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転機

第2話

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「では、握手会を始めます」

最後に出てきたマネージャーの島田さんの合図で握手会が始まった。1人当たり約5秒という短い握手の中で、ファンは爪痕を残そうと自分アピールを存分に出してくる。

「やっと会えた!初めてなんです、織ちゃんのゲーム実況を偶然見てファンになりました!」「いゃそこは私やないんかぃ!」

先頭の方が私と握手した際に、言った一言を聞き逃さなかった伊織。漫才の様に鋭いツッコミを見せる。実は私も何気にゲーム好きで、つい先日、伊織のゲーム実況にお邪魔した事がある。

「アハハ、ありがとう、なんだか恐縮です」

私は皮肉っぽく伊織に向かって言った。

「あ、織ちゃんも勿論好きですよ?」

何かを察したのか、ファンは気遣いを見せる。

「なーにそのついで感(笑)」

「でも初めてじゃない?ゲーム実況からファンになるの?」

私はそう尋ねた。

「確かにね、私達完全にアイドルと分けてたから、この事(アイドルやっている事)を知らない人が多いと思う、ねぇ愛ちゃん?」

「まぁね、仕事とプレイベート的な。こっちがオンならゲームがオフモードみたいな」

そう2人が話している最中、スタッフの剥がしにより愛花まで順番が回ってきた。

「え?愛ちゃんもやってるんですか?」

「実はそうなんだよー、私のも視てね」

そうファンに言ったのは愛花。

「はい、絶対視ます!」

そんな会話をしつつ、着々と握手会は進んで行く。そして10分くらいだろうか。握手会も半分過ぎろうかとしていた時、人生の転機が訪れる。
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