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10話 木漏れ日
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ーー どうしたものだろうか……
リーンは笑顔を作りながら胸の中で独りごちた。
ミドガルド領は今日も曇り空だが昨日までの雨は上がっており、リーンは城の中庭にテーブルを出して一人物思いにふけっていた……はずだったが、
「お茶のおかわりはいかがですか?リーンハルト様」
「私の作ったタルトもあるわよ!リーンハルト」
気づけば、ティーポットと茶器を手にしたピッポと、作りたてのタルトを皿に山盛りに乗せたステラがあらわれ、午後のティータイムといった雰囲気になっていた。
ピッポの炒れる紅茶は香り高く、ステラの作ったラズベリータルトは形こそ歪だったが素朴な美味しさに仕上がっていた。ステラの料理は当初絶望的な味だったけれど、菓子作りに関しては本人のやる気もあって少しずつ腕を上げていた。ラズベリータルトは彼女の好物でもあり、真っ先に作り方をリーンに尋ねてきたレシピだ。
中庭へと目を向けると、警備兵団の面々が城下町の園芸家の指示の元、庭の手入れをしている。今までろくに手入れもされず放置されていた庭だ。美しく整備するためにやらねばならないことが多々あるようだ。大変な作業であることは想像に難くないが、彼らは生き生きとした表情で作業を続けている。
ーー どうしたものだろうか……
また、リーンは胸の内で一つため息をついた。
リーンがミドガルド城に連れてこられてから早四ヶ月が過ぎようとしていた。昨晩は雨が降っており月が見えなかったが、おそらく今晩は三日月が顔を出す頃合いだ。
先月の満月の日に、逃亡に失敗したリーンはジュードの馬車でミドガルド城まで送り届けられた。城の入り口で、穏やかな微笑みを浮かべたピッポがランタンを持ってリーンを出迎えた。
『お帰りなさいませ、リーンハルト様』
『ああ……ただいま』
その言葉はするりと口からこぼれ落ち、リーンは自分自身に戸惑った。
”ただいま”などと。
自分でも意識しないうちに、この城を”帰る場所”だと認識してしまっていることにリーンは愕然とした。そして同時に焦燥感も抱いた。知らず知らずのうちに自分が変化してゆくことに焦りを覚えた。
その日の深夜、せめてこの城から逃れるための何らかの足がかりになるようなもの……例えばギィの弱みでも見つけられないものかと、リーンは留守であるはずのギィの自室へと忍び込んだ。
ドアに鍵はかかっていなかった。音を立てないようそっと扉を開いたが、部屋の内側からドッと風が吹き一気にドアは開け放たれた。
「……っ!?」
予想外の強風と、舞い込む木の葉を避けるようにリーンは目をつむった。風の音がヒュウと耳に響く。
しばらくすると風の音が静かになり、リーンは目を開けて部屋の中を覗いた。ギィの部屋の窓は全て開け放たれたまま、部屋の主は不在だった。
リーンに与えられた自室も十分な広さがあったが、ギィの部屋はそれ以上に広かった。何より異様なのが窓の作りと天井の高さだった。厨房の天井は料理の際に出る熱や煙を排出するため高く作られているのが通常だが、その厨房よりもギィの部屋は天井が高く、窓は床からその高い天井まであり、押して開けるように設計されていた。その作りは、扉の構造を彷彿とさせた。
ーー ……これはまるで、”出入り口”のようだ……
部屋に足を踏み入れたリーンは、木の葉と共に床に鳥の羽根が散乱していることに気づいた。風で外から舞い込んだのだろうか。羽根の一つを拾い、眺める。
二十センチ強の長さの、黒い光沢を持つ羽根だった。この羽根の持ち主は相当大きな鳥に違いない。
……本当に、”鳥”だろうか。
リーンは窓の側に近寄り、外を眺めた。
満月の黄金の光に照らされて、黒々とした森が広がっている。
ーー ミドガルド領には、いまだ古代の魔物達がひそかに生きている……
眉唾物の噂話だとばかり思っていたそれが、真に迫って感じられた。
改めて部屋を見回すと、空間が縦にも横にも広いわりに配置されている家具が極端に少ないことに気づいた。ベッドと机と椅子、そして棚が二つほど部屋の壁に沿って置かれているだけである。
棚を開けてみると、いつもギィが着ている黒の外套が並んでいた。机の引き出しも開けようとして、城主が使うにしては質素な木の机に近づくと、机の上に小さな肖像画が飾られていることに気がついた。
その肖像画は小さいながらも見事な象牙の額縁に入れられており、物寂しい部屋の中で一番華美なもののように見えた。それを机の上という目に触れやすい場所に置いている。持ち主がこの肖像画をとても大事にしているのが察せられた。
象牙の乳白色の額縁の中からこちらへほほ笑みかけているのは、柔らかそうなストロベリーブロンドの髪とルビーのような瞳の少年だった。
(…………アイビー)
それは、、今は王都にいる第一王子であり、腹違いの弟の幼少時の姿だった。
リーンは、ギィが何故リーンを嫌うのか、正解に近い答えを知った気がした。
ギィは好いていたのだろう、彼の幼なじみでありリーンの弟であるアイビーのことを。
アイビーが王宮へ連れて行かれさえしなければ、きっとギィとアイビーは収まるべきところに収まっていたのだろう。優しく穏やかなアイビーと、頑固だが誠実なギィのことだ。ゆっくりと時間が育む愛であったに違いない。
しかし現実は、真の第一王子であると見出されたアイビーはギィから”奪われ”たのだ。 その代わり、という訳ではないが、入れ違いによこされたのはリーンだ。ギィの行き場のない悲しみが、リーンへの悪感情として表れているのだろう。
リーンが今いるこの暖かな場所は、本来アイビーの居場所だったはずだ。
ーー……ここは、俺が居るべきところではない……
「……何をしている?」
ギィの声がふいに聞こえ、リーンは現実へと引き戻された。振り向くと、眉間に皺をよせ、怪訝そうな表情のギィが立っていた。
結局あの晩は、ギィの部屋の机上にアイビーの肖像画を見つけただけで、ひっそりとリーンは自室に退散したのだった。
なぜか妙に感傷的な気持ちになったことを覚えている。
「特に、何も?」
ギィの眉間の皺がさらに深くなった。
「午後のティータイムです。閣下」
リーンの代わりにピッポがにこやかに答えた。
「閣下もいかがです?」
そう言って、ピッポはリーンの向かい側の椅子を主人のために引いたが、ギィは首を振り顎で中庭の方を指し示した。
「そうではない。……”あれ”は何だ、と聞いている」
中庭には、城下町の庭師の指示の元、草むしりや木々の剪定をする警備兵団達の姿があった。
「ああ、荒れ放題の庭を俺の”友人達”が綺麗にしてくれているんだ」
「俺はそんなことを命じた覚えはない」
「俺が”お願い”したんだよ」
ギィは”信じられない”といった面持ちでリーンを見る。リーンは素知らぬ顔で紅茶を飲んだ。美味しい。さすが、ピッポの炒れる紅茶は香りが良くうま味も引き出されている。
「……オスカー、ジュード!」
ギィが、中庭で作業をしていた二人を呼び寄せる。団員達と共に庭の手入れをしていた二人は肘当たりまで袖まくりをしている。二人は汗を拭いながらリーンとギィの元まで歩いてきた。
こちらに歩いてくるジュードの姿を見たステラが瞳を輝かせ、さりげなく兄の隣に歩み寄りピタッと姿勢を正した。表情だけはすました顔で何食わぬ風を装っている。しかし、彼女の丸い頬は紅潮しており、嬉しさを隠し切れていないところが可愛らしかった。
「何故リーンハルト士爵の命をきく。俺は庭の手入れなど許可していない」
「いやいや閣下。閣下だって、あの庭の様子はさすがに……」
「恐れながら、閣下」
オスカーの言葉を遮り、ジュードが口を開いた。ジュードがクイと指で眼鏡のブリッジを押し上げ、銀のフレームが陽光を反射して光った。
「警備兵団の規則、第一項にミドガルド城ならびに領土の治安を維持すべしという項目があります。現時点で城を取り囲む環境は木々と雑草が生い茂り見晴らしが悪く、野党や賊の類いが侵入した場合その者達の恰好の隠れ場所もしくは逃げ道になりかねません。我々警備兵団としてはそのような事態を事前に防ぐ必要があるのです。規則の一項目にあるように、我々が何より重視すべきは閣下とミドガルド領民の安全です。また、第六項に、直ちに領主に連絡が取れない場合、領民の身の安全を確保する必要がある場面では警備兵団の過半数以上が賛成した場合は警備兵団の判断に基づいた行動を許可するとあります。以前閣下はリーンハルト様の滞在期限はないと仰いました。すなわちリーンハルト様はミドガルド領の領民であるに等しいということになります。その領民の一人であるリーンハルト様からの要請を受け、リーンハルト様ならびに執事長ピポクラテス・ドリアード、メイド長ステラ・クロウの身の安全を確保すべく、警備兵団内で議論したところ過半数以上、ほぼ全員がミドガルド城の敷地の整備に賛成いたしました。そしてそれは城主である閣下の身の安全を強固なものにすることにも繋がるという警備兵団の総意に基づいています。そして……」
ジュードがキビキビとした口調で規則をそらんじ彼らの行動の正当性を述べ挙げてゆく。
ギィは面食らった顔で言葉を失っている。ジュードがギィに反論することなど滅多にないことなのだろう。オスカーは目を丸くしつつも愉快そうに、つらつらと理論武装を続ける副警備兵団長を眺めている。
「……と、言うことです。つきましては、我々がリーンハルト様の要請に応じることは閣下の許可を必要とするものではなく、我々の成すべき業務の一環です。閣下」
主張を述べ終えたジュードが、姿勢を正しギィの言葉を待つ。その横で、小柄なメイドの少女も兄の真似をしていつも以上にピンと背を伸ばし胸をはってギィを見つめる。
兄弟そろって主人をじっと見つめる様子はおかしくも微笑ましい。
ふは、と耐えきれなくなったようにオスカーが笑い声をこぼした。
「こうなったら、テコでも譲りませんよ。うちの副団長は。ご意向に添えず申し訳ありませんが、庭園の手入れを続けさせて頂きます。閣下」
オスカーが手を広げ、優雅にギィに向かって一礼する。ジュードも彼にならい一礼し、なぜかステラもぺこりと頭を下げた。
「…………勝手にしろ」
「情け深いお言葉、感謝いたします」
オスカーは朗らかにほほ笑み、ジュードと共に中庭の作業へと戻っていった。戻り際、オスカーはこっそりとリーンにウィンクを飛ばした。
『街のやつらが、リーンハルト様にお礼がしたいと言っているんです。出来ることはありませんか?』
そう、数日前に声を掛けてきたのはオスカーだった。
オスカーが言うには、ゲラ・ハミドの一味に手を焼いていた街の人々がリーンに深く感謝をしているとのことだった。当初、リーンは礼などいらないとその申し出を突っぱねたが、オスカーがどうしても、と頼み込んできた。
『トーマスとミシェーラが、貴方に礼がしたいと言って聞かないんですよ。もしリーンハルト様が礼を受け取らないとなると、勝手に貴方の銅像でも造りかねない勢いで……』
自分の銅像が町中に建てられているのを想像して、リーンは胸中で眉をひそめた。これから秘密裏に逃げだそうとしている街にそんなものが建てられようものなら、あの件に関わらなかった者達にも一気にリーンの顔と名前が知れ渡ってしまう。ミドガルド領からの脱走が困難になるのはもちろんのこと、ゆくゆくの逃亡生活にしたって支障が出かねない。
『ゲラ・ハミドに手を焼いていたのは我々警備兵団も同じですからね、私からもぜひリーンハルト様にはお礼をさせて頂きたく……。そうですね、庭の手入れなどいかがです?城下町には腕の良い園芸屋もいるんですよ!』
そう言われてしまうと、彼らの厚意を受けざるをえなかった。庭園のことはリーンもミドガルド城についた当初から気になっていたことでもあったので、良い機会のようにも思えた。
不機嫌さを隠さず椅子へと腰掛けたギィへ、ピッポがすかさず茶器を出し暖かな紅茶を注いだ。
「ラズベリータルトもございますよ、閣下」
ピッポは穏やかにニコニコと微笑みながらギィに声をかけた。
ギィは忌々しげにタルトを見たが、ため息をついて一つ口に運んだ。どうやらリーンが作ったものだと思っているようだ。
そわそわしながら、ステラがそれを見つめている。
「……美味しい?ギィ様」
「不味くはない」
ぱっ、と花が咲くようにステラの顔がほころんだ。
「私が作ったのよ!リーンハルトに教えてもらったの!」
ギィは驚愕したように目を見開いた。改めてテーブルの上のタルトを見つめている。
ステラが嬉しさを隠さず、ぴょんぴょんと小さく飛び跳ねるようにリーンの側へ駆け寄ってきた。そして、ギィに向かって両手を腰に当てて誇らしげに胸をはる。その灰色の大きな瞳はキラキラと輝いていた。
「リーンハルトはすごいのよ!私でも料理が出来るようになってきたんだから!」
驚きで言葉を失っているらしいギィと、嬉しげに追加のタルトを運んでくるステラ。そして、穏やかに目を細めているピッポ。
ーー どうしたものだろうか……
この場所を”心地よい”と感じてしまっている自分にリーンは戸惑っていた。
自分が居るべき場所ではないというのに。
ーー……このままでは”ここ”から離れがたくなってしまう……
胸中に苦い気持ちが広がった。こんなにも暖かくリーンを受け入れてくれている彼らを騙して逃げだそうとしている罪悪感と、この城からいずれ去らなければならない悲しさがリーンの胸の内を渦巻いた。
スン、とステラの鼻が鳴る音がした。
気づくと、ステラが不安げにリーンを見上げていた。
「どうしたんだい?ステラ」
「…………」
ステラは黙って、リーンの右袖を引いた。リーンが手を差し出すと、その手をステラの小さな両手が包み込んだ。ステラの手はリーンよりも体温が高く、暖かかった。
「”辛いのも痛いのも、ミドガルドの森の果てまで飛んでいきますように”!」
そう言って、ステラはパッと両手を開き、上から下へとひらひらと揺らして手を下ろした。
「お兄ちゃんが、私が悲しかったり不安で眠れない時にしてくれるおまじないなの」
リーンはハッとしてステラを見た。ステラは不安げなのではなく、リーンを心配しているのだ。なぜステラに気づかれたのだろうか、顔には出していなかったはずの自分の気持ちを。
ステラは利発で賢い少女だ。だが、以前にもリーンの心を読んだような言動が何度もあり、”聡い”というだけでは言い表せない不思議なところがあった。
ギィは黙って、リーンとステラのやりとりを見ている。
「……元気になった?リーンハルト」
「ありがとう、ステラ」
ステラのひたむきさに胸を打たれ、悲しみは少し遠ざかっていった。微笑みを浮かべたリーンにステラはスンスンと数度鼻を鳴らしてから、ようやく安心したように破顔した。 ーー 今だけ。もう少しだけ……
ステラの作ったラズベリータルトは甘く、ピッポが注いでくれる紅茶は優しくリーンの胸を暖める。
リーンは、この木漏れ日のような心地よいぬくもりの中に居ることを、今は自分に許すことにした。
次の満月の日には、オスカーに前もって逃亡計画を伝え助力を乞おう。そうリーンは考えていた。
しかし、結果的に言えば、四回目の逃亡の機会もリーンは掴むことが出来なかった。
その原因はリーンの手落ちでも、ギィがリーンの計画を見破ったからでもなかった。前もっての知らせなく、王都からの視察団が送られてきたのだ。
「……お久しぶりですね。リーンハルト”元”第一王子」
そう言ったのは、かつて王宮でアイビーの傍らに控えていた第一の騎士アーサーだった。口調だけは丁寧だが、リーンに対して礼もせず、その視線には蔑みが込められていた。
リーンは笑顔を作りながら胸の中で独りごちた。
ミドガルド領は今日も曇り空だが昨日までの雨は上がっており、リーンは城の中庭にテーブルを出して一人物思いにふけっていた……はずだったが、
「お茶のおかわりはいかがですか?リーンハルト様」
「私の作ったタルトもあるわよ!リーンハルト」
気づけば、ティーポットと茶器を手にしたピッポと、作りたてのタルトを皿に山盛りに乗せたステラがあらわれ、午後のティータイムといった雰囲気になっていた。
ピッポの炒れる紅茶は香り高く、ステラの作ったラズベリータルトは形こそ歪だったが素朴な美味しさに仕上がっていた。ステラの料理は当初絶望的な味だったけれど、菓子作りに関しては本人のやる気もあって少しずつ腕を上げていた。ラズベリータルトは彼女の好物でもあり、真っ先に作り方をリーンに尋ねてきたレシピだ。
中庭へと目を向けると、警備兵団の面々が城下町の園芸家の指示の元、庭の手入れをしている。今までろくに手入れもされず放置されていた庭だ。美しく整備するためにやらねばならないことが多々あるようだ。大変な作業であることは想像に難くないが、彼らは生き生きとした表情で作業を続けている。
ーー どうしたものだろうか……
また、リーンは胸の内で一つため息をついた。
リーンがミドガルド城に連れてこられてから早四ヶ月が過ぎようとしていた。昨晩は雨が降っており月が見えなかったが、おそらく今晩は三日月が顔を出す頃合いだ。
先月の満月の日に、逃亡に失敗したリーンはジュードの馬車でミドガルド城まで送り届けられた。城の入り口で、穏やかな微笑みを浮かべたピッポがランタンを持ってリーンを出迎えた。
『お帰りなさいませ、リーンハルト様』
『ああ……ただいま』
その言葉はするりと口からこぼれ落ち、リーンは自分自身に戸惑った。
”ただいま”などと。
自分でも意識しないうちに、この城を”帰る場所”だと認識してしまっていることにリーンは愕然とした。そして同時に焦燥感も抱いた。知らず知らずのうちに自分が変化してゆくことに焦りを覚えた。
その日の深夜、せめてこの城から逃れるための何らかの足がかりになるようなもの……例えばギィの弱みでも見つけられないものかと、リーンは留守であるはずのギィの自室へと忍び込んだ。
ドアに鍵はかかっていなかった。音を立てないようそっと扉を開いたが、部屋の内側からドッと風が吹き一気にドアは開け放たれた。
「……っ!?」
予想外の強風と、舞い込む木の葉を避けるようにリーンは目をつむった。風の音がヒュウと耳に響く。
しばらくすると風の音が静かになり、リーンは目を開けて部屋の中を覗いた。ギィの部屋の窓は全て開け放たれたまま、部屋の主は不在だった。
リーンに与えられた自室も十分な広さがあったが、ギィの部屋はそれ以上に広かった。何より異様なのが窓の作りと天井の高さだった。厨房の天井は料理の際に出る熱や煙を排出するため高く作られているのが通常だが、その厨房よりもギィの部屋は天井が高く、窓は床からその高い天井まであり、押して開けるように設計されていた。その作りは、扉の構造を彷彿とさせた。
ーー ……これはまるで、”出入り口”のようだ……
部屋に足を踏み入れたリーンは、木の葉と共に床に鳥の羽根が散乱していることに気づいた。風で外から舞い込んだのだろうか。羽根の一つを拾い、眺める。
二十センチ強の長さの、黒い光沢を持つ羽根だった。この羽根の持ち主は相当大きな鳥に違いない。
……本当に、”鳥”だろうか。
リーンは窓の側に近寄り、外を眺めた。
満月の黄金の光に照らされて、黒々とした森が広がっている。
ーー ミドガルド領には、いまだ古代の魔物達がひそかに生きている……
眉唾物の噂話だとばかり思っていたそれが、真に迫って感じられた。
改めて部屋を見回すと、空間が縦にも横にも広いわりに配置されている家具が極端に少ないことに気づいた。ベッドと机と椅子、そして棚が二つほど部屋の壁に沿って置かれているだけである。
棚を開けてみると、いつもギィが着ている黒の外套が並んでいた。机の引き出しも開けようとして、城主が使うにしては質素な木の机に近づくと、机の上に小さな肖像画が飾られていることに気がついた。
その肖像画は小さいながらも見事な象牙の額縁に入れられており、物寂しい部屋の中で一番華美なもののように見えた。それを机の上という目に触れやすい場所に置いている。持ち主がこの肖像画をとても大事にしているのが察せられた。
象牙の乳白色の額縁の中からこちらへほほ笑みかけているのは、柔らかそうなストロベリーブロンドの髪とルビーのような瞳の少年だった。
(…………アイビー)
それは、、今は王都にいる第一王子であり、腹違いの弟の幼少時の姿だった。
リーンは、ギィが何故リーンを嫌うのか、正解に近い答えを知った気がした。
ギィは好いていたのだろう、彼の幼なじみでありリーンの弟であるアイビーのことを。
アイビーが王宮へ連れて行かれさえしなければ、きっとギィとアイビーは収まるべきところに収まっていたのだろう。優しく穏やかなアイビーと、頑固だが誠実なギィのことだ。ゆっくりと時間が育む愛であったに違いない。
しかし現実は、真の第一王子であると見出されたアイビーはギィから”奪われ”たのだ。 その代わり、という訳ではないが、入れ違いによこされたのはリーンだ。ギィの行き場のない悲しみが、リーンへの悪感情として表れているのだろう。
リーンが今いるこの暖かな場所は、本来アイビーの居場所だったはずだ。
ーー……ここは、俺が居るべきところではない……
「……何をしている?」
ギィの声がふいに聞こえ、リーンは現実へと引き戻された。振り向くと、眉間に皺をよせ、怪訝そうな表情のギィが立っていた。
結局あの晩は、ギィの部屋の机上にアイビーの肖像画を見つけただけで、ひっそりとリーンは自室に退散したのだった。
なぜか妙に感傷的な気持ちになったことを覚えている。
「特に、何も?」
ギィの眉間の皺がさらに深くなった。
「午後のティータイムです。閣下」
リーンの代わりにピッポがにこやかに答えた。
「閣下もいかがです?」
そう言って、ピッポはリーンの向かい側の椅子を主人のために引いたが、ギィは首を振り顎で中庭の方を指し示した。
「そうではない。……”あれ”は何だ、と聞いている」
中庭には、城下町の庭師の指示の元、草むしりや木々の剪定をする警備兵団達の姿があった。
「ああ、荒れ放題の庭を俺の”友人達”が綺麗にしてくれているんだ」
「俺はそんなことを命じた覚えはない」
「俺が”お願い”したんだよ」
ギィは”信じられない”といった面持ちでリーンを見る。リーンは素知らぬ顔で紅茶を飲んだ。美味しい。さすが、ピッポの炒れる紅茶は香りが良くうま味も引き出されている。
「……オスカー、ジュード!」
ギィが、中庭で作業をしていた二人を呼び寄せる。団員達と共に庭の手入れをしていた二人は肘当たりまで袖まくりをしている。二人は汗を拭いながらリーンとギィの元まで歩いてきた。
こちらに歩いてくるジュードの姿を見たステラが瞳を輝かせ、さりげなく兄の隣に歩み寄りピタッと姿勢を正した。表情だけはすました顔で何食わぬ風を装っている。しかし、彼女の丸い頬は紅潮しており、嬉しさを隠し切れていないところが可愛らしかった。
「何故リーンハルト士爵の命をきく。俺は庭の手入れなど許可していない」
「いやいや閣下。閣下だって、あの庭の様子はさすがに……」
「恐れながら、閣下」
オスカーの言葉を遮り、ジュードが口を開いた。ジュードがクイと指で眼鏡のブリッジを押し上げ、銀のフレームが陽光を反射して光った。
「警備兵団の規則、第一項にミドガルド城ならびに領土の治安を維持すべしという項目があります。現時点で城を取り囲む環境は木々と雑草が生い茂り見晴らしが悪く、野党や賊の類いが侵入した場合その者達の恰好の隠れ場所もしくは逃げ道になりかねません。我々警備兵団としてはそのような事態を事前に防ぐ必要があるのです。規則の一項目にあるように、我々が何より重視すべきは閣下とミドガルド領民の安全です。また、第六項に、直ちに領主に連絡が取れない場合、領民の身の安全を確保する必要がある場面では警備兵団の過半数以上が賛成した場合は警備兵団の判断に基づいた行動を許可するとあります。以前閣下はリーンハルト様の滞在期限はないと仰いました。すなわちリーンハルト様はミドガルド領の領民であるに等しいということになります。その領民の一人であるリーンハルト様からの要請を受け、リーンハルト様ならびに執事長ピポクラテス・ドリアード、メイド長ステラ・クロウの身の安全を確保すべく、警備兵団内で議論したところ過半数以上、ほぼ全員がミドガルド城の敷地の整備に賛成いたしました。そしてそれは城主である閣下の身の安全を強固なものにすることにも繋がるという警備兵団の総意に基づいています。そして……」
ジュードがキビキビとした口調で規則をそらんじ彼らの行動の正当性を述べ挙げてゆく。
ギィは面食らった顔で言葉を失っている。ジュードがギィに反論することなど滅多にないことなのだろう。オスカーは目を丸くしつつも愉快そうに、つらつらと理論武装を続ける副警備兵団長を眺めている。
「……と、言うことです。つきましては、我々がリーンハルト様の要請に応じることは閣下の許可を必要とするものではなく、我々の成すべき業務の一環です。閣下」
主張を述べ終えたジュードが、姿勢を正しギィの言葉を待つ。その横で、小柄なメイドの少女も兄の真似をしていつも以上にピンと背を伸ばし胸をはってギィを見つめる。
兄弟そろって主人をじっと見つめる様子はおかしくも微笑ましい。
ふは、と耐えきれなくなったようにオスカーが笑い声をこぼした。
「こうなったら、テコでも譲りませんよ。うちの副団長は。ご意向に添えず申し訳ありませんが、庭園の手入れを続けさせて頂きます。閣下」
オスカーが手を広げ、優雅にギィに向かって一礼する。ジュードも彼にならい一礼し、なぜかステラもぺこりと頭を下げた。
「…………勝手にしろ」
「情け深いお言葉、感謝いたします」
オスカーは朗らかにほほ笑み、ジュードと共に中庭の作業へと戻っていった。戻り際、オスカーはこっそりとリーンにウィンクを飛ばした。
『街のやつらが、リーンハルト様にお礼がしたいと言っているんです。出来ることはありませんか?』
そう、数日前に声を掛けてきたのはオスカーだった。
オスカーが言うには、ゲラ・ハミドの一味に手を焼いていた街の人々がリーンに深く感謝をしているとのことだった。当初、リーンは礼などいらないとその申し出を突っぱねたが、オスカーがどうしても、と頼み込んできた。
『トーマスとミシェーラが、貴方に礼がしたいと言って聞かないんですよ。もしリーンハルト様が礼を受け取らないとなると、勝手に貴方の銅像でも造りかねない勢いで……』
自分の銅像が町中に建てられているのを想像して、リーンは胸中で眉をひそめた。これから秘密裏に逃げだそうとしている街にそんなものが建てられようものなら、あの件に関わらなかった者達にも一気にリーンの顔と名前が知れ渡ってしまう。ミドガルド領からの脱走が困難になるのはもちろんのこと、ゆくゆくの逃亡生活にしたって支障が出かねない。
『ゲラ・ハミドに手を焼いていたのは我々警備兵団も同じですからね、私からもぜひリーンハルト様にはお礼をさせて頂きたく……。そうですね、庭の手入れなどいかがです?城下町には腕の良い園芸屋もいるんですよ!』
そう言われてしまうと、彼らの厚意を受けざるをえなかった。庭園のことはリーンもミドガルド城についた当初から気になっていたことでもあったので、良い機会のようにも思えた。
不機嫌さを隠さず椅子へと腰掛けたギィへ、ピッポがすかさず茶器を出し暖かな紅茶を注いだ。
「ラズベリータルトもございますよ、閣下」
ピッポは穏やかにニコニコと微笑みながらギィに声をかけた。
ギィは忌々しげにタルトを見たが、ため息をついて一つ口に運んだ。どうやらリーンが作ったものだと思っているようだ。
そわそわしながら、ステラがそれを見つめている。
「……美味しい?ギィ様」
「不味くはない」
ぱっ、と花が咲くようにステラの顔がほころんだ。
「私が作ったのよ!リーンハルトに教えてもらったの!」
ギィは驚愕したように目を見開いた。改めてテーブルの上のタルトを見つめている。
ステラが嬉しさを隠さず、ぴょんぴょんと小さく飛び跳ねるようにリーンの側へ駆け寄ってきた。そして、ギィに向かって両手を腰に当てて誇らしげに胸をはる。その灰色の大きな瞳はキラキラと輝いていた。
「リーンハルトはすごいのよ!私でも料理が出来るようになってきたんだから!」
驚きで言葉を失っているらしいギィと、嬉しげに追加のタルトを運んでくるステラ。そして、穏やかに目を細めているピッポ。
ーー どうしたものだろうか……
この場所を”心地よい”と感じてしまっている自分にリーンは戸惑っていた。
自分が居るべき場所ではないというのに。
ーー……このままでは”ここ”から離れがたくなってしまう……
胸中に苦い気持ちが広がった。こんなにも暖かくリーンを受け入れてくれている彼らを騙して逃げだそうとしている罪悪感と、この城からいずれ去らなければならない悲しさがリーンの胸の内を渦巻いた。
スン、とステラの鼻が鳴る音がした。
気づくと、ステラが不安げにリーンを見上げていた。
「どうしたんだい?ステラ」
「…………」
ステラは黙って、リーンの右袖を引いた。リーンが手を差し出すと、その手をステラの小さな両手が包み込んだ。ステラの手はリーンよりも体温が高く、暖かかった。
「”辛いのも痛いのも、ミドガルドの森の果てまで飛んでいきますように”!」
そう言って、ステラはパッと両手を開き、上から下へとひらひらと揺らして手を下ろした。
「お兄ちゃんが、私が悲しかったり不安で眠れない時にしてくれるおまじないなの」
リーンはハッとしてステラを見た。ステラは不安げなのではなく、リーンを心配しているのだ。なぜステラに気づかれたのだろうか、顔には出していなかったはずの自分の気持ちを。
ステラは利発で賢い少女だ。だが、以前にもリーンの心を読んだような言動が何度もあり、”聡い”というだけでは言い表せない不思議なところがあった。
ギィは黙って、リーンとステラのやりとりを見ている。
「……元気になった?リーンハルト」
「ありがとう、ステラ」
ステラのひたむきさに胸を打たれ、悲しみは少し遠ざかっていった。微笑みを浮かべたリーンにステラはスンスンと数度鼻を鳴らしてから、ようやく安心したように破顔した。 ーー 今だけ。もう少しだけ……
ステラの作ったラズベリータルトは甘く、ピッポが注いでくれる紅茶は優しくリーンの胸を暖める。
リーンは、この木漏れ日のような心地よいぬくもりの中に居ることを、今は自分に許すことにした。
次の満月の日には、オスカーに前もって逃亡計画を伝え助力を乞おう。そうリーンは考えていた。
しかし、結果的に言えば、四回目の逃亡の機会もリーンは掴むことが出来なかった。
その原因はリーンの手落ちでも、ギィがリーンの計画を見破ったからでもなかった。前もっての知らせなく、王都からの視察団が送られてきたのだ。
「……お久しぶりですね。リーンハルト”元”第一王子」
そう言ったのは、かつて王宮でアイビーの傍らに控えていた第一の騎士アーサーだった。口調だけは丁寧だが、リーンに対して礼もせず、その視線には蔑みが込められていた。
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思わず身入ってしまいました。
続きが気になって仕方がありません笑笑
更新をお待ちしております。
文章が上手くてとても読みやすく、ストーリーもすごく面白かったです!キャラクターもとても魅力的でした。
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普段はBLカテゴリしか見ないので、ワード検索したときに出会えて本当に良かった…!
とても気になるところで終わり、せっかく小さな幸せを味わっていたところにまた波乱の予感が…?といったところですが、以降の更新は秋とのことなので
それまで首を長くして楽しみに続き待たせて頂きますね!
暑い日が続きますがご自愛されて執筆頑張ってください。