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6・ライブ配信_舞音2
ライブ配信② 言葉の棘が突き刺さる
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画面の向こう側にいるみんなに両手を合わせて会釈をしたら、その両手を開いてヒラヒラと振ってみる。すると『かわいい!』『顔がカンペキ』『うわ、好き』というコメントをみんなが寄せてくれて、もともとのファンの人たちに紛れる新鮮な反応に、ちょっと照れ臭くなった。
「は、恥ずかしいからあんまそういうの、言わないでもらって……でもあの、ありがとうございます……」
片手で目元を覆って、ペコペコ会釈。
『なんで踊る時キャップを被ってるんですか?』
「あ、はい。えっとですね、俺は顔じゃなくて、ダンスを見て欲しいからです。配信の時は、みんなとおしゃべりするのがメインだから、顔を出してるんですけどね」
『よっぽど自信があるんですね』
自信がある? どういうこと?
「いや、そんなことは」
ふとコメントに目を向けたら、目に入ってしまった。『調子乗ってる』の文字。
明らかに悪意と取れるその言葉に、いつもとは何かが違うと感じる。
そしてその棘のあるコメントは、他のコメントに紛れてすぐに上へ流れて消えていった。
動悸がする。どうしよう、動揺を上手く隠せない。
するとコメントの中に『気にしないで』というUDさんの言葉をみつけた。
「あ、うん? ごめん俺なんか……ごめん、一瞬ボーっとしちゃった。そう、だからダンスを見て楽しんで欲しいのに、俺の顔ジャマでしょ? と思って隠してるんです。あ、以前から見てくれてるみんなは知ってるよね。へへ、ありがとね」
いつものように、言葉が足りない俺の代わりに昔からのファンの人たちが補足をしてくれている。ありがたい。みんなのおかげで理解してくれるコメントもいくつか見られた。けれどまだ、さっき見た棘のある言葉は胸に刺さっている。
俺は心を落ち着けようと一旦画角から外れて、そばに用意していたお茶を飲んだ。
調子になんて乗ってない。俺はいつも通り、何も変わらずマイペースに踊ることを楽しんでいるだけなのに、どうしてそんなことを言ってくるのだろう。
いやそう言うからには、何か気に障ることがあったのかもしれない。
だけどそれを言われて俺はどうしたらいいのか、わからない。
一息ついて悩みながら、チラッとコメント欄に目を向けてみる。
すると流れるコメントの中に『次のコラボはいつですか?』との言葉を見つけたので、俺は気を取り直してカメラの前に戻った。
「は、恥ずかしいからあんまそういうの、言わないでもらって……でもあの、ありがとうございます……」
片手で目元を覆って、ペコペコ会釈。
『なんで踊る時キャップを被ってるんですか?』
「あ、はい。えっとですね、俺は顔じゃなくて、ダンスを見て欲しいからです。配信の時は、みんなとおしゃべりするのがメインだから、顔を出してるんですけどね」
『よっぽど自信があるんですね』
自信がある? どういうこと?
「いや、そんなことは」
ふとコメントに目を向けたら、目に入ってしまった。『調子乗ってる』の文字。
明らかに悪意と取れるその言葉に、いつもとは何かが違うと感じる。
そしてその棘のあるコメントは、他のコメントに紛れてすぐに上へ流れて消えていった。
動悸がする。どうしよう、動揺を上手く隠せない。
するとコメントの中に『気にしないで』というUDさんの言葉をみつけた。
「あ、うん? ごめん俺なんか……ごめん、一瞬ボーっとしちゃった。そう、だからダンスを見て楽しんで欲しいのに、俺の顔ジャマでしょ? と思って隠してるんです。あ、以前から見てくれてるみんなは知ってるよね。へへ、ありがとね」
いつものように、言葉が足りない俺の代わりに昔からのファンの人たちが補足をしてくれている。ありがたい。みんなのおかげで理解してくれるコメントもいくつか見られた。けれどまだ、さっき見た棘のある言葉は胸に刺さっている。
俺は心を落ち着けようと一旦画角から外れて、そばに用意していたお茶を飲んだ。
調子になんて乗ってない。俺はいつも通り、何も変わらずマイペースに踊ることを楽しんでいるだけなのに、どうしてそんなことを言ってくるのだろう。
いやそう言うからには、何か気に障ることがあったのかもしれない。
だけどそれを言われて俺はどうしたらいいのか、わからない。
一息ついて悩みながら、チラッとコメント欄に目を向けてみる。
すると流れるコメントの中に『次のコラボはいつですか?』との言葉を見つけたので、俺は気を取り直してカメラの前に戻った。
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