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第一話
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しかしまさかこれほど怪しい人間たちに声をかけられるとは思ってもみなかった。
ちなみに妖精を見たか否かについては
「はい」
と返事せざるを得なかった。
「そうか!話は本当だったんだ!」
「あの、話って誰から聞いたんですか?」
「山口っていう、同級生だけど」
「じゃあ伝えておいてください。今度妖精をけしかけてやるって」
「伝えておくよ。ていうか、本当にそんなことができるの?」
「できないに決まっているじゃないですか」
本当はできてしまうのだけれど、言わないでおく。このうえ、妖精を操る魔法使いみたいな扱いを受ける羽目にはなりたくない。
「そうなんだ」
「ねえ、それよりもさ、妖精を見た時の話を聞かせてよ」
そばかすの多い女が言った。
「いやそれよりも先に入部届書かせちゃった方がいいんじゃない?逃げられる前に」
「え?」
「入部届、持ってるでしょ?出して」
ポニーテールの女が言う。
「なんでですか」
「なんでって、書くから」
「なんて書くんですか?」
「民俗学研究部って、欄に」
「それってここの部の名前ですよね?いやですよ、入部なんてしませんよ」
「いいからだせよ」
(うわあ、がら悪い)
「まあまあ小澤さん。そんな風に強制しちゃいけないよ。片山君だって、ほかに入りたい部があるかもしれないし」
「僕は美術部に入りたいです」
「まあ、それはそれとして。この部は入っておいた方がいいよ、本当に。まずお菓子が食べ放題。それにね、帰る時間も自由だし、なんかやらなきゃとかっていうのもないから」
「いや、それでもちょっと」
そんなサービスくらいで部活に入る気にはなれなかった。それにお菓子食べ放題については学校の休み時間にいくらだって食べられるし、それほど大した特典でもない。
「ううん。ああそうだ、御坂さんどこにいる?」
「まだ来てない」
そばかすの女が答えた。
「じゃあ、ちょっと呼んでくるから待ってて」
男の人はそういって出ていった。
「自己紹介でもしておく?」
ポニーテールの女がそばかすの女に言う。
「そうだね」
「あーじゃあ、私からで、名前は山口美琴って言います」
ポニーテールの女の人は言った。
「私は近衛美香です。妖精とかそういう系の話。ちょうど片山君が見たってやつだね」
そばかすの女が言った。
「で、あの男が谷崎潤一郎。小説家とおんなじ名前だから覚えやすいでしょ」
「そうですね」
「で、これから連れてくる人が女子なんだけど、御坂奈緒っていう人なんだけど、まあすごく美人」
「はあ。ああ、一応僕も自己紹介します。片山治と言います」
「よろしくね」
「よろしくお願いします」
「うん、まあ後は……入部届書いておこうか」
「書きませんよ」
「まあまあ、美術部に入りたいっていうならさ、美術部に入ればいいじゃん。で、こっちにも入っておくと」
「どうしてそんなに入れたがるんですか、僕を」
「いやー、この部ってさ名前はすんごく難しいけど、言っちゃえばオカルトマニアの集まりなのよ。だけど名前の割にはオカルトらしいことの一つも体験したことのない人間しかいないさ。オカルトを研究しているわけだからさ、誰かしらオカルト的なことを経験した人の一人や二人はいてほしいじゃん?だから片山君に入部してほしいさ」
「そんな、妖精に会いたいんだったらいくらだって会えますよ」
「いいよね、会ったことあるやつはそういうこと言うんだよ」
「山口先輩も多分会えますよ。この学校で」
「まじで?」
「まじです」
「嘘、妖精に会えるの?」
そばかすの女が言った。
「本当です。こうやるんです」
説明をしようとした矢先、男の谷崎先輩が入ってきた。その傍らには、御坂先輩と思しき人がいた。
ちなみに妖精を見たか否かについては
「はい」
と返事せざるを得なかった。
「そうか!話は本当だったんだ!」
「あの、話って誰から聞いたんですか?」
「山口っていう、同級生だけど」
「じゃあ伝えておいてください。今度妖精をけしかけてやるって」
「伝えておくよ。ていうか、本当にそんなことができるの?」
「できないに決まっているじゃないですか」
本当はできてしまうのだけれど、言わないでおく。このうえ、妖精を操る魔法使いみたいな扱いを受ける羽目にはなりたくない。
「そうなんだ」
「ねえ、それよりもさ、妖精を見た時の話を聞かせてよ」
そばかすの多い女が言った。
「いやそれよりも先に入部届書かせちゃった方がいいんじゃない?逃げられる前に」
「え?」
「入部届、持ってるでしょ?出して」
ポニーテールの女が言う。
「なんでですか」
「なんでって、書くから」
「なんて書くんですか?」
「民俗学研究部って、欄に」
「それってここの部の名前ですよね?いやですよ、入部なんてしませんよ」
「いいからだせよ」
(うわあ、がら悪い)
「まあまあ小澤さん。そんな風に強制しちゃいけないよ。片山君だって、ほかに入りたい部があるかもしれないし」
「僕は美術部に入りたいです」
「まあ、それはそれとして。この部は入っておいた方がいいよ、本当に。まずお菓子が食べ放題。それにね、帰る時間も自由だし、なんかやらなきゃとかっていうのもないから」
「いや、それでもちょっと」
そんなサービスくらいで部活に入る気にはなれなかった。それにお菓子食べ放題については学校の休み時間にいくらだって食べられるし、それほど大した特典でもない。
「ううん。ああそうだ、御坂さんどこにいる?」
「まだ来てない」
そばかすの女が答えた。
「じゃあ、ちょっと呼んでくるから待ってて」
男の人はそういって出ていった。
「自己紹介でもしておく?」
ポニーテールの女がそばかすの女に言う。
「そうだね」
「あーじゃあ、私からで、名前は山口美琴って言います」
ポニーテールの女の人は言った。
「私は近衛美香です。妖精とかそういう系の話。ちょうど片山君が見たってやつだね」
そばかすの女が言った。
「で、あの男が谷崎潤一郎。小説家とおんなじ名前だから覚えやすいでしょ」
「そうですね」
「で、これから連れてくる人が女子なんだけど、御坂奈緒っていう人なんだけど、まあすごく美人」
「はあ。ああ、一応僕も自己紹介します。片山治と言います」
「よろしくね」
「よろしくお願いします」
「うん、まあ後は……入部届書いておこうか」
「書きませんよ」
「まあまあ、美術部に入りたいっていうならさ、美術部に入ればいいじゃん。で、こっちにも入っておくと」
「どうしてそんなに入れたがるんですか、僕を」
「いやー、この部ってさ名前はすんごく難しいけど、言っちゃえばオカルトマニアの集まりなのよ。だけど名前の割にはオカルトらしいことの一つも体験したことのない人間しかいないさ。オカルトを研究しているわけだからさ、誰かしらオカルト的なことを経験した人の一人や二人はいてほしいじゃん?だから片山君に入部してほしいさ」
「そんな、妖精に会いたいんだったらいくらだって会えますよ」
「いいよね、会ったことあるやつはそういうこと言うんだよ」
「山口先輩も多分会えますよ。この学校で」
「まじで?」
「まじです」
「嘘、妖精に会えるの?」
そばかすの女が言った。
「本当です。こうやるんです」
説明をしようとした矢先、男の谷崎先輩が入ってきた。その傍らには、御坂先輩と思しき人がいた。
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