勇者奇譚 三日月の大魔剣士

閻魔カムイ

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コーヒーとパンケーキと魔術師

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喫茶店を目指して、俺は電車で揺られながらtwitterをしていた。俺のアカウントは、普段はRTばかりであまり語らないが、特定の作品になると早口で語るというオタク特有のアレなアカウントだ。



特にSF作品が好きで、ロマンあるガジェットや陰謀渦巻く濃密なストーリーはいつも心を沸き立たせ、自分がこの作品の主人公だったらな、という思春期真っ盛りの中学生がするような妄想を俺に抱かせる。



先程説明したように厭世漢ではあるが、それと同時にまだ俺は、馬鹿で夢見がちな青年でもあるのだ。



そんなことを考えている内に◯◯町に着いた。「ここから後10分程か。近いな。」



俺はそう言いながらスマホのナビを起動し、合理的で電子的な地図を開く。



「前に直進、500Mです。」ナビの機械音声がイヤホンジャックの中で響く。



「右に曲がり、400Mです」



「左に曲がり、300Mです」もう着いた。看板には喫茶店カロンと書かれている。実はあのとき届いた手紙に連絡先も書いてあったので、メールで集合時間も決めておいた。



俺は待ち合わせの30分前に着いた。外で待つのもあれなので店内に入る。着席し、呼び鈴を鳴らす。若い店員が来た。「ご注文はお決まりでしょうか?」



「アイスコーヒー一つ、砂糖とミルクもセットで 後パンケーキ一つ」



コーヒーは好きだが、俺は甘糖なので毎回ミルクと砂糖を入れるような甘ちゃんだ。



コーヒーは自分本来の苦味やコクに気付かれず、きっと悲しんでることだろう。



そしてパンケーキは小さい頃よくおばあちゃんが作ってくれたので好きなんだ。蜂蜜とバターをたっぷり付けた、あの体に悪そうな見た目と味は、今でも忘れられない。



パンケーキとコーヒーを食べ終え、ちょうど30分が経ったその時だった。からん、という入り口の鈴が鳴り、白黒のシルクハットと、季節外れの黒いコートを身に付けた男が入ってきた。 如何にもな風貌。まさか手紙の主だろうか?



男は老いており、大体40代か50代ぐらいだろうか。だが反面、背丈は高く、鋭い目付きで鼻は高く、輪郭も整っている。それに金髪碧眼だ。若い頃はモテてました、という雰囲気が漂っている。



その男は、俺の対面した座席に座り、口を開いた。「君が、三日月勇大くんだね?」俺は答えた。



「はい、そうですけどあなたが手紙を送った人ですか?」



「そうだね。私が送り主だ」



「まさか外国人の方なんて思いもしませんでしたよ、名前はなんというんです?」



「ごめんね、本名はまだここでは言えない。今はマーリンとでも名乗ろうか。」手紙の通り胡散臭い。だかさらに続けた。



「単刀直入に聞くと、マーリンさんは何故俺をここに呼び出したんですか?俺に夢を与える為とかどうとか言ってたけど」



「ならこちらも単刀直入に返そう。実は私の正体は魔術師なのさ。今回君に魔術を教える為に来た。以前から君のことは知っていたが、会って一目で分かったよ、君は私達の世界に変革をもたらす存在だと。」



俺は唖然とした。だが、心の内に燃え滾る熱と、これから何が起こるのだろう、という未知の世界に対する期待と、物語の主人公になりたい、という幼いかつての情動が呼び起こされた。
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