桜木伝記~どうやら異世界にとばされたようです~

寿々花

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いわゆるギャップ萌え...??

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 「うへえ...あんながっつり襟首を捕まれると、苦しいよ。」
私は掴まれていた襟元を直しながらぼやいた。
 「うっせえ。いいから、早く探せよ。」
 とことん上から目線な幼馴染みだ。
 (へーへー。ちゃんとやりますよ。)
 ズボンのポケットから軍手を取り出し、サッとはめる。
 「♪~♬~」
 鼻歌混じりにキノコ採取。
 (天気もいいし、気分は上々。お弁当持ってきて小泉姉妹と食べたかったわー。)
 自然と顔が緩む。
 「鼻歌やめろよ。あと、顔キモイ。」
 文斗がぼそっとつぶやく。
長い前髪のせいで目元は見えないけれど、文斗の周りの雰囲気は不機嫌そのもの。
 (前言撤回。こいつの言動で最悪だ。)
 「ふん。自分が音痴だからって、他人の鼻歌を止める権利はないよーだ。」
 運動と勉強はできるくせに、音楽はからっきしダメな男...それが文斗。
 (こんな男のどこがいいのか。サクラの目はどうかしてしまったのだろうか…。)
 一昨日、我が家で小泉姉妹と恋バナをしてる時に(私は聞いてただけ。)発覚したことだ。
"サクラは文斗が好き"
 私には到底理解できないが、運動も勉強もできるのに、なぜか音楽が苦手。というギャップが可愛いのだとか。
 ため息しか出てこない。
 「うるっせえな ! 歌とか苦手なんだよ!!」
 (なぜムキになる。)
 「こんなやつの幼なじみだとは...トホホ。」
 「殴るぞ。」
 文斗が目の前でぐっと拳を握る。
 「あーあー、仕事します、探します!」
(いつか脅迫罪で訴えてやりたい...!!(泣))
 しばらくキノコ探しに励んでいると、腰やら膝やらが痛くなってきた。立ち上がって、グーッと伸びをする。少しはマシになった。が...キノコはまだ見つからない...。
 「陽!!!!」 
いきなり名前を呼ばれて飛び上がった。
 「何!?私何かした!?」
 「いいや!何もしてねえぞ!いいから、こっち来いよ!!!」
 なにか面白いものでも見つけたのだろうか。さっきよりもテンションが上がった文斗に大人しくついていく。
 「なに...??宝箱でもあるわけ?」
 文斗に連れてこられた場所は、ちょっとした広場だった。広場と言っても、木々が他の場所と比べて少ないだけで、人が来ていたような感じは一切しない。だからだろうか、とても空気が澄んでいた。
 そんな広場の奥に見えるのは、薄暗い洞窟だった。

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