勇者奇譚 三日月の大魔剣士

閻魔カムイ

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BARと古き神々

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「さて、食事も終わったしアジトにそろそろ行くとするか」「付いてきたまえ」マーリンさん(仮名)は頼んだオムライスの最後の一口を頬張り、そう言った。「はい」俺は答える。



自分は未知の世界に踏み込むんだ、という心持ちで高揚感に満ち溢れていた。自分がこれから漫画やアニメのような主人公になれるんじゃないかと淡い期待を寄せていた。



でも、現実は自分が超人染みたスーパーパワーを持っても、救えないことばかりで、誰も幸せにすることは出来なかった。今回俺が話すのはそんな極めて非情なリアルの話だ。



歩いて20分ぐらいだろうか、如何にも高級そうなビルの前にたどり着いた。ここが魔術師達の本拠地だろうか?こんな目立つ所に建物を立てて神秘の秘匿が出来るのだろうか。



「君はここで待っててくれたまえ、中で少し話してくる」そう言ってマーリンさんは建物の中に入った。



話しながら男とハンドサインのようなものを交わしている。



「終わったよ。ここから少し歩く。後、これからの出来事は他言無用だ。魔術師は下手に目立ってしまうと現実世界での均衡が崩れるからね。」



「分かりました。」



それから路地の狭い道を進んだ。途中、人が入れるギリギリの隙間を進まされたりもした。そうこうしてく間に行き止まりだ。そこには小綺麗だが、小さい一軒家が立っていた。



窓には「BAN!BAN!BAN!」の3つの加工された文字が書かれている。何かの暗号だろうか?中に入った。室内には鏡張りの部屋が広がっていた。まさに魔術師のアジトといった感じで俺は子供のようにワクワクしてしまった。



マーリンさんはインターフォンのボタンを押し、こう言った。



「41が来た。開けてくれたまえ」ドアが開いた。「お邪魔します」そう言い中に入った。



中はBARのような内装で、客らしき人物が酒を煽っていた。「おっ!マーリンさんじゃないか!例の青年は連れて来たのかい?」



どうやらこの人も魔術師のようだ。「ああ、ついにね。」



マーリンさんは俺を一瞥して口を開いた。「ここで魔術について教えるのもアレだ、個室で話そう。」



俺は会釈して中に付いていく。殺風景で椅子と白板がある部屋が広がっていた。



「座って、楽にしていいよ」椅子に座った。「さて、まずはこの本を読んでくれたまえ」  「古き二人の神々」と書かれた本を渡された。



ページを開いた。最初はこう書かれていた。「人が空想できるすべての物事は起こりうる現実である」しばらく読んでみた。どうやら人間は猿から自力で進化したのではなく、異星の神々、"エロヒム"と呼ばれる集団によって猿を品種改良した結果、今の人類に進化したらしい。



続き。「かつては蛇神、獅子神と呼ばれる二人の神がいた。お互い相容れぬ思想を掲げ、いつも人間の権利や地球の管理を巡り喧嘩ばかりしていた。」



「そんなある日、お互いの息子と娘が恋に落ち、縁談を持ち掛けてきた。」



「それにはいつも喧嘩ばかりしている蛇神と獅子神もそれを止めざるを得なくなり、お互いに和解する道を選んだ。」



「だが、婿と花嫁が結婚する前夜のこと、悲劇が起こった」



「婿の恵まれた境遇に嫉妬した獅子神の息子二人が、婿を事故に見せ掛けて殺すことを計画したのだ。」



「計画は成功、婿は暗殺されたが、計画が蛇神と獅子神にバレてしまう。」



「二人の対立は決定的なものとなり、以降現在に至るまで争いが続いてるという」以上が本の内容だった。
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