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第3話
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「くれぐれも、今後は何もしないように。」
…って、言われちゃったね。
昨日のことなんだけどね、エリオットは、ミカヅキと魔力を共有したおかげで授業中にすごい魔法を披露しちゃったんだ。それで、クラスメイトだと思うんだけど、妬んでくる人がいて放課後に資料室に閉じ込められちゃったんだ。でもエリオットは、持ち前の好奇心で閉じ込められてることも忘れて資料室のものを色々あさったんだ。その中に校長の日記…もとい封印の書があって、その封印を解いたんだよ。封印の書からは、なんと大学生が出てきて、25年もの間封印されてたんだって!その人はホットって名前で、25年も経ってて本当は45歳なんだけど、現校長のはからいで特別にあと2年この学園にいられることになったよ。まあ見た目は20歳年相応に見えるし…いいのかな。よくわかんないけど、ホットもエリオットとミカヅキと一緒に住むことになって、昨日は3人で団欒を楽しんだんだよね。
…だよね?
「くそっ!くっつくなこの!」
えー、なになに?
なにごと?
「まあまあ、そんなに怒らなくても良いだろう。君、ミカヅキも嫌がってるのに無理強いはいかん。」
んー、まず状況を整理しよう。
ここは、エリオット、ミカヅキ、ホットが住んでる平屋だよね。
で、今はリビングで朝食中。
そして、食事中なんだけど、なぜかミカヅキがエリオットに抱きついている、エリオットは嫌がってキレている、それをホットがなだめている、といったところかな。
ミカヅキ、なんで抱きついてるの?
「だってー!大好きなんだもン!」
あらら。ミカヅキってば、エリオットにフォーリンラブなわけ?
いいね~、青春だね~。
でも出会ったの一昨日だよね。
どこが好きなの?
「顔めっちゃいい~!好みヨ~!」
か、顔ですか。たしかにかなりイケメンだとは思うけど、性格は…?
「中身はよくわかんない!ケド顔好きー!」
………。
そうなんだ。なんだか可哀想だね、エリオット。
まあでも好かれてて良かったじゃない。一緒に住んでるんだから、嫌われるより良いよね。
「だからひっつくなと言ってるだろがー!俺は女は嫌いなんだよ!!!」
…エリオットの方は随分嫌みたいだけどね。
「おいおい、良い加減にしたまえよ!」
ホット、大変そうだねえ。
あ、ねえ、そろそろ出かけた方がいいんじゃない?授業始まるよー!
「わわ!もうこんな時間!早く行くヨ!」
「は?誰のせいでこんな時間になったと思ってるんだよ!」
「まあまあ、2人とも仲良く!」
さあ、みんなそれぞれの校舎に行こうー!
エリオットは高等部2年。校舎2階の真ん中の教室!
ミカヅキは中等部。
ホットは学部生だから、ちょっと遠いね。
高等部は家から近くていいね!
さ、教室に入ろう…って、そう言えば、昨日のことがあるから、入りにくいよね。閉じ込めてきた人、あの声、誰だったんだろう…。
でも、ま、気にしたって仕方ない!さ、頑張って行こ?
うーん。いつもと変わらない感じだね。
話しかけてくる人もいないけど、特に他に変わったこともないね。
良かったね。さ、席に座って…って、あれ?!机の中に入れてた教科書がないよ!…もしかして…隠されちゃった?!
どうしよう、置いといたのが良くなかったね…。でもこんなことになるとは思わないもんねえ。
どうする?
えっ、今日はサボるって?ダメだよ!それじゃあ相手の思うツボ…って、もう、行っちゃったよ。
ねえー!戻ろうよー!
って、速いな!
どこ行くのさあ!
………。
ここは…。庭園みたいなところだね。噴水や花壇があって、とても綺麗だけど…。
学園内にこんなところもあったんだね。
本当にこの学園って広いんだねえ、って感心してる場合じゃないや!
ねえ!エリオット!戻ろうよお!
こんなとこにいても、何も解決しないよ!せっかく魔法も使えるようになったんだから、授業ちゃんと受けて頑張ろうよー!
って、聞いてないもとい聞こえないよね…なんたってナレーションだから…。
あー!もどかしい!
エリオットー!
エリオットってば!
エリオットやーい!
「………っ」
えっ!?
エリオット?
もしかして、もしかして…泣いてる?
「………なんでだよ…っ!」
…エリオット…。
そりゃ辛いよね。
今までは魔法うまく使えなくて、こそこそ笑われたりしてて…。使えたら使えたで嫉妬されていじめられて…。
いつも一人で…。
気づかなかったけど、色々抱え込んでたんだね。
と、その時…。
「エリオットー!!」
え?誰?
「ダイジョブー?!」
この声は…ミカヅキ?!
「エリオット、ダイジョブ?授業どうした??」
「お前…なんで?」
本当、どうしてここにいるんだろ。
「お前じゃない、ミカヅキヨ。アレ、中等部の校舎。窓からここ、見える。エリオット見えたから、何かあったかー、思って来てみた。私の教室、今自習だから、ダイジョブ!エリオット、涙…。泣いてた?」
「うっ、うるさい…!」
エリオットの目からは、更に涙がこぼれたよ。わかる、心配してもらって嬉しくて、余計涙が出るんだよね。
「ダイジョブだよ!ミカヅキ、ついてる!」
「………っ!」
こういう時は、ミカヅキの存在が、ありがたいね。ミカヅキはいつもみたいにエリオットを抱きしめてるけど、今はエリオットもミカヅキに体を預けてるように見えるね。
わわ、もう、見せつけないでよ!
恥ずかしいじゃんかっ!
そうして2人はしばらく過ごしたよ。
エリオットは、事情をミカヅキに話して、ミカヅキは悲しそうな顔をしたけど、「私がチカラにならなくちゃ!」と決心をしたみたい。
エリオット、少しミカヅキに心を開いたのかな。
というか、案外エリオットって、落ちやすいんだね。あんなに嫌がってたのに!草生えるっての!w
で、エリオットはどうしたかっていうと、ちゃんとその後の授業をうけましたとさ。教科書はどうしたかって?ななんと、隣の子に見せてもらったのでした。
その子はヨールナって名前の女の子で、赤毛の長い髪が特徴的だよ。ちょっと気がきつそうだけど、親切にしてくれたよ。良いことは続くもんだね。クラスの子としては初めての友達になれるといいよね。
さて、放課後だよ!
今日は十分気をつけて帰ろうね!
今日は先生にも呼び止めなれなかったし、まっすぐ帰ろうか。
家に着いたね。
あ、ミカヅキはもう帰ってるみたい。靴があるよ。部屋にいるみたいだね。宿題でもしてるのかな?
エリオットも、とりあえず部屋で落ち着こうか。
はあーっ。
今日も終わったね。
初めてのクラスの友達もできそうだし、結果的には良い日だったんじゃない?
あとは、宿題して、ご飯食べてお風呂入って寝るだけだね!ミカヅキとホットとお話しもしようね!
さて、宿題、宿題~。
終わったね。ちょっと時間がかかったね。もう日暮れだよ。
なんだか良い匂いがするね。
あ、ミカヅキが晩御飯作ってくれてるみたい。
…奥さんみたいだね。隅に置けないね!
あ、ホットも帰って来たみたい。
お帰り~!
「諸君!ニュースだ!ニュース!」
え?何?帰ってきて早々に…。
「封印の情報を仕入れてきたぞ!」
え?封印?それって昨日校長に、「今後は何もしないように」って、念を押されたところじゃない。
「考えてもみてくれ!僕は封印によって、人生をめちゃくちゃにされた!かつての級友は既に卒業し、各界で活躍しているというのに…。こんな悲劇は終わらせなければならない!全ての封印を解いていかねば!そうは思わんか?!」
どうする?エリオット。
「…俺にはあんまり関係ないけど、どんな奴が出てくるのかは、興味ある。」
「おお、動機はどうあれ、協力してくれるのだな!ミカヅキはどうだ?!」
「エリオットがやるなら、協力するヨ」
「やってくれるか!では早速だが、学園内南の方にある、63と書かれたマンホールの地下に、封印したものがあるらしいのだ。その封印を、解きに行こう!善は急げだ!今夜決行しよう!」
え?え?え?ちょっと待って!急すぎ!
そもそもどこでそんな情報仕入れてきたのさ!
「実は僕は、体の色を変えられるカメレオン体質なんだ。それで、教授たちの会議に忍び込んで、偶然この情報を仕入れたんだ。」
カ、カメレオン体質?!
何それ、聞いたことないよ?
たしかに学園にはちょっと変わった力を持った人がいるけど、カメレオン体質って…それは体の色を変えて、景色に溶け込んで隠れることができるってこと?
べ、便利だけど、そんなことってあり得るの?
ちょっと見せてよ!百聞は一見にしかず!
「信じられないって顔だな。じゃあ見せてやろう。どこに行った?!って騒ぐなよ。では!」
………。
え?
本当にいなくなったよ?!
ど、どこいっちゃったの?!
ホットー!?
「………。」
「………。」
って、2人とも冷静だね…。
いや、どちらかというと、あっけにとられてるんだね。
口開いてるよ。
あのー、ホットさん、そろそろ出てきてもらえませんか?
ホットは姿を現した。
「驚いて言葉もないようだな。まあ当然だろう。離れ業だからな。だが、この力は私の一族に代々伝わるものなのだ。誰でも習得できるものではない。知られてないのも当然だろう。いや、愉快愉快。その顔写真に撮って飾っておきたいくらいだ!」
「写真だって?!冗談じゃない!」
「ホットって、スゴイんだネ~!」
本当、なんだかすごいよね。
でも2人の顔、たしかにすっごく面白かったよ。見せてあげられないのが残念だよ!
で、本題の封印のことだけど、教授が会議なんかで軽々しく言うなんて、ちょっとおかしくない?それか、そんなに秘密にしようともしてないのかな。それにしては、「今後は何もしないように。」って言ってたし、どっちなんだろう?
でもまあ、とりあえずは気になるし、行ってみようか。
晩御飯も食べて、夜も更けたよ。
さあ、行こうか!
学園内の南の方って、かなりアバウトだけど、大丈夫?マンホールも結構たくさんあるよ?そのうちの一個を見つけるのって、大変じゃない?
「かなりあるな。マンホール。」
そうだよ~。探すなんて、無理じゃない?
「これ、57だ。」
「こっちは58だヨ~~!」
って、もしかして、道なりに順番になってる?
ってことは、もうすぐ近くじゃん!63!
あと5つだよ!
行こう!目標は近い!
………。
あったね。あっけなかったね。
地下だよねえ?
早速開けてみる?
ぱかっとな。
うわ、暗いよ?
あかりとか持ってきた?
「ーーーーー!」
あっ、ホットの指先が光ってる。そんな魔法もあるんだ!
これで、暗くても大丈夫だね!
中に入るの?本当に?かなり不気味だよ…って、エリオットもう入っちゃった。好奇心に火がついちゃったのかな。
「ミカヅキ、ちょっと怖いヨ!」
そうだよね、怖いよね。何があるのかもよくわかんないし…。
ミカヅキは外で待ってる?どうする?
「私、外で見張り番してるヨ!2人、ヨロシク!」
そうだね、女の子には危険かもしれないし、その方がいいかも。
じゃあ2人で行ってこようか。
あ、ホット、早く行かなきゃ。
エリオット先々行っちゃってるよ!
「待ってくれ!…気の早いことだ。」
ホットもはしごを使って下に降りたよ。
エリオットってば、真っ暗なのに、よく一人で進めるね。
バタン!
「痛ぇっ!」
あら、言わんこっちゃない。転んじゃったみたい。まだドブに落ちなくて良かったね。
「大丈夫か?慌てることはない。慎重に行こうではないか。」
「ああ、そうですね。」
やっぱりあかりがないとダメだね。ホット、よろしく!
それにしても、何も無いように見えるけど、本当に何か封印されたものってあるの?
「チュウ!」
ん?チュウって鳴き声と言えば…ネズミしかないよね?
こういうところにネズミって、やっぱりいるんだ…。
まあ、気にしないで行こう?
「チュウ!」
「チュウ!」
「チュウ!」
…なんか、言っていい?
あと、つけられてない?
ねえ、そうだよね?絶対つけられてるよね?!
どうする?振り返る?
…でも実はネズミじゃなくて、おっかない何かだったら…。
いやでも気になるよね。
思い切って振り返って見てみる?
………。
2人は後ろを振り返ったよ。
そこにいたのは…。
…やっぱりネズミだった。
「チュウ!」
「なんだ、ネズミか、驚かせるなよ。」
ホットがネズミをつまんで顔の近くまで持ってきて話しかけたよ。
すると。
「チュウ!助けてほしいでちゅう!」
えっ!
今、喋った?
ネズミが喋った…の?
嘘だあ。聞き間違いかな。
「チュウ!ボクたち、猫の親分にいじめられてるんだチュウ!助けてでチュウ!」
…確かに喋ってるよね。
聞き間違いじゃないよね。
助けてって…。
これは夢?!
ほっぺつまんでつまんで!
あー痛いっ!夢じゃない!
本当?現実?
なんで?!なんで喋れるの?!
「事情は後で話すチュウ!今は助けてほしいでチュウ!じゃないと、ボクのお嫁さんが食べられちゃうでチュウ!」
お嫁さん?!なんだかわからないけど、助けてあげる?
どうする?
「その猫はどこにいるんだ?」
「た、助けてくれるんでちゅね?!こっちでチュウ!」
2人はネズミについていったよ。
そして、ある部屋に通されたよ。
「ここで待ってたら、猫親分が、現れるはずでチュウ!よろしくでチュウ!」
そして待つこと10分。
「なあ、なんか怪しくないか?」
「確かに。僕の経験上でも怪しい展開だ。」
「さっきのネズミ、どこ行ったんだ。」
ガタン!
えっ?なんの音?!
ギシ!
ギシギシッ!
ギシギシギシギシ!
「なあ、なんか壁、迫ってきてませんか?!」
「確かに。」
「チュウっチュっチュっチュっチュっチュ!」
何?!さっきのネズミの声!
「まんまと引っかかったでチュウ!
チュウっチュっチュ!
お前らは、これから猫親分のディナーになるのでチュウ!」
な、なんだってーー!
まさかの展開!ネズミが猫の子分だなんて!確かに「猫親分」なんて、敵に対して言わないよね…気づくべきだった!
ああ、こんなところで人生終わっちゃうの?エリオット!扉は?!えっ!鍵がかかってる?!
そんなあ。
壁はどんどん迫ってくるし、このままぺちゃんこのおせんべいになっちゃうのかなあ?!
エリオットー!
「まあ落ち着け。」
え?ホット、何か打開策でもあるの?
「昨日教えただろう。」
え?
「鍵開けの呪文。」
あっ!あーー!
そうだった!昨日も閉じ込められてて、ホットの鍵開けの呪文で助けてもらったんだった!
じゃ、じゃあ早く開けてよ!死んじゃうよ!
「まあ待て、ここは練習する良い機会だ。エリオット、やってみるがいい。」
ええっ!この危機的状況で、初実戦ですか?!いやー、これはちょっとハードル高いんですけど!!!
「どうした?やらないのか?やらないと死んでしまうぞ。」
いや、あんたがやってよ!慣れてるんだから!
「いや、実は僕、昼間のカメレオン化とさっきのあかり灯すので、ほとんどMP残ってないんだ。」
お、おい!かこつけといて本当に無理なの?!
ど、どうする!?エリオット!
って、やるしかないよね!やるしか!
が、頑張れ!
「全然練習なんかしてないんだけど!」
しててもしてなくても、今はやるしかないよ!
「しょ、しょうがないな!」
「ーーーーー!」
………。
あれ?開かないよ?!
も、もう一度!
「ーーーーー!」
………。
うわあ!本当に開かない!
呪文が間違ってるのかな!
そんなことないよね!ホット何も言わないし…。
「力みすぎだ。もっと力を抜いてやれ。」
む、無茶な!この状況で落ち着いてやれって方が無理があるよ!
でもでも!どうするの?!
もう壁は1メートル先くらいまで来てるよ?!
頑張って!落ち着いて!
「ーーーーー!」
…ダメかあ。
「ミカヅキは大丈夫だろうか。」
え?ホット?こんな時に何言い出すの!
「こんな夜更けに女子1人でいるのは心細いだろうな。」
こらこら!エリオットが余計動揺しちゃうでしょ!
「もしかして、誰かに見つかって、何か酷い目に遭ってるかも…。」
こらー!やめろー!
死にたいのかー!
「あーあ…。」
「うるさいっ!ーーーーー!」
かちゃり
あ、開いたーーー!
良かった!これで出られるね!
助かったね!
もしかして、エリオットってば、ミカヅキが心配で、火事場のクソ力出ちゃった?ええー、もう、また見せつけてくれちゃうんだから!
まあ、それはさておき!早く出よう?
さ!
外へ出ると、大きな太ったトラ猫が、二本足で立っていたよ。
「うわっ!」
うわっ!だよねそりゃ。
ただでさえ急に何か現れたらびっくりするし、この猫ふつうの大きさじゃないし、二本足だし!
一体何者なんですか!
「…おいらが…猫親分でやんす。こんたびは、ご迷惑をおかけしやした。」
…え?
なんか、謝られてる?
「こんのチュウ太郎が、早まって、酷いことをいたしやした。この落とし前、どうつけさしていただいたらよろしいやら…」
えっ!
待って!
どういうこと?!
「あっしは、この地下世界で一応、親分をさせてもらってます。でも、正直、平和に暮らせたらいいんでやんす。けど、このネズミときたら、急に現れておいらを世界一の猫親分にするんだーって、勢い込んで、色々やらかすんでさ。お二方には、本当に申し訳ないでやんす。今も、やっとこのことを聞きつけて、助けに来たんでやんす。」
はあ。
つまり、さっきのネズミが、猫親分にとって良かれと思ってしでかしたってこと?よくわからないけど。
「チュー!!!物足りない!物足りないでチュウ!何で猫親分は、こうも消極的なんでチュウ!面白くないでチュウ!」
そう言えば、このネズミと言い、猫親分と言い、人間の言葉喋ってるよね。不思議だね。
「あっしらは、元々人間だったんでさ。けど、色々悪いことする内に、罰を受けたんでしょうな。気づいたら、この姿になっちまってて。こんなんじゃ地上では暮らせない。だから、こんな地下世界で暮らしてるんでやんす。おこがましいお願いとは承知でさ、このことは、他の人間たちには黙っといてもらえませんか?」
え、そんなことがあったんだ。なんだか昔話みたいだけど、だから人間の言葉が話せるんだね。
黙っとくのはいいよね。ネズミさえしっかり監督しといてくれれば。
「ネズミにはしっかり言いつけて、今後もやらかさないように、しっかり見張っとくでやんす。
そして、黙っといてもらえる代わりに、これを差し上げるでやんす。」
えっ!なになに?!
本?
わわっ!
お札が貼ってあるよ!
これは封印の書?!
「地下世界にはいくつも小部屋があって、そのうちの1つにあったんでさ。あっしら、怖くてよう開けないもんでさ。お二方に差し上げます。」
ありがたくいただくよね?
ラッキーだね!
ネズミに捕まってなかったら、見つからなかったかもしれないよね!その点では感謝かな!
じゃ、用も済んだし!ミカヅキも心配だし!戻ろうか!
「出口まで案内するでやんす。」
おおっ!ありがたいね!
ネズミのことはよろしくね!
入ってきた63のマンホールの下まで来たね。猫親分とはここでお別れだね。
また会えるといいよね。
「ではお二方、お元気で!」
猫親分、帰っていったよ。
なんだか、いい人(猫)だったね。
あ、そうそう!ミカヅキ、無事?!
「遅いヨ!ちょっと怖かったヨ!」
ごめん!色々あってさ!
でもほら!封印の書!見つかったよ!
「わあー、古い本!いつからあるんだロ!すっごい昔の人が出てきたりしテ!」
あり得る…。ちょっと怖いよね。言葉とか通じるのかな。
とりあえず、家に帰ってお札をはがしてみよう!
家に着いたよ。
さあ、はがしてみよう!
ぺりぺりっと。
あー、ドキドキするね。
あれ?いつもみたいに光らないよ?
何?偽物?!
って、その代わりに、何か文字が浮き出てきたよ?
「いにしえの封印呪文?」
えっ、これって…もしかして禁断の魔法?!いや、違うかもだけど、こんな呪文、学校では習わないよね?
なになに?鳥類に使える封印呪文で、封印した鳥類は召喚もできる…かっこいいじゃん。必要MPは……
1500?!!
え?一桁見間違えてない?
1500って…ふつうの人間じゃそんなにある人いないよ?!
こりゃあ使えないね。
え?エリオット、一応覚えておくの?
ま、まあ、今のエリオットはMP無限大みたいなものだし、ありかとは思うけど…。でも何に使うの?怪鳥とかいたらまた別だけど、日常生活で使うことってないよね?
え?もしもの時のため?
ま、まあ好きにするといいよ。
で、そろそろお出ましなんじゃない?
コツコツ
ほら来た!
「おほんっ!」
「こ、校長!」
「鍵が開いていたのでな。入らせてもらったぞい。そして…またやらかしおったな。あれほど念を押しておいたのに…。今後は何もしないようにと。」
「でも校長!人を封印しておくのはやっぱり良くないと思うんです!」
「今回は人ではなかったじゃろ。それに、ややこしいもんをみつけてきおって。これは、その昔、この国の鳥類を絶滅まで追いやった、恐ろしい呪文なのじゃぞ。」
えっ、その呪文使う人いたの?!それに鳥類が絶滅する程って、MP1500の呪文何回唱えたんだよ!怖え!あ、もしかして、1人じゃなかったとか?それにしてもおかしいよ!
「とにかく、これは没収じゃ。覚えた呪文も忘れなさい。」
と言われても忘れられないのがエリオットだよね。多分。
「はい…わかりました。そういうことなら。」
と、言いつつ、覚えてるんだよね?
「よろしい。では明日からも励むが良い。」
…なんか、あっさりしてたね。
もっと、魔法使って記憶の隠ぺいとかされるかと思ったよ。案外そんな魔法なんてないのかもね。
さ、もう寝よう?
ずいぶん遅くなっちゃったね。
おやすみ、みんな。
第3話終わり
読んでいただき、ありがとうございます。
…って、言われちゃったね。
昨日のことなんだけどね、エリオットは、ミカヅキと魔力を共有したおかげで授業中にすごい魔法を披露しちゃったんだ。それで、クラスメイトだと思うんだけど、妬んでくる人がいて放課後に資料室に閉じ込められちゃったんだ。でもエリオットは、持ち前の好奇心で閉じ込められてることも忘れて資料室のものを色々あさったんだ。その中に校長の日記…もとい封印の書があって、その封印を解いたんだよ。封印の書からは、なんと大学生が出てきて、25年もの間封印されてたんだって!その人はホットって名前で、25年も経ってて本当は45歳なんだけど、現校長のはからいで特別にあと2年この学園にいられることになったよ。まあ見た目は20歳年相応に見えるし…いいのかな。よくわかんないけど、ホットもエリオットとミカヅキと一緒に住むことになって、昨日は3人で団欒を楽しんだんだよね。
…だよね?
「くそっ!くっつくなこの!」
えー、なになに?
なにごと?
「まあまあ、そんなに怒らなくても良いだろう。君、ミカヅキも嫌がってるのに無理強いはいかん。」
んー、まず状況を整理しよう。
ここは、エリオット、ミカヅキ、ホットが住んでる平屋だよね。
で、今はリビングで朝食中。
そして、食事中なんだけど、なぜかミカヅキがエリオットに抱きついている、エリオットは嫌がってキレている、それをホットがなだめている、といったところかな。
ミカヅキ、なんで抱きついてるの?
「だってー!大好きなんだもン!」
あらら。ミカヅキってば、エリオットにフォーリンラブなわけ?
いいね~、青春だね~。
でも出会ったの一昨日だよね。
どこが好きなの?
「顔めっちゃいい~!好みヨ~!」
か、顔ですか。たしかにかなりイケメンだとは思うけど、性格は…?
「中身はよくわかんない!ケド顔好きー!」
………。
そうなんだ。なんだか可哀想だね、エリオット。
まあでも好かれてて良かったじゃない。一緒に住んでるんだから、嫌われるより良いよね。
「だからひっつくなと言ってるだろがー!俺は女は嫌いなんだよ!!!」
…エリオットの方は随分嫌みたいだけどね。
「おいおい、良い加減にしたまえよ!」
ホット、大変そうだねえ。
あ、ねえ、そろそろ出かけた方がいいんじゃない?授業始まるよー!
「わわ!もうこんな時間!早く行くヨ!」
「は?誰のせいでこんな時間になったと思ってるんだよ!」
「まあまあ、2人とも仲良く!」
さあ、みんなそれぞれの校舎に行こうー!
エリオットは高等部2年。校舎2階の真ん中の教室!
ミカヅキは中等部。
ホットは学部生だから、ちょっと遠いね。
高等部は家から近くていいね!
さ、教室に入ろう…って、そう言えば、昨日のことがあるから、入りにくいよね。閉じ込めてきた人、あの声、誰だったんだろう…。
でも、ま、気にしたって仕方ない!さ、頑張って行こ?
うーん。いつもと変わらない感じだね。
話しかけてくる人もいないけど、特に他に変わったこともないね。
良かったね。さ、席に座って…って、あれ?!机の中に入れてた教科書がないよ!…もしかして…隠されちゃった?!
どうしよう、置いといたのが良くなかったね…。でもこんなことになるとは思わないもんねえ。
どうする?
えっ、今日はサボるって?ダメだよ!それじゃあ相手の思うツボ…って、もう、行っちゃったよ。
ねえー!戻ろうよー!
って、速いな!
どこ行くのさあ!
………。
ここは…。庭園みたいなところだね。噴水や花壇があって、とても綺麗だけど…。
学園内にこんなところもあったんだね。
本当にこの学園って広いんだねえ、って感心してる場合じゃないや!
ねえ!エリオット!戻ろうよお!
こんなとこにいても、何も解決しないよ!せっかく魔法も使えるようになったんだから、授業ちゃんと受けて頑張ろうよー!
って、聞いてないもとい聞こえないよね…なんたってナレーションだから…。
あー!もどかしい!
エリオットー!
エリオットってば!
エリオットやーい!
「………っ」
えっ!?
エリオット?
もしかして、もしかして…泣いてる?
「………なんでだよ…っ!」
…エリオット…。
そりゃ辛いよね。
今までは魔法うまく使えなくて、こそこそ笑われたりしてて…。使えたら使えたで嫉妬されていじめられて…。
いつも一人で…。
気づかなかったけど、色々抱え込んでたんだね。
と、その時…。
「エリオットー!!」
え?誰?
「ダイジョブー?!」
この声は…ミカヅキ?!
「エリオット、ダイジョブ?授業どうした??」
「お前…なんで?」
本当、どうしてここにいるんだろ。
「お前じゃない、ミカヅキヨ。アレ、中等部の校舎。窓からここ、見える。エリオット見えたから、何かあったかー、思って来てみた。私の教室、今自習だから、ダイジョブ!エリオット、涙…。泣いてた?」
「うっ、うるさい…!」
エリオットの目からは、更に涙がこぼれたよ。わかる、心配してもらって嬉しくて、余計涙が出るんだよね。
「ダイジョブだよ!ミカヅキ、ついてる!」
「………っ!」
こういう時は、ミカヅキの存在が、ありがたいね。ミカヅキはいつもみたいにエリオットを抱きしめてるけど、今はエリオットもミカヅキに体を預けてるように見えるね。
わわ、もう、見せつけないでよ!
恥ずかしいじゃんかっ!
そうして2人はしばらく過ごしたよ。
エリオットは、事情をミカヅキに話して、ミカヅキは悲しそうな顔をしたけど、「私がチカラにならなくちゃ!」と決心をしたみたい。
エリオット、少しミカヅキに心を開いたのかな。
というか、案外エリオットって、落ちやすいんだね。あんなに嫌がってたのに!草生えるっての!w
で、エリオットはどうしたかっていうと、ちゃんとその後の授業をうけましたとさ。教科書はどうしたかって?ななんと、隣の子に見せてもらったのでした。
その子はヨールナって名前の女の子で、赤毛の長い髪が特徴的だよ。ちょっと気がきつそうだけど、親切にしてくれたよ。良いことは続くもんだね。クラスの子としては初めての友達になれるといいよね。
さて、放課後だよ!
今日は十分気をつけて帰ろうね!
今日は先生にも呼び止めなれなかったし、まっすぐ帰ろうか。
家に着いたね。
あ、ミカヅキはもう帰ってるみたい。靴があるよ。部屋にいるみたいだね。宿題でもしてるのかな?
エリオットも、とりあえず部屋で落ち着こうか。
はあーっ。
今日も終わったね。
初めてのクラスの友達もできそうだし、結果的には良い日だったんじゃない?
あとは、宿題して、ご飯食べてお風呂入って寝るだけだね!ミカヅキとホットとお話しもしようね!
さて、宿題、宿題~。
終わったね。ちょっと時間がかかったね。もう日暮れだよ。
なんだか良い匂いがするね。
あ、ミカヅキが晩御飯作ってくれてるみたい。
…奥さんみたいだね。隅に置けないね!
あ、ホットも帰って来たみたい。
お帰り~!
「諸君!ニュースだ!ニュース!」
え?何?帰ってきて早々に…。
「封印の情報を仕入れてきたぞ!」
え?封印?それって昨日校長に、「今後は何もしないように」って、念を押されたところじゃない。
「考えてもみてくれ!僕は封印によって、人生をめちゃくちゃにされた!かつての級友は既に卒業し、各界で活躍しているというのに…。こんな悲劇は終わらせなければならない!全ての封印を解いていかねば!そうは思わんか?!」
どうする?エリオット。
「…俺にはあんまり関係ないけど、どんな奴が出てくるのかは、興味ある。」
「おお、動機はどうあれ、協力してくれるのだな!ミカヅキはどうだ?!」
「エリオットがやるなら、協力するヨ」
「やってくれるか!では早速だが、学園内南の方にある、63と書かれたマンホールの地下に、封印したものがあるらしいのだ。その封印を、解きに行こう!善は急げだ!今夜決行しよう!」
え?え?え?ちょっと待って!急すぎ!
そもそもどこでそんな情報仕入れてきたのさ!
「実は僕は、体の色を変えられるカメレオン体質なんだ。それで、教授たちの会議に忍び込んで、偶然この情報を仕入れたんだ。」
カ、カメレオン体質?!
何それ、聞いたことないよ?
たしかに学園にはちょっと変わった力を持った人がいるけど、カメレオン体質って…それは体の色を変えて、景色に溶け込んで隠れることができるってこと?
べ、便利だけど、そんなことってあり得るの?
ちょっと見せてよ!百聞は一見にしかず!
「信じられないって顔だな。じゃあ見せてやろう。どこに行った?!って騒ぐなよ。では!」
………。
え?
本当にいなくなったよ?!
ど、どこいっちゃったの?!
ホットー!?
「………。」
「………。」
って、2人とも冷静だね…。
いや、どちらかというと、あっけにとられてるんだね。
口開いてるよ。
あのー、ホットさん、そろそろ出てきてもらえませんか?
ホットは姿を現した。
「驚いて言葉もないようだな。まあ当然だろう。離れ業だからな。だが、この力は私の一族に代々伝わるものなのだ。誰でも習得できるものではない。知られてないのも当然だろう。いや、愉快愉快。その顔写真に撮って飾っておきたいくらいだ!」
「写真だって?!冗談じゃない!」
「ホットって、スゴイんだネ~!」
本当、なんだかすごいよね。
でも2人の顔、たしかにすっごく面白かったよ。見せてあげられないのが残念だよ!
で、本題の封印のことだけど、教授が会議なんかで軽々しく言うなんて、ちょっとおかしくない?それか、そんなに秘密にしようともしてないのかな。それにしては、「今後は何もしないように。」って言ってたし、どっちなんだろう?
でもまあ、とりあえずは気になるし、行ってみようか。
晩御飯も食べて、夜も更けたよ。
さあ、行こうか!
学園内の南の方って、かなりアバウトだけど、大丈夫?マンホールも結構たくさんあるよ?そのうちの一個を見つけるのって、大変じゃない?
「かなりあるな。マンホール。」
そうだよ~。探すなんて、無理じゃない?
「これ、57だ。」
「こっちは58だヨ~~!」
って、もしかして、道なりに順番になってる?
ってことは、もうすぐ近くじゃん!63!
あと5つだよ!
行こう!目標は近い!
………。
あったね。あっけなかったね。
地下だよねえ?
早速開けてみる?
ぱかっとな。
うわ、暗いよ?
あかりとか持ってきた?
「ーーーーー!」
あっ、ホットの指先が光ってる。そんな魔法もあるんだ!
これで、暗くても大丈夫だね!
中に入るの?本当に?かなり不気味だよ…って、エリオットもう入っちゃった。好奇心に火がついちゃったのかな。
「ミカヅキ、ちょっと怖いヨ!」
そうだよね、怖いよね。何があるのかもよくわかんないし…。
ミカヅキは外で待ってる?どうする?
「私、外で見張り番してるヨ!2人、ヨロシク!」
そうだね、女の子には危険かもしれないし、その方がいいかも。
じゃあ2人で行ってこようか。
あ、ホット、早く行かなきゃ。
エリオット先々行っちゃってるよ!
「待ってくれ!…気の早いことだ。」
ホットもはしごを使って下に降りたよ。
エリオットってば、真っ暗なのに、よく一人で進めるね。
バタン!
「痛ぇっ!」
あら、言わんこっちゃない。転んじゃったみたい。まだドブに落ちなくて良かったね。
「大丈夫か?慌てることはない。慎重に行こうではないか。」
「ああ、そうですね。」
やっぱりあかりがないとダメだね。ホット、よろしく!
それにしても、何も無いように見えるけど、本当に何か封印されたものってあるの?
「チュウ!」
ん?チュウって鳴き声と言えば…ネズミしかないよね?
こういうところにネズミって、やっぱりいるんだ…。
まあ、気にしないで行こう?
「チュウ!」
「チュウ!」
「チュウ!」
…なんか、言っていい?
あと、つけられてない?
ねえ、そうだよね?絶対つけられてるよね?!
どうする?振り返る?
…でも実はネズミじゃなくて、おっかない何かだったら…。
いやでも気になるよね。
思い切って振り返って見てみる?
………。
2人は後ろを振り返ったよ。
そこにいたのは…。
…やっぱりネズミだった。
「チュウ!」
「なんだ、ネズミか、驚かせるなよ。」
ホットがネズミをつまんで顔の近くまで持ってきて話しかけたよ。
すると。
「チュウ!助けてほしいでちゅう!」
えっ!
今、喋った?
ネズミが喋った…の?
嘘だあ。聞き間違いかな。
「チュウ!ボクたち、猫の親分にいじめられてるんだチュウ!助けてでチュウ!」
…確かに喋ってるよね。
聞き間違いじゃないよね。
助けてって…。
これは夢?!
ほっぺつまんでつまんで!
あー痛いっ!夢じゃない!
本当?現実?
なんで?!なんで喋れるの?!
「事情は後で話すチュウ!今は助けてほしいでチュウ!じゃないと、ボクのお嫁さんが食べられちゃうでチュウ!」
お嫁さん?!なんだかわからないけど、助けてあげる?
どうする?
「その猫はどこにいるんだ?」
「た、助けてくれるんでちゅね?!こっちでチュウ!」
2人はネズミについていったよ。
そして、ある部屋に通されたよ。
「ここで待ってたら、猫親分が、現れるはずでチュウ!よろしくでチュウ!」
そして待つこと10分。
「なあ、なんか怪しくないか?」
「確かに。僕の経験上でも怪しい展開だ。」
「さっきのネズミ、どこ行ったんだ。」
ガタン!
えっ?なんの音?!
ギシ!
ギシギシッ!
ギシギシギシギシ!
「なあ、なんか壁、迫ってきてませんか?!」
「確かに。」
「チュウっチュっチュっチュっチュっチュ!」
何?!さっきのネズミの声!
「まんまと引っかかったでチュウ!
チュウっチュっチュ!
お前らは、これから猫親分のディナーになるのでチュウ!」
な、なんだってーー!
まさかの展開!ネズミが猫の子分だなんて!確かに「猫親分」なんて、敵に対して言わないよね…気づくべきだった!
ああ、こんなところで人生終わっちゃうの?エリオット!扉は?!えっ!鍵がかかってる?!
そんなあ。
壁はどんどん迫ってくるし、このままぺちゃんこのおせんべいになっちゃうのかなあ?!
エリオットー!
「まあ落ち着け。」
え?ホット、何か打開策でもあるの?
「昨日教えただろう。」
え?
「鍵開けの呪文。」
あっ!あーー!
そうだった!昨日も閉じ込められてて、ホットの鍵開けの呪文で助けてもらったんだった!
じゃ、じゃあ早く開けてよ!死んじゃうよ!
「まあ待て、ここは練習する良い機会だ。エリオット、やってみるがいい。」
ええっ!この危機的状況で、初実戦ですか?!いやー、これはちょっとハードル高いんですけど!!!
「どうした?やらないのか?やらないと死んでしまうぞ。」
いや、あんたがやってよ!慣れてるんだから!
「いや、実は僕、昼間のカメレオン化とさっきのあかり灯すので、ほとんどMP残ってないんだ。」
お、おい!かこつけといて本当に無理なの?!
ど、どうする!?エリオット!
って、やるしかないよね!やるしか!
が、頑張れ!
「全然練習なんかしてないんだけど!」
しててもしてなくても、今はやるしかないよ!
「しょ、しょうがないな!」
「ーーーーー!」
………。
あれ?開かないよ?!
も、もう一度!
「ーーーーー!」
………。
うわあ!本当に開かない!
呪文が間違ってるのかな!
そんなことないよね!ホット何も言わないし…。
「力みすぎだ。もっと力を抜いてやれ。」
む、無茶な!この状況で落ち着いてやれって方が無理があるよ!
でもでも!どうするの?!
もう壁は1メートル先くらいまで来てるよ?!
頑張って!落ち着いて!
「ーーーーー!」
…ダメかあ。
「ミカヅキは大丈夫だろうか。」
え?ホット?こんな時に何言い出すの!
「こんな夜更けに女子1人でいるのは心細いだろうな。」
こらこら!エリオットが余計動揺しちゃうでしょ!
「もしかして、誰かに見つかって、何か酷い目に遭ってるかも…。」
こらー!やめろー!
死にたいのかー!
「あーあ…。」
「うるさいっ!ーーーーー!」
かちゃり
あ、開いたーーー!
良かった!これで出られるね!
助かったね!
もしかして、エリオットってば、ミカヅキが心配で、火事場のクソ力出ちゃった?ええー、もう、また見せつけてくれちゃうんだから!
まあ、それはさておき!早く出よう?
さ!
外へ出ると、大きな太ったトラ猫が、二本足で立っていたよ。
「うわっ!」
うわっ!だよねそりゃ。
ただでさえ急に何か現れたらびっくりするし、この猫ふつうの大きさじゃないし、二本足だし!
一体何者なんですか!
「…おいらが…猫親分でやんす。こんたびは、ご迷惑をおかけしやした。」
…え?
なんか、謝られてる?
「こんのチュウ太郎が、早まって、酷いことをいたしやした。この落とし前、どうつけさしていただいたらよろしいやら…」
えっ!
待って!
どういうこと?!
「あっしは、この地下世界で一応、親分をさせてもらってます。でも、正直、平和に暮らせたらいいんでやんす。けど、このネズミときたら、急に現れておいらを世界一の猫親分にするんだーって、勢い込んで、色々やらかすんでさ。お二方には、本当に申し訳ないでやんす。今も、やっとこのことを聞きつけて、助けに来たんでやんす。」
はあ。
つまり、さっきのネズミが、猫親分にとって良かれと思ってしでかしたってこと?よくわからないけど。
「チュー!!!物足りない!物足りないでチュウ!何で猫親分は、こうも消極的なんでチュウ!面白くないでチュウ!」
そう言えば、このネズミと言い、猫親分と言い、人間の言葉喋ってるよね。不思議だね。
「あっしらは、元々人間だったんでさ。けど、色々悪いことする内に、罰を受けたんでしょうな。気づいたら、この姿になっちまってて。こんなんじゃ地上では暮らせない。だから、こんな地下世界で暮らしてるんでやんす。おこがましいお願いとは承知でさ、このことは、他の人間たちには黙っといてもらえませんか?」
え、そんなことがあったんだ。なんだか昔話みたいだけど、だから人間の言葉が話せるんだね。
黙っとくのはいいよね。ネズミさえしっかり監督しといてくれれば。
「ネズミにはしっかり言いつけて、今後もやらかさないように、しっかり見張っとくでやんす。
そして、黙っといてもらえる代わりに、これを差し上げるでやんす。」
えっ!なになに?!
本?
わわっ!
お札が貼ってあるよ!
これは封印の書?!
「地下世界にはいくつも小部屋があって、そのうちの1つにあったんでさ。あっしら、怖くてよう開けないもんでさ。お二方に差し上げます。」
ありがたくいただくよね?
ラッキーだね!
ネズミに捕まってなかったら、見つからなかったかもしれないよね!その点では感謝かな!
じゃ、用も済んだし!ミカヅキも心配だし!戻ろうか!
「出口まで案内するでやんす。」
おおっ!ありがたいね!
ネズミのことはよろしくね!
入ってきた63のマンホールの下まで来たね。猫親分とはここでお別れだね。
また会えるといいよね。
「ではお二方、お元気で!」
猫親分、帰っていったよ。
なんだか、いい人(猫)だったね。
あ、そうそう!ミカヅキ、無事?!
「遅いヨ!ちょっと怖かったヨ!」
ごめん!色々あってさ!
でもほら!封印の書!見つかったよ!
「わあー、古い本!いつからあるんだロ!すっごい昔の人が出てきたりしテ!」
あり得る…。ちょっと怖いよね。言葉とか通じるのかな。
とりあえず、家に帰ってお札をはがしてみよう!
家に着いたよ。
さあ、はがしてみよう!
ぺりぺりっと。
あー、ドキドキするね。
あれ?いつもみたいに光らないよ?
何?偽物?!
って、その代わりに、何か文字が浮き出てきたよ?
「いにしえの封印呪文?」
えっ、これって…もしかして禁断の魔法?!いや、違うかもだけど、こんな呪文、学校では習わないよね?
なになに?鳥類に使える封印呪文で、封印した鳥類は召喚もできる…かっこいいじゃん。必要MPは……
1500?!!
え?一桁見間違えてない?
1500って…ふつうの人間じゃそんなにある人いないよ?!
こりゃあ使えないね。
え?エリオット、一応覚えておくの?
ま、まあ、今のエリオットはMP無限大みたいなものだし、ありかとは思うけど…。でも何に使うの?怪鳥とかいたらまた別だけど、日常生活で使うことってないよね?
え?もしもの時のため?
ま、まあ好きにするといいよ。
で、そろそろお出ましなんじゃない?
コツコツ
ほら来た!
「おほんっ!」
「こ、校長!」
「鍵が開いていたのでな。入らせてもらったぞい。そして…またやらかしおったな。あれほど念を押しておいたのに…。今後は何もしないようにと。」
「でも校長!人を封印しておくのはやっぱり良くないと思うんです!」
「今回は人ではなかったじゃろ。それに、ややこしいもんをみつけてきおって。これは、その昔、この国の鳥類を絶滅まで追いやった、恐ろしい呪文なのじゃぞ。」
えっ、その呪文使う人いたの?!それに鳥類が絶滅する程って、MP1500の呪文何回唱えたんだよ!怖え!あ、もしかして、1人じゃなかったとか?それにしてもおかしいよ!
「とにかく、これは没収じゃ。覚えた呪文も忘れなさい。」
と言われても忘れられないのがエリオットだよね。多分。
「はい…わかりました。そういうことなら。」
と、言いつつ、覚えてるんだよね?
「よろしい。では明日からも励むが良い。」
…なんか、あっさりしてたね。
もっと、魔法使って記憶の隠ぺいとかされるかと思ったよ。案外そんな魔法なんてないのかもね。
さ、もう寝よう?
ずいぶん遅くなっちゃったね。
おやすみ、みんな。
第3話終わり
読んでいただき、ありがとうございます。
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