踊るキミを見ていたい

朝賀 悠月

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3・勇気を出して一歩前進

雄代くん VS 翔哉くん、俺の連絡先争奪戦

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「翔哉くん!」
「よかったー! この時間だったらまだいるかもしれないと思って急いで来たよ!」
「ど、どうして今日いるって……」

 ドカドカと足音を鳴らして入ってくる翔哉くんの勢いに圧倒されて、どもってしまった。
 雄代くんが連絡してくれたのかな? と思って振り返るけど、彼は知らないと言うように首を振っている。

「俺の勘! マオトなら絶対今日来てくれると思ったんだ!」

 ついに正面に到着した翔哉くんが、笑顔いっぱいの顔で俺を見上げてくる。

「そ、そう」
「金曜日ぶり! 会いたかったー!」

 そう言って突然のハグ。飛び掛かるように抱き着かれて、後ろによろけながらも翔哉くんをしっかり抱き留めたら、すぐ雄代くんが寄ってきて俺たちを引き剥がした。

「こらこらこら! 舞音くんビックリしてるでしょうが」
「雄代くんうるさい。ねえ連絡先交換しよ? こないだ聞きそびれちゃったからさ」
「あ、うん」
「じゃあ俺も」
「ダメですー。雄代くんとは交換させませんー」
「なんでだよ! 俺だっていいだろ! ねえ、いいよね? 舞音くーん」
「うわブリっ子してるきっしょー」
「っ、お前はほんと! この!」

 口悪く雄代くんを俺から遠ざけて、また抱き着いてくる。それを引き剥がして離れていくと、二人は次第に軽く取っ組み合いながらの擽り合戦が始まった。雄代くんに覆い被さられて雑に構われている翔哉くんは、なんだか楽しそう。

「ねえー、交換するんだからどいてよ!」
「俺もいいよって言え」
「わかった、わかったから! はいいいよー」
「よしっ」
「あ! ちょっと! ねえずるい!」

 諦めの声色での『いいよ』を引き出した雄代くんが、翔哉くんからパッと離れた。そして荷物置き場から自分のスマホを引っ掴み、俺のところに走ってくる。

「連絡先、交換しよ!」

 その表情は、勝ち誇ったようにキラキラしている。子供のように無邪気で、すごく可愛らしい。だから俺も釣られて、声を上げて笑ってしまった。
 スマホを操作してQRコードで交換していると、敗北を背負った翔哉くんがあからさまにムスッとした顔をして、俺たちのところへ戻ってくる。

「俺が先に言ったのに」

 悔しがる翔哉くんを煽るように、雄代くんは口角を片方上げてガシッと強めに肩を抱く。

「ふっ、悪いな」
「っ! くっそー」
「翔哉くんも、俺と交換してくれる?」
「だから、俺が言ったんじゃん!」

 口をプクッと膨らませて怒りながら、スマホを差し出してきた。俺はそこに表示されているQRコードを読み取って交換する。トーク画面を開いてすぐに『よろしく』のスタンプを送ったら、瞬時に『よろしく』と言うイケメンのスタンプが送られてきた。
 翔哉くんってツンデレなのかな? ワガママ属性の弟気質って感じで、かわいいな。

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