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@藤堂side
2.紅茶とチョコレート@藤堂side
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まだ1月だったと思う。俺は休憩室で一緒になったさくらに声を掛けた。
「さくらさん、お疲れ様。」
カップにコーヒーを注いでいた彼女がびっくりして振り返った。
「あ、えっと、お疲れ様です。」
ペコリと頭を下げる。
「総務部の、さくらさんだよね。この間はありがと。」
「あ、いえ…。」
以来、顔を合わせれば挨拶し、休憩室で一緒になれば軽く雑談するようになった。
総務部側にも休憩室があるけど、そっちは昼間も会社にいる人たちの席が近いから混むので日中人がいなくなる営業側の休憩室を使うらしい。
2月、俺は新人の頃から世話になってる製菓メーカー、幸和製菓の広告企画に取り組んでいた。幸和の広告担当の広沢さんは、俺が入社してすぐの頃、何にもわかってないのに、念願の広告代理店に入って息巻いてるだけだった青二才を見放さず、育ててくれた恩人だ。
幸和製菓は、誰もが子供の頃、食べたことのある菓子をいくつか製造しているが、それだけに少子化の影響や、古くさいイメージから、売上が落ち込んでいた。
広沢さんと俺は、幸和の菓子が大人にも食べてもらえるようなイメージ改革戦略を一緒に展開してきた。
昇進して、かなりのクライアントを部下に引き継いだが、企業規模としては大きくはない幸和製菓は手放さずにいた。
今回は、新製品の広告なのだが、この案件を最後に広沢さんは幸和製菓を辞める。ご両親が高齢で、長野で経営しているスーパーを畳むというのを、広沢さんが継ぐことにしたのだそうだ。
広沢さんとの最後の仕事、なんとしてもいいものを作りたい。
いくつかプランを作るけど、どれも広沢さんとの最後の仕事としては足りない。それなりに話題にはなりそうだけど、納得できない。俺は他の大企業の案件やマネジメント業務を抱えて、部下を帰らせてから、幸和製菓のプランを練るという日々だった。
その日、俺はひとりオフィスに残って、やっぱり幸和製菓の案件に悩んでいた。そろそろ終電かあ、近くのホテル泊まった方が明日楽だなあ。
と、考えていた。
「藤堂課長、帰られないんですか?」
うちの課の入り口にさくらがいた。彼女からうちの課に、しかもこんな時間に来ると思ってなかった。
「さくらさん、遅いね。終電大丈夫?」
「そろそろ出ます。みんな帰った後の方が集中できるので、つい。」
さくらを残して、あの総務部長は帰りやがったのか。
さくらがオフィスの奥にある俺の席に近寄って来る。普段ないことだから、ドキっとする。
「あの、良かったら」
さくらが紙カップに入ったお茶と、ベルギー王室御用達の高級チョコレートふたつを俺のデスクに置いた。
「え、俺に?いいの?」
「図々しくすみません。あの、この時間なので、ノンカフェインの紅茶です。」
「チョコ、高いやつじゃん」
「甘いもの、お嫌いですか?」
「いや、チョコレート、好き。ありがとう。どしたの、これ?」
「残業中の楽しみに、デスクに隠し持ってるんです。疲れた時、結構効くので」
「さくらさんのお楽しみ、悪いね。味わって食べるよ」
さくらは照れたように笑って、ぺこりと頭を下げて出ていった。
いつも真面目な顔してるさくらの笑顔に俺はちょっと安心した。
いつもコーヒーだけど、紅茶に甘いチョコレートが、その時の俺の体に染み込んだ。
いつもさくらが好んでる組み合わせかあ。と、彼女がすごく近い存在になった。ノンカフェインの紅茶なんて、自分では用意したこと無かったな。
「さくらさん、お疲れ様。」
カップにコーヒーを注いでいた彼女がびっくりして振り返った。
「あ、えっと、お疲れ様です。」
ペコリと頭を下げる。
「総務部の、さくらさんだよね。この間はありがと。」
「あ、いえ…。」
以来、顔を合わせれば挨拶し、休憩室で一緒になれば軽く雑談するようになった。
総務部側にも休憩室があるけど、そっちは昼間も会社にいる人たちの席が近いから混むので日中人がいなくなる営業側の休憩室を使うらしい。
2月、俺は新人の頃から世話になってる製菓メーカー、幸和製菓の広告企画に取り組んでいた。幸和の広告担当の広沢さんは、俺が入社してすぐの頃、何にもわかってないのに、念願の広告代理店に入って息巻いてるだけだった青二才を見放さず、育ててくれた恩人だ。
幸和製菓は、誰もが子供の頃、食べたことのある菓子をいくつか製造しているが、それだけに少子化の影響や、古くさいイメージから、売上が落ち込んでいた。
広沢さんと俺は、幸和の菓子が大人にも食べてもらえるようなイメージ改革戦略を一緒に展開してきた。
昇進して、かなりのクライアントを部下に引き継いだが、企業規模としては大きくはない幸和製菓は手放さずにいた。
今回は、新製品の広告なのだが、この案件を最後に広沢さんは幸和製菓を辞める。ご両親が高齢で、長野で経営しているスーパーを畳むというのを、広沢さんが継ぐことにしたのだそうだ。
広沢さんとの最後の仕事、なんとしてもいいものを作りたい。
いくつかプランを作るけど、どれも広沢さんとの最後の仕事としては足りない。それなりに話題にはなりそうだけど、納得できない。俺は他の大企業の案件やマネジメント業務を抱えて、部下を帰らせてから、幸和製菓のプランを練るという日々だった。
その日、俺はひとりオフィスに残って、やっぱり幸和製菓の案件に悩んでいた。そろそろ終電かあ、近くのホテル泊まった方が明日楽だなあ。
と、考えていた。
「藤堂課長、帰られないんですか?」
うちの課の入り口にさくらがいた。彼女からうちの課に、しかもこんな時間に来ると思ってなかった。
「さくらさん、遅いね。終電大丈夫?」
「そろそろ出ます。みんな帰った後の方が集中できるので、つい。」
さくらを残して、あの総務部長は帰りやがったのか。
さくらがオフィスの奥にある俺の席に近寄って来る。普段ないことだから、ドキっとする。
「あの、良かったら」
さくらが紙カップに入ったお茶と、ベルギー王室御用達の高級チョコレートふたつを俺のデスクに置いた。
「え、俺に?いいの?」
「図々しくすみません。あの、この時間なので、ノンカフェインの紅茶です。」
「チョコ、高いやつじゃん」
「甘いもの、お嫌いですか?」
「いや、チョコレート、好き。ありがとう。どしたの、これ?」
「残業中の楽しみに、デスクに隠し持ってるんです。疲れた時、結構効くので」
「さくらさんのお楽しみ、悪いね。味わって食べるよ」
さくらは照れたように笑って、ぺこりと頭を下げて出ていった。
いつも真面目な顔してるさくらの笑顔に俺はちょっと安心した。
いつもコーヒーだけど、紅茶に甘いチョコレートが、その時の俺の体に染み込んだ。
いつもさくらが好んでる組み合わせかあ。と、彼女がすごく近い存在になった。ノンカフェインの紅茶なんて、自分では用意したこと無かったな。
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