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@さくらside

5.4月1日20:27 飲んでみる?@さくらside

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 藤堂さんは明るくて、優しくて、うなづきながら私の話を聞いてくれる。さすが営業ナンバーワン。
 調子に乗って藤堂さんのことを色々聞くと、たくさん話してくれる。
 学生時代の藤堂さん、子ども時代の藤堂さん、仕事の話、休みにどうやって過ごしているか…
 藤堂さんの、話、もっと聞いていたい。

 藤堂さんはビールを勢いよく2杯空けて、焼酎をロックで頼む。
「藤堂さん、大人ですね~。焼酎、ロックですか~」
 藤堂さんが飲むとかっこいい飲み物に思える。
「さくらさんは、甘いのがお好みだね。」
「お酒っぽくない味の、ソーダ割になっちゃいますね。藤堂さんみたいに、ビールごくごくとか、ロックで、とか憧れます。」
 私は未だ、お酒を飲むまねごとをしているだけな気がする。

 藤堂さんみたいな30代の大人の人には、こんなお酒のんでるのはおこちゃまに見えるだろうな。
 お酒の相手として不足って思っているだろうな。
 高峰さんなら一緒に焼酎飲んだり、ワインなんかも飲んでそう。
 お似合いだろうな。

「さっぱりして、飲みやすいよ。ちびちびやってる分には、そんなに酔わないし。飲んでみる?」
 藤堂さんが飲んでいる焼酎のグラスを差し出す。え?いいの?私が口付けるの。嫌じゃないの?
「いいんですか?いただきます。」
 すっきりした味わいの冷たい液体が口の中を通り、喉を刺激する。

「あ、ほんと、飲みやすいですね、」
 冷静を装う。
 なんで、藤堂さん、こんなの反則。ドキドキして余計に酔いが回る気がする。
 藤堂さんは気にならないのかな?
 全く意識していないからこんなことができるのかな…。

 私だけが藤堂さんの動き一つで動揺して、ドキドキしてるんだ。
 ずるいな、藤堂さん。

「さくらさん、彼氏は?」
「え?」
「ごめん、セクハラ?」
「あ、いえ、えっと~いないです。」
 そんな質問して、興味なんかないくせに。
 そろそろ会話のネタに困ってきたのかな。

「へ~え。いない歴、何年?」
 一瞬、つまる。付き合ったことないなんて、モテないって宣言するの恥ずかしい。
 藤堂さんに、どんなふうに思われるかな。
 でも、藤堂さんなら、馬鹿にしないかも。
 嘘つき続ける自信もない。

「…ずっといないです。」
「え?うそでしょ、かわいいのに」
 何気なく、私の心臓を止めに来ないで藤堂さん。
 社交辞令でしょうけど、あなたの一言で感情がぐるぐるしてる女がここにいるんです…!

「かわいくなんかないですよ、お堅いってずっと言われて…」
 やっぱり言わなきゃよかったな。
 ちょっと情けない気分。

 25にしてまだ処女だとほぼ宣言してしまっていることに、この時の私は気づいていない。
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