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3・勇気を出して一歩前進
翔哉くんとの初コラボダンス(2)
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サビに入る前に、一度目を合わせた。
この曲のステップは簡単で、それよりも手の振りが特徴的なんだ。たった十数秒の中に、2つの要素が盛り込まれてる。
始まりは可愛いで構成。カメラの見切れたところから二人同時に小走りして中央へ集まると、左右に四拍、飛び跳ねるようなステップを踏みながら、両手は胸の前で拳を合わせたブリっ子ポーズ。
次は八拍左右に滑らかなステップで、手の振りは、胸の前に指で大きいハートを作ったあと、今度は手でハートの形を作って前に突き出す。
二人で向き合ったら腰を左右に動かすようなステップを踏みながら、お互いの頬を撫でる。そして最後は体を捻って正面を向き、両手で格好良くピストル、バキューンのポーズ。
決めポーズが見事にハマったら、スタジオ内に歓声と拍手が湧いた。
スーツを着た男性陣からは「かわいいー!」との声が。
「ありがとぉー!」
ファンサービスをするように、翔哉くんは両手を上げて手を振っている。
「やっぱ翔哉くんはすごいな……」
今ので、翔哉くんの魅力が完璧に盛り込まれていた。
本物のアイドルみたいに、キラキラしてる。
「舞音くんも良かったよ。すっごい可愛かった」
翔哉くんの後ろ姿を見つめていると、撮り終えた動画を確認しながら雄代くんがそばに来て、それを見せてくれた。
「ね、かわいい」
俺の顔を覗き込んで、微笑む。
「二人ともアイドルみたい」
「どれどれ! 見せて!」
スーツの男性と少し会話をしていた翔哉くんが、割り込むように戻ってきた。雄代くんの腰に抱きついて、スマホの画面を覗き込む。雄代くんは何か言うでもなく、されるがまま。
「ほんとだ! え、僕とマオト可愛くない?」
「うん、可愛いよ。やっぱこういうのは似合う人がやらなきゃダメだな」
「ぶはっ。雄代くんと撮ったやつ、全然可愛くなかったもんね」
「うっさい。こういうの俺、照れくさくなっちゃうんだよ。まともに踊れないからもうやらない」
えいえい、と脇腹を突く翔哉くんに、「やめろ」と言って両手で髪をぐしゃぐしゃに撫でくり回す雄代くん。
本当に二人は仲良しだ。ここに来たばっかりの俺が入る隙間なんて、どこにもない。
いや入ろうとしてるとかじゃなくて。急にそんな距離を縮めるなんて、俺にはできないし烏滸がましく思ってるんだけども。
さっきの一瞬モヤッとした感情は、たぶん、疎外感なのかもしれない。
「ねえマオト、次撮ってくれない?」
「あ、うんいいよ」
「雄代くんまだいいよね。撮ろうよ」
「いいけど、なにやるの?」
俺は雄代くんに「お願いします」と、翔哉くんのスマホを託された。
この曲のステップは簡単で、それよりも手の振りが特徴的なんだ。たった十数秒の中に、2つの要素が盛り込まれてる。
始まりは可愛いで構成。カメラの見切れたところから二人同時に小走りして中央へ集まると、左右に四拍、飛び跳ねるようなステップを踏みながら、両手は胸の前で拳を合わせたブリっ子ポーズ。
次は八拍左右に滑らかなステップで、手の振りは、胸の前に指で大きいハートを作ったあと、今度は手でハートの形を作って前に突き出す。
二人で向き合ったら腰を左右に動かすようなステップを踏みながら、お互いの頬を撫でる。そして最後は体を捻って正面を向き、両手で格好良くピストル、バキューンのポーズ。
決めポーズが見事にハマったら、スタジオ内に歓声と拍手が湧いた。
スーツを着た男性陣からは「かわいいー!」との声が。
「ありがとぉー!」
ファンサービスをするように、翔哉くんは両手を上げて手を振っている。
「やっぱ翔哉くんはすごいな……」
今ので、翔哉くんの魅力が完璧に盛り込まれていた。
本物のアイドルみたいに、キラキラしてる。
「舞音くんも良かったよ。すっごい可愛かった」
翔哉くんの後ろ姿を見つめていると、撮り終えた動画を確認しながら雄代くんがそばに来て、それを見せてくれた。
「ね、かわいい」
俺の顔を覗き込んで、微笑む。
「二人ともアイドルみたい」
「どれどれ! 見せて!」
スーツの男性と少し会話をしていた翔哉くんが、割り込むように戻ってきた。雄代くんの腰に抱きついて、スマホの画面を覗き込む。雄代くんは何か言うでもなく、されるがまま。
「ほんとだ! え、僕とマオト可愛くない?」
「うん、可愛いよ。やっぱこういうのは似合う人がやらなきゃダメだな」
「ぶはっ。雄代くんと撮ったやつ、全然可愛くなかったもんね」
「うっさい。こういうの俺、照れくさくなっちゃうんだよ。まともに踊れないからもうやらない」
えいえい、と脇腹を突く翔哉くんに、「やめろ」と言って両手で髪をぐしゃぐしゃに撫でくり回す雄代くん。
本当に二人は仲良しだ。ここに来たばっかりの俺が入る隙間なんて、どこにもない。
いや入ろうとしてるとかじゃなくて。急にそんな距離を縮めるなんて、俺にはできないし烏滸がましく思ってるんだけども。
さっきの一瞬モヤッとした感情は、たぶん、疎外感なのかもしれない。
「ねえマオト、次撮ってくれない?」
「あ、うんいいよ」
「雄代くんまだいいよね。撮ろうよ」
「いいけど、なにやるの?」
俺は雄代くんに「お願いします」と、翔哉くんのスマホを託された。
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