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84.エピローグ アメリ・バーナード(2)
しおりを挟む私が変えたいもの……それは容姿です。
いつだって敵を作り続ける、この顔も身体も何もかも、全部変えてしまいたいのです。
――あの恐ろしい出来事があってから、家の外では魔力が高いことをひた隠しにしていました。
他の貴族の家では分かりませんが、私は周囲に住む同じ年頃の子たちと、分け隔てなく遊んでいました。
私は魔法を使わないよう、細心の注意を払いました。
そして、お母さんから言われた教えを守って、いつも笑顔でいました。
「アメリは本当に可愛いわね」
「アメリの笑顔は、皆を元気にする魔法の力を持っているわ」
私が爆発を起こす前、お母さんはよくそう言って頭を撫でてくれました。
……今ではもう、そんな会話はありません。
そのおかげか、たくさんの友達が出来ました。
家で居場所がなかった私は、外で友達と遊んでいるときだけは本来の自分でいられたのです。
でも、それも長くは続きませんでした。
私のことを『可愛い』と褒め、『付き合ってほしい』と言う男の子が現れてから、環境は一変しました。
その男の子は子供たちの中でリーダー的な存在でしたので、女の子は皆、彼のことが好きでした。彼が私に告白したことを知った友達は、まるで敵を見るかのような恐ろしい目で私を見ました。
――お前のピンクブロンドの髪は下品で媚びて見える。
――少し可愛いからって調子に乗るんじゃない。
――涙なんか浮かべて、そうやって男を誘惑しているのか。
……私は、その時、初めて知りました。
――私の見た目は、敵を作りやすいものなのだと。
この容姿のせいで人に嫌われてしまうなら、貴族学校では自分を隠して過ごそうと思っていました。
でも、入学前、お母さんが言ったのです。
「……お父様から聞いたでしょう。もう私たちは貴方の面倒を見られない。学校を卒業したら家を出て嫁いでもらう、って。……貴方には、その顔があるわ。その顔を使って、学校で婚約者を見つけなさい。きっとその方が、貴方にとっていいだろうから……」
お母さんの顔はとても疲れて見えました。
この頃には家族との会話なんてほとんどありませんでしたから、そんな中で聞いたお母さんの教えは、私の胸にずしりと重くのしかかりました。
変えたいものはたくさんあります。
きっと、本当に望んだら、過去を変える魔具も容姿を変える魔具も、私には作れるのだと思います。
でも、手を動かそうとすると、私の中のジェシカ様が怒るのです。
「貴方のことなんてちっとも興味ないわ」なんて言いながら、何かと気にかけてくれる優しい人。
私がそんなことをしたら、ジェシカ様を怒らせて、そして悲しませてしまいそうで、出来ませんでした。
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