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6:聖剣解放(光の王子クラスチェンジ)
しおりを挟むレンガ造りの建物の並ぶレダの町で、食料その他の物資を補充して入念な準備をすると、数日後の朝にはレダの町から北上をして、僕とセシリア、そしてエルオード王子は北の国境を越えて無法地帯である「魔族領」に入った。
…特殊クラスにクラスチェンジした僕とセシリア、そして聖剣を持つエルオード王子で『魔帝』を倒す構えだ。でも、もちろん、まずはエルオード王子の宝剣を『聖剣』に覚醒させて、王子を「クラスチェンジ」させないといけないけど。
そのほとんどが砂埃の舞う荒野である魔族領では、翼の生えた三叉槍を持つ黒い貴族服姿のデーモンとそれに使役されるアンデッドの群れで溢れていて、僕らを発見すると浅黒い肌のデーモンは、こちらに三叉槍を向けて、様々なアンデッドをけしかけてくる。
「今さら「レギオス」なんかじゃ私達は止められないわ『サンダーバニッシュ!』」
ゴロゴロゴロ…ズシャーン!ズシャーン!
白いライン入りの赤い聖帽に赤のドレス姿のセシリアが黄金色に輝く『雷鳴の槌』を掲げて、次々と雷雲を呼び、聖なる落雷を「レギオス」達に浴びせる。
、その激しくも聖なる落雷は、魔物特効効果のダメージも伴い、包帯でぐるぐる巻きの紅い眼の邪悪なアンデッド剣士「レギオス」達を消し炭にする。
「デーモンは僕がやるよ『ハリケーンサイズ!』」
ヒュンヒュンヒュン…ズバッ!
黒騎士姿の僕も負けじと『死神の鎌』を高速回転させて、デーモンに投げつける。
弧を描く鎌は黒い貴族服のデーモンを腰から真っ二つに両断して、僕の手元に戻る。
「ライトニング・スラッシュ!」
ズシャッ!
金髪碧眼の勇者剣士、エルオード王子も負けじと宝剣を振るって奮戦。巨大なハンマーを持つオーガゾンビを切り伏せる。
…魔族領で、こういった戦いを幾度も切り抜けて、僕とセシリアのLVは右肩上り。もちろん王子のLVも続くように上がる。
僕はLVを5→12として、セシリアは6→13として、HP、MPも上がり、さらに継戦能力があがった。
そして、魔族領を地図で言うと西側から北上する感じで、僕らはエルオード王子の宝剣の聖剣への覚醒、つまり王子のクラスチェンジのために、魔族領の辺境にある「封印の神殿」に向かった。
(途中で路銀がつきなければいいけどね…)
無論食料等も不足したが、僕は魔族領の各地にある闇商人の「秘密の店」をゲーム知識で知っていたので、高額の金貨を必要としながらも、食料その他はそれで補給をした。
一応路銀は準備していた分と敵から奪った分で大量にあるが、ここでの消費はそれは激しかった。
★
そして辿り着いた白い壁と床の封印の神殿内部には、凶悪な罠もあったけど、僕は全部ゲーム知識で把握しているので、これらを全て空振りさせる。
僕はある意味イカサマをしているような感覚になったが、生きるか死ぬかのこのデスゲームで、そんなことを気にしてはいられなかったのも確かなことだった。
そして、入り口に扉もない四角く広い白く輝く壁と床の大部屋にたどり着く。
そこにはエルオード王子の宝剣の真の力を封印している虹色に輝く竜「ジュエルドラゴン」がいた。僕はセシリアとエルオード王子に告げる。
「王子、セシリア。この虹色の竜を倒せば、聖剣は覚醒する。行くよ!」
「分かった。任せろ!」
「了解よ!」
僕のその言葉がその聖剣の封印竜「ジュエルドラゴン」との開戦の合図になった。
★
僕らに向かって、ジュエルドラゴンの口に虹色の光が収束されていく。
「竜のブレスが来るよ、セシリア!」
「任せて!『サンダーウォール!』」
僕の合図で、赤いドレス姿のセシリアが『雷鳴の槌』を正面に向けて、雷光で出来た壁を僕らとジュエルドラゴンとの間に作る。
バチバチバチバチッ!
ジュエルドラゴンの吐いた虹色のブレスと雷光の壁が激しくぶつかりあってやがて打ち消し合う。それが晴れると同時に僕は『死神の鎌』を構えながらジュエルドラゴンに向かって疾走する。僕は絶妙の距離にこの竜を捉えた。
(この距離…もらった!)
『ヘルクロイツ・スラッシュ!』
逆十字を描くような僕の十字斬りをまともに受けて、ジュエルドラゴンはのけぞり、そのHPは大きく削れる。
ジュエルドラゴンは、その大きな前足で僕を蹴りつけるが、僕の特殊装備の黒騎士装備での高い防御力の前には、さしたるダメージはこなかった。ここまでの戦いで、LVがあがった成果もあるのだろう。と僕は感じた。
(:スキル追加:冬人は「鉄壁」を得ました)
例のシステムボイスが僕にスキルの追加を告げる。謎のシステムボイスなので、僕はすぐに気持ちを切り替えてこの戦闘に集中する。
「受けなさい!『ゴッドサンダー・ブラスター!』」
さらにセシリアが大技を使う。『雷鳴の槌』をジュエルドラゴンの頭部に向けると、極太の雷光での照射魔法を撃ちはなつ。
バリバリバリバリッ!
頭部に極太の雷光の照射を受けて、ガリガリと削れるジュエルドラゴンのHP。その雷光による照射が終わると、ジュエルドラゴンは巨体を横倒しにしてうねるように暴れ出すが、そのHPは無くなる寸前の瀕死だった。
「今だ王子!宝剣を!」
「わかった!」
僕が促すと、ジュエルドラゴンの額の碧の石に、エルオード王子が光輝く宝剣を突き立てる。
ジュエルドラゴンに突き立てた輝く宝剣の発する光がこの白い部屋中に広がる。
…そして、その後に残った光景を見て、僕はエルオード王子に感嘆するように声をかける。
「ようやく『クラスチェンジ』できましたね。エルオード王子」
光が収まったその後には、黄金の鎧兜と、金色の籠手と脛当て、金色のマントとブーツを着けたエルオード王子の姿があった。そして、その手に掲げる聖剣の輝く光は、虹色の輝きに変わっていた…。
★
(:クラスチェンジ:エルオード)
ジュエルドラゴンに突き立てた宝剣の放った光に包まれたはずの私は、いつのまにか夕暮れの光の差す謁見の間に居て、覇気なく玉座に座る父王の前で佇んでいた。
私の装備は古びていて、ひび割れ、そして返り血で汚れていた。
父王は、戦いでボロボロになったような風体の私に問いかける。
「エルオード。多くの仲間を失ったにもかかわらず、お前はその有様だ。この戦いに意義はあるのか?」
「父上、私に宝剣を託し『魔帝』を倒すように命じたのは、ほかならぬあなたではありませんか」
だが、父王は疲れたように頭を振る。まるで『もういいのだ』とでもいうように。
「もうよい。エルオード。私はお前の傷ついていく姿をもう見たくはない。その宝剣を私に返して、余生を全うするがいい」
私は激昂した。それでは何のために私の配下や仲間達は死んでいったのか。それでは無駄死にではないか、と。
「冗談を言わないでください、父上。私はこの戦いで、確かに多くの配下と仲間達をうしないました。だが、だからこそ『魔帝』を討つまでは、この戦いは終えられない!」
「そうか…」
父王は、どこか遠くを見るような眼で私を見た。そしてうって変わって厳格な表情になり、私に「覚悟」を問う。
「ならば、この玉座に座る次代の王として、また、聖剣を振るう勇者として、お前は『魔帝』を必ず討て。例えそれが、自分の為に血路を開く、多くの仲間達の屍の上になりたつものになろうとしても、だ」
私は、これまでに死んでいった配下たち、もう逝ってしまった仲間達の顔をかみしめるように一人一人思い浮かべた。
そう、私は『魔帝』を討つために多くの味方の屍の上に立っている。だからこそ、志半ばで諦めることも、途中で朽ち果てることも、私には到底できないのだ。
「覚悟は出来ています、父上。たとえこの身が果てようとも必ず私は『魔帝』を討ちます。
「-そうか、ならば、我が加護を受けるがよい-」
父王の声色が荘厳なものに変わり、父王は輝きに包まれてその姿を変える。銀翼の兜に銀の鎧を身に着けた、碧の宝石で装飾のされた剣を帯剣した威厳と風格のある壮年の剣士の姿になる。
『その荘厳な剣士』は玉座から立ち上がり、私に向かってその手をかざした。
「-我は『戦神にして軍神』そして戦士に加護を与えてその勝利へと導く者。我が力を、ひと時だけそなたに貸そう-」
そして、戦神は金色の光を、かざした手から私に放つ。私はその金色の光に包まれて「クラスチェンジ」をする。
金色の鎧兜、籠手、脛当て、そして金色のマントと装飾の入ったブーツ。それらを瞬間的に自動装着して、虹色に輝く『聖剣』を手にして、それを高々と掲げる私、エルオード。
こうして私、光の王子エルオードは「ゴールドキングナイト」にクラスチェンジしたのであった…。
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