ゲームでの「推しキャラ」に召喚されました-ゲーム世界で推しと一緒にクラスチェンジ-

夢月 愁

文字の大きさ
6 / 8

6:聖剣解放(光の王子クラスチェンジ)

しおりを挟む
 
  

 レンガ造りの建物の並ぶレダの町で、食料その他の物資を補充して入念な準備をすると、数日後の朝にはレダの町から北上をして、僕とセシリア、そしてエルオード王子は北の国境を越えて無法地帯である「魔族領」に入った。

 …特殊クラスにクラスチェンジした僕とセシリア、そして聖剣を持つエルオード王子で『魔帝』を倒す構えだ。でも、もちろん、まずはエルオード王子の宝剣を『聖剣』に覚醒させて、王子を「クラスチェンジ」させないといけないけど。

 そのほとんどが砂埃の舞う荒野である魔族領では、翼の生えた三叉槍を持つ黒い貴族服姿のデーモンとそれに使役されるアンデッドの群れで溢れていて、僕らを発見すると浅黒い肌のデーモンは、こちらに三叉槍を向けて、様々なアンデッドをけしかけてくる。

 「今さら「レギオス」なんかじゃ私達は止められないわ『サンダーバニッシュ!』」

 ゴロゴロゴロ…ズシャーン!ズシャーン!

 白いライン入りの赤い聖帽に赤のドレス姿のセシリアが黄金色に輝く『雷鳴の槌』を掲げて、次々と雷雲を呼び、聖なる落雷を「レギオス」達に浴びせる。

、その激しくも聖なる落雷は、魔物特効効果のダメージも伴い、包帯でぐるぐる巻きの紅い眼の邪悪なアンデッド剣士「レギオス」達を消し炭にする。

 「デーモンは僕がやるよ『ハリケーンサイズ!』」

 ヒュンヒュンヒュン…ズバッ!

 黒騎士姿の僕も負けじと『死神の鎌』を高速回転させて、デーモンに投げつける。

 弧を描く鎌は黒い貴族服のデーモンを腰から真っ二つに両断して、僕の手元に戻る。

 「ライトニング・スラッシュ!」

 ズシャッ!

 金髪碧眼の勇者剣士、エルオード王子も負けじと宝剣を振るって奮戦。巨大なハンマーを持つオーガゾンビを切り伏せる。

 …魔族領で、こういった戦いを幾度も切り抜けて、僕とセシリアのLVは右肩上り。もちろん王子のLVも続くように上がる。

 僕はLVを5→12として、セシリアは6→13として、HP、MPも上がり、さらに継戦能力があがった。

 そして、魔族領を地図で言うと西側から北上する感じで、僕らはエルオード王子の宝剣の聖剣への覚醒、つまり王子のクラスチェンジのために、魔族領の辺境にある「封印の神殿」に向かった。

 (途中で路銀がつきなければいいけどね…)

 無論食料等も不足したが、僕は魔族領の各地にある闇商人の「秘密の店」をゲーム知識で知っていたので、高額の金貨を必要としながらも、食料その他はそれで補給をした。

 一応路銀は準備していた分と敵から奪った分で大量にあるが、ここでの消費はそれは激しかった。

                  ★


 そして辿り着いた白い壁と床の封印の神殿内部には、凶悪な罠もあったけど、僕は全部ゲーム知識で把握しているので、これらを全て空振りさせる。

 僕はある意味イカサマをしているような感覚になったが、生きるか死ぬかのこのデスゲームで、そんなことを気にしてはいられなかったのも確かなことだった。

 そして、入り口に扉もない四角く広い白く輝く壁と床の大部屋にたどり着く。

 そこにはエルオード王子の宝剣の真の力を封印している虹色に輝く竜「ジュエルドラゴン」がいた。僕はセシリアとエルオード王子に告げる。

 「王子、セシリア。この虹色の竜を倒せば、聖剣は覚醒する。行くよ!」

 「分かった。任せろ!」

 「了解よ!」

 僕のその言葉がその聖剣の封印竜「ジュエルドラゴン」との開戦の合図になった。

                  ★

 僕らに向かって、ジュエルドラゴンの口に虹色の光が収束されていく。

 「竜のブレスが来るよ、セシリア!」

 「任せて!『サンダーウォール!』」

 僕の合図で、赤いドレス姿のセシリアが『雷鳴の槌』を正面に向けて、雷光で出来た壁を僕らとジュエルドラゴンとの間に作る。

 バチバチバチバチッ!

 ジュエルドラゴンの吐いた虹色のブレスと雷光の壁が激しくぶつかりあってやがて打ち消し合う。それが晴れると同時に僕は『死神の鎌』を構えながらジュエルドラゴンに向かって疾走する。僕は絶妙の距離にこの竜を捉えた。

 (この距離…もらった!)

 『ヘルクロイツ・スラッシュ!』

 逆十字を描くような僕の十字斬りをまともに受けて、ジュエルドラゴンはのけぞり、そのHPは大きく削れる。

 ジュエルドラゴンは、その大きな前足で僕を蹴りつけるが、僕の特殊装備の黒騎士装備での高い防御力の前には、さしたるダメージはこなかった。ここまでの戦いで、LVがあがった成果もあるのだろう。と僕は感じた。

 (:スキル追加:冬人は「鉄壁」を得ました)

 例のシステムボイスが僕にスキルの追加を告げる。謎のシステムボイスなので、僕はすぐに気持ちを切り替えてこの戦闘に集中する。

 「受けなさい!『ゴッドサンダー・ブラスター!』」

 さらにセシリアが大技を使う。『雷鳴の槌』をジュエルドラゴンの頭部に向けると、極太の雷光での照射魔法を撃ちはなつ。

 バリバリバリバリッ!

 頭部に極太の雷光の照射を受けて、ガリガリと削れるジュエルドラゴンのHP。その雷光による照射が終わると、ジュエルドラゴンは巨体を横倒しにしてうねるように暴れ出すが、そのHPは無くなる寸前の瀕死だった。

 「今だ王子!宝剣を!」

 「わかった!」

 僕が促すと、ジュエルドラゴンの額の碧の石に、エルオード王子が光輝く宝剣を突き立てる。

 ジュエルドラゴンに突き立てた輝く宝剣の発する光がこの白い部屋中に広がる。

 …そして、その後に残った光景を見て、僕はエルオード王子に感嘆するように声をかける。

 「ようやく『クラスチェンジ』できましたね。エルオード王子」

 光が収まったその後には、黄金の鎧兜と、金色の籠手と脛当て、金色のマントとブーツを着けたエルオード王子の姿があった。そして、その手に掲げる聖剣の輝く光は、虹色の輝きに変わっていた…。

                     ★

 (:クラスチェンジ:エルオード) 

 ジュエルドラゴンに突き立てた宝剣の放った光に包まれたはずの私は、いつのまにか夕暮れの光の差す謁見の間に居て、覇気なく玉座に座る父王の前で佇んでいた。

 私の装備は古びていて、ひび割れ、そして返り血で汚れていた。

 父王は、戦いでボロボロになったような風体の私に問いかける。

 「エルオード。多くの仲間を失ったにもかかわらず、お前はその有様だ。この戦いに意義はあるのか?」

 「父上、私に宝剣を託し『魔帝』を倒すように命じたのは、ほかならぬあなたではありませんか」

 だが、父王は疲れたように頭を振る。まるで『もういいのだ』とでもいうように。

 「もうよい。エルオード。私はお前の傷ついていく姿をもう見たくはない。その宝剣を私に返して、余生を全うするがいい」

 私は激昂した。それでは何のために私の配下や仲間達は死んでいったのか。それでは無駄死にではないか、と。

 「冗談を言わないでください、父上。私はこの戦いで、確かに多くの配下と仲間達をうしないました。だが、だからこそ『魔帝』を討つまでは、この戦いは終えられない!」

 「そうか…」

 父王は、どこか遠くを見るような眼で私を見た。そしてうって変わって厳格な表情になり、私に「覚悟」を問う。

 「ならば、この玉座に座る次代の王として、また、聖剣を振るう勇者として、お前は『魔帝』を必ず討て。例えそれが、自分の為に血路を開く、多くの仲間達の屍の上になりたつものになろうとしても、だ」

 私は、これまでに死んでいった配下たち、もう逝ってしまった仲間達の顔をかみしめるように一人一人思い浮かべた。

 そう、私は『魔帝』を討つために多くの味方の屍の上に立っている。だからこそ、志半ばで諦めることも、途中で朽ち果てることも、私には到底できないのだ。

 「覚悟は出来ています、父上。たとえこの身が果てようとも必ず私は『魔帝』を討ちます。

 「-そうか、ならば、我が加護を受けるがよい-」

 父王の声色が荘厳なものに変わり、父王は輝きに包まれてその姿を変える。銀翼の兜に銀の鎧を身に着けた、碧の宝石で装飾のされた剣を帯剣した威厳と風格のある壮年の剣士の姿になる。

 『その荘厳な剣士』は玉座から立ち上がり、私に向かってその手をかざした。

 「-我は『戦神にして軍神』そして戦士に加護を与えてその勝利へと導く者。我が力を、ひと時だけそなたに貸そう-」

 そして、戦神は金色の光を、かざした手から私に放つ。私はその金色の光に包まれて「クラスチェンジ」をする。

 
 金色の鎧兜、籠手、脛当て、そして金色のマントと装飾の入ったブーツ。それらを瞬間的に自動装着して、虹色に輝く『聖剣』を手にして、それを高々と掲げる私、エルオード。


 こうして私、光の王子エルオードは「ゴールドキングナイト」にクラスチェンジしたのであった…。

 


 





 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。 「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

過労死した俺、異世界で最強農業チートに目覚める。神農具で荒野を楽園に変えたら、エルフや獣人が集まって最高の国ができました

黒崎隼人
ファンタジー
「君、死んじゃったから、異世界で国、作らない?」 ブラック企業で過労死した俺、相川大地。 女神様から授かったのは、一振りで大地を耕し、一瞬で作物を育てる**最強の『神農具』**だった!? 右も左もわからない荒野でのサバイバル。 だけど、腹ペコのエルフ美少女を助け、頼れるドワーフ、元気な猫耳娘、モフモフ神狼が仲間になって、開拓生活は一気に賑やかに! 美味しいご飯とチート農具で、荒野はあっという間に**「奇跡の村」**へ。 これは、ただの農民志望だった俺が、最高の仲間たちと世界を救い、種族の壁を越えた理想の国『アグリトピア』を築き上げる物語。 農業は、世界を救う! さあ、今日も元気に、畑、耕しますか!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

処理中です...