の携帯に連絡が入る。電話を切った後、私にも話してくれた。
「中森さんと父さんは面識があったみたいで、詐欺を疑われた後に父さんから連絡を入れたそうなんだ。それで、詐欺の事を調べてくれてたみたい。
顧客がゼロになって、すごく困り果てたんだけど、『こんな疑惑だけで顧客が離れるということは、元々オレに信用が無かったんだ』って気付いて、別の仕事にするか悩んだんだけど、この仕事しかないと思って新たに資格を取ることにしたんだって。
母さんにはちゃんと伝えてたんだけど、俺には『受かったら伝える』っていうことだったから、2人に隠されて、俺だけが知らなかったみたい。
そういえば母さんが『父さんさ、家出てしばらく帰って来ないみたい。どこ行ったか分からないけど、心配するなって置き手紙残してある。』ってそん時言ってて、俺が勘違いしてただけだった。いや、母さんがちょっと盛ってたんだな、演出というか。俺の気持ちも知らないで…。」
「お父さん帰って来て良かったね!
でもお母さんて、その…冗談とか好きな人?」
「まあ、冗談っていうよりは、ちょっとサスペンスとかミステリーとか、そういうの超好きなんだ。2時間ドラマとかスッゲー見てて、そん時話かけても返事もしないくらい。」
「うわー、世界に入り込んでたんだね。でも、会社がそんな状況でそういう“なりきる”とかさ、余裕があるというか…。」
「母さん、かなりの楽天家だから。
父さんは昔、証券会社に勤めてた頃は精神病んでスッゲーやな奴だったらしいけど、退職して独立したら人が180度変わって、母さん寄りになったんだ。
だからウチ結構楽しい家庭だったよ。」
「で、お父さんはこれからどうするの?」
「犯人も捕まって、本当に父さんの身の潔白が証明されたから、またファイナンシャルアドバイザーの仕事再会するって。」
しばらくして、“ヒカリ”さんと会い、ちゃんとお金を返して、誠意を持って結婚はできないとお断りし、円満に終わったそうだ。
その時、「私の本当のお父さんが見つかって、これから親子の時間作ってくの。だから、結婚なんてしてる暇ない。逆に断ってくれてありがとう」と言われたそうだ。
それから、三牙のお父さんは被害者なのだけど、証券会社時代の事を謝罪したいと是都の弁護士さんに伝えたそうだ。
お父さんが仕事復帰して、三牙は大学院に復学し、きちんと課程を修了した。
東京で就職も決まり、研究者として忙しくもやり甲斐のある毎日を送ってる。
*
萩の花咲く暑い季節、麻智と三牙は下関市にある海峡ゆめタワーにいる。
レストランで食事を済ませ、パノラマ展望室へと昇る。
タワーもライトアップされているが、タワーから見える夜景は行き交う船と揺らめく海峡と合わさってとても幻想的だ。
うっとりと夜景を眺めていると、三牙が麻智を見つめてくる。
目が合って、体を三牙の方へ向き直し、2人が向いあったところで、
「麻智、麻智のお母さんが失踪した時、色々嘘ついたり隠し事したりして随分信用無くしたけど、これからは絶対隠し事なんてしないから、俺と結婚してください。」
とプロポーズされる。
「はい。」
麻智は間髪入れずに即答する。
「なんか、照れるね。」
小さめの声で話したつもりだったけど、近くには沢山のカップルがいて、ニコニコと笑顔をこちらに向けてくる。
皆の顔には“おめでとう”と書いてあるようで、小さく拍手をしてくれる人もいる。
嬉しいけど恥ずかしい、最高の瞬間を迎えた麻智と三牙なのでした。
⌘ おしまい ⌘
◇◇◇◇◇◇
最後まで読んで下さりありがとうございます♪
ミステリーに挑戦しようと書き始めましたが、ただのドラマになり、かなり難しいかったというのが本音です。
この作品では、1つの事柄も、人が違えば事情も見方も変わる。悪い人は本当に悪いのか?ということを書きたかったのですが、登場人物は増えていくし、本人の回想ばかりになってしまいました。
ですが、またいつか挑戦したいと思う分野です。
応援していただき、ありがとうございました!
「中森さんて、いつも突然ですね。」
「今日は近くまで来たので寄ってみました。隅田さんはまだ一緒に住んでるんですか?」
「え?ええ、まだ一緒に住んでます。」
麻智は中森の言葉にちょっと引っ掛かり、同じく引っ掛けて応える。
「あ、嫌味を言ったつもりでは無かったんですが、嫌な言い方になってしまってすみません。」
「何か御用ですか?」
「私が取材してたネタも終わりましたので、挨拶がてら、お伝えしたいことがあって来ました。」
「それはどうも。で、“お伝えしたいこと”とは何ですか?」
「隅田さんは?」
「ちょっとコンビニ行っててすぐ戻ります。上がって待ちますか?」
「あー、いえ、さすがにそれはちょっと。隅田さんが戻ってきたらまた来ますよ。」
と言っていたら、入り口ドアを半開きで話してた隙間から三牙の姿が見えた。
「ただいま。あ、中森さんどうしたんですか?」
「隅田さんお帰りなさい。君にもちょっとお伝えしたいことがあって、近くまで来たので寄ってみました。」
三牙が丁度帰ってきたので、家の中で3人で話する。
「まずは隅田さん。“ヒカリ”さんと会ってきましたよ。」
「あ、そうですか。会えました?」
「はい。ヒカリさんのお母さんがご病気で入院されてたそうで、なかなかお店に行く時間が取れなかったそうです。あなたが借りたお金の話しましたよ。それで、『今度はちゃんと断って、そんな条件じゃなく普通に自分のことを考えてもらいます。』って言ってたよ。だから、連絡してあげて。」
「そうですか、良かった!ありがとうございます。」
三牙はホッとしているけど、“ヒカリ”って子はまだ三牙を諦めてないんだと、複雑な気持ちだ。
「隅田さんが今後どんな対応するかは分かりませんが、とりあえずお金のことはキチンとする方がスッキリしますよね。」と中森は麻智の顔を見て付け加える。
「それから、柳井田さんのお父さんの話です。やっぱり隅田さんの知り合いの“ヒカリ”さんが、あのオフ会に来てた〔みけりす〕で間違い無かったんですが、〔みけりす〕は薬なんて盛ってないそうです。
それで、よく考えて思い出したんですが、一次会の会計が済んでから、柳井田さんが薬を自分で飲んでたんです。確か、『アレルギーあってなぁ、今日忙しくて忘れてた』って言ってたんです。
その時水が無くて、焼酎の水割りの氷が溶けた残りで飲んでたんですよね。それからまた〔みけりす〕とホテルでビールを飲んでるので、それが薬に作用したみたいです。
柳井田さんに電話で確認しましたが、『確かにあの時、アレルギーの薬飲んだよ』と言ってました。」
「へぇー、やっぱり薬とお酒って駄目なもんなんですね。」
「薬って、やっぱり飲み方はキチンと守らないと危ないですよね。」
「そうですね、父にも気を付けるようによく言って聞かせます。
色々調べていただいてありがとうございました。」
中森はただそれだけの用事で、アパートから帰って行った。
**
三牙のお父さんが家に帰って来たと、三牙の携帯に連絡が入る。電話を切った後、私にも話してくれた。
「中森さんと父さんは面識があったみたいで、詐欺を疑われた後に父さんから連絡を入れたそうなんだ。それで、詐欺の事を調べてくれてたみたい。
顧客がゼロになって、すごく困り果てたんだけど、『こんな疑惑だけで顧客が離れるということは、元々オレに信用が無かったんだ』って気付いて、別の仕事にするか悩んだんだけど、この仕事しかないと思って新たに資格を取ることにしたんだって。
母さんにはちゃんと伝えてたんだけど、俺には『受かったら伝える』っていうことだったから、2人に隠されて、俺だけが知らなかったみたい。
そういえば母さんが『父さんさ、家出てしばらく帰って来ないみたい。どこ行ったか分からないけど、心配するなって置き手紙残してある。』ってそん時言ってて、俺が勘違いしてただけだった。いや、母さんがちょっと盛ってたんだな、演出というか。俺の気持ちも知らないで…。」
「お父さん帰って来て良かったね!
でもお母さんて、その…冗談とか好きな人?」
「まあ、冗談っていうよりは、ちょっとサスペンスとかミステリーとか、そういうの超好きなんだ。2時間ドラマとかスッゲー見てて、そん時話かけても返事もしないくらい。」
「うわー、世界に入り込んでたんだね。でも、会社がそんな状況でそういう“なりきる”とかさ、余裕があるというか…。」
「母さん、かなりの楽天家だから。
父さんは昔、証券会社に勤めてた頃は精神病んでスッゲーやな奴だったらしいけど、退職して独立したら人が180度変わって、母さん寄りになったんだ。
だからウチ結構楽しい家庭だったよ。」
「で、お父さんはこれからどうするの?」
「犯人も捕まって、本当に父さんの身の潔白が証明されたから、またファイナンシャルアドバイザーの仕事再会するって。」
しばらくして、“ヒカリ”さんと会い、ちゃんとお金を返して、誠意を持って結婚はできないとお断りし、円満に終わったそうだ。
その時、「私の本当のお父さんが見つかって、これから親子の時間作ってくの。だから、結婚なんてしてる暇ない。逆に断ってくれてありがとう」と言われたそうだ。
それから、三牙のお父さんは被害者なのだけど、証券会社時代の事を謝罪したいと是都の弁護士さんに伝えたそうだ。
お父さんが仕事復帰して、三牙は大学院に復学し、きちんと課程を修了した。
東京で就職も決まり、研究者として忙しくもやり甲斐のある毎日を送ってる。
*
萩の花咲く暑い季節、麻智と三牙は下関市にある海峡ゆめタワーにいる。
レストランで食事を済ませ、パノラマ展望室へと昇る。
タワーもライトアップされているが、タワーから見える夜景は行き交う船と揺らめく海峡と合わさってとても幻想的だ。
うっとりと夜景を眺めていると、三牙が麻智を見つめてくる。
目が合って、体を三牙の方へ向き直し、2人が向いあったところで、
「麻智、麻智のお母さんが失踪した時、色々嘘ついたり隠し事したりして随分信用無くしたけど、これからは絶対隠し事なんてしないから、俺と結婚してください。」
とプロポーズされる。
「はい。」
麻智は間髪入れずに即答する。
「なんか、照れるね。」
小さめの声で話したつもりだったけど、近くには沢山のカップルがいて、ニコニコと笑顔をこちらに向けてくる。
皆の顔には“おめでとう”と書いてあるようで、小さく拍手をしてくれる人もいる。
嬉しいけど恥ずかしい、最高の瞬間を迎えた麻智と三牙なのでした。
⌘ おしまい ⌘
◇◇◇◇◇◇
最後まで読んで下さりありがとうございます♪
ミステリーに挑戦しようと書き始めましたが、ただのドラマになり、かなり難しいかったというのが本音です。
この作品では、1つの事柄も、人が違えば事情も見方も変わる。悪い人は本当に悪いのか?ということを書きたかったのですが、登場人物は増えていくし、本人の回想ばかりになってしまいました。
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