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20.社内じゃなければ、いいの?@藤堂side

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 30周年パーティでドレスアップしたさくらの美しさ。そのさくらに向かられた男たちの目線。
 その姿でさくらが会いに行ったスギシタ。

 焦りでどうにかなりそうだった。

 パーティで俺が勧めた通りノースリーブをジャケットで隠したさくら。
 泣いていていた処女の彼女を抱いた俺を、憎んでも、恨んでもない。
 ただ、距離を取りたがっている。

 あんなに注目されて、いろんな奴らが彼女を欲しがるだろう。

 眼鏡にお堅いパンツスーツで華やかに装わなくても
 みんなのために裏方仕事を一人こなす彼女、
 馬鹿な上司の下、恵まれない環境で報われなくとも努力していた彼女、
 そんな彼女を知らない奴らが、華やかになった彼女の装いで態度を替えて彼女を欲しがる…。

 そんな奴らに彼女を渡したくない。

 首の後ろのキリキリとした緊張が消えないまま、俺は日々を過ごした。

 社内でさくらの姿を探しながら、それでも仕事を回し続ける。


 俺は営業業務の担当役員へ大口のクライアントの案件の報告をするため、上のフロアの役員用のスペースへ出向いていた。
 予約していた役員用のMeeting Roomで資料に基づき説明し、いくつかの質問に答えて報告を終えた。

 めったに使われない役員用の会議室エリアで、人気ひとけがない。この後、この部屋を使う予約まで、時間も空いている。
 俺は席に戻る前に、そのまま居座って持ち込んだノートPCを開いていた。

 扉が開いた。

「あ、お使いでしたか、失礼しました。」
 顔を出したさくらがそのままドアを閉めていこうとした。

「待って、俺も予約の時間がは過ぎてるから、ごめん。」
 俺はノートPCを閉じて立ち上がった。
「私も準備の予約はもう少し後に取っているので、予約外ですから、出直します。」
「いや、次の準備でしょ?」
「ええ、専務のお客様が。手の空いているうちに資料を配置しておこうかと。」
 さくらが机上に抱えてきた資料を置いた。

「すごい量だね」
「ええ、まあ、ほとんど見ないと思うんですけど、専務は紙で出力されたものをお好みですので。」
 ふたりで顔を見合わせて少し笑う。
 今やほとんどの資料がデータで足りるが、古い人間の一部はいちいち紙の資料を用意することを望む。

「あの資料、今や社員全員に広まってるよ。」
「藤堂課長に助言いただいたおかげです。」
「うん、あの夜、話したんだよね。」
 さくらが言葉に詰まる。
『あの夜』、俺がさくらを、抱いた夜。

 おれはさくらを胸に抱いた。
「藤堂課長!」
「お願いだから、今だけ、5分でいいんだ。」
「困ります。社内ですよ。」
「…社内じゃなければ、いいの?」
 屁理屈で逃げ場を奪う。余裕がない、焦り丸出しの自分がみっともないのは分かってる。

「もう、憧れてくれてた気持ちはなくなっちゃったの?」
 ずっと、確認したかったことをやっと聞く。
「さくら?」
「今だって、憧れてるのは変わりません。」
 嬉しい。良かった。でも…
「だったらなんで…距離を取るの?あんなに近づいた後に」

 さくらは答えない。
 このまま手放せば、また距離は遠のいたままになる。
「さくら。あの夜、俺のものになってくれたと思った。なのに…」
「期待して、気持ちが止まらなくなって、つらくなる前に、終わらせなきゃいけないって…」
「なんで?なんで止めるの?」
「ずっと、藤堂さんの横にいられるわけじゃないから!」
 何を言ってるんだ。俺が心変わりするとでも?

「さくら、気持ちは止められるものじゃないって、教えてあげる。」
 俺は激しくさくらに口づけた。さくらが逃げられないようにさくらの首の後ろを手で押さえて。
 長いキスの後、唇を離すと、さくらは苦しそうに肩で息をしている。
 切ない、蕩けた顔…。

「さくら…」
 さくらは逃げない。
 頬を撫で、もう一度唇を合わせる。さっきのように奪うのではなく、ついばみあうように。
 さくらも…応えてくれている。

 顔を見合わせる。
 あの夜のように、蕩けた彼女。
 堪らずしっかり胸に抱く。彼女も俺の背中に手を回す。

 俺は彼女の耳のキスした。
 ぴくっとさくらの肩が上がる。
「ふふ、かわいい。」
 耳の周りを唇で挟む。
「あ…」
 甘い声だ。
 そのまま首筋にキスする。
「ん…っ」
 あの夜と変わらない、かわいい反応に、俺のものが我慢できなくなる。

 ブラウスの胸のボタンをはずして胸のふくらみにキスして吸う。
 さくらがビクンと反応する。
「また、痕…つけたからね。」

 俺はさくらを離してドアに鍵をかけた。
 すぐにまたさくらの元に戻り後ろから抱きしめる。
 ブラウスの上からさくらの胸を揉みしだく。
 さくらの息が荒くなる。
「かわいい、さくら…」

 片手でスカートをたくし上げて脚の内側へ滑り込ませる。
「藤堂さん…、ダメ…」
「俺に、触れられるの、嫌?」
 答えはない。

「さくら…嫌?止めたい?」
 さくらが首を振る。
 スカートの中に進ませた手がさくらの湿った下着に触れる。
「や…」
「嬉しいよ…さくら」
 彼女の耳を舌で責める。
「ああ…っ」
 さくらがテーブルに手をつく。
 俺はその上にかぶさるようになり、彼女の胸から手を放して彼女の手の上に重ねる。

 そのまま、彼女の下着の上から、あの夜、俺を迎え入れてくれた部分を撫でる。
 さくらの甘い声を、吐息を聞きながら。
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