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恋愛感情

第8話

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そのドレスは方からではなく二の腕付近からのタイプで、こういった衣装は他にもあるのだけど、この衣装は他のに比べて胸元の部分が小さく作られている。これは私みたいな貧乳ではなく、巨乳を活かす衣装だと思う。到底合わない感じだが…

「敢えて言わないですけど、男性の欲の詰まりですね」

「すみません…あの、全然他のでも良いんで」

西君は遠慮してそう言う。正直恥ずかしくて乗る気ではない所だが、西君の要望に応えたい自分も居る。私は悩んだ末、

「…良いですよ」

「え?でもあまりにも露出が激し目な衣装っぽいですし」

まさかだと思ったのか、少し驚きを見せる。

「でも着て欲しいんでしょう?」

「まぁそうですけど…」

「じゃー着ましょうか?」

「でも…申し訳な‥」「どっちですか?」

「えへ?」

畳み掛ける私の問いに引く所か思わず笑みが零れる西君。会話を楽しんでいるのか、M素質なのか、はたまたこのドレスを着た私の事を妄想しているのか。分からないけどなんだか可愛い。なので

「着て欲しい意志をしっかりと伝えて下さい」

最早着る前提で私は確認する様に再度西君に聞く。

すると西君は姿勢を改めて

「そのドレスを着て下さい!」

私はその言葉を聞くと、笑顔で

「わかりました」

そう言ってその衣装を選んだ。他にもカラードレスと和装を選び、横長の机に置いた。時を同じくして佐藤さんが戻ってきた。

「あ、選ばれましたか?」

「はい」「はい」

私と西君はやまびこの様な流れでそう返事した。

「先ずウェディングは…おっほ、これですか(笑)」

佐藤さんは少しにやけながらウェディングドレスを手に取って言った。

「西さんの希望です」
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