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式場パンフレットの完成試作

第8話

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「え!良いんですか!?ってでも、ウチの事務所にはどう言って説明するつもりですか?」

「まぁ普通に私の推薦でって言えばいいじゃないかな?」

「マジですか…」

その内容というのは、なんと新高さんはここの他に『Map Travel』という観光雑誌のカメラマンをしているそう。観光雑誌とは、普通の旅行雑誌と違ってより観光地を重点的に纏めてその場所に特化した雑誌らしい。だから旅行雑誌よりは圧倒的に頁数は少ないが、場所については旅行雑誌よりも詳細に書かれている。その撮影に新高さん推薦で私と西君を呼び、撮影込みのデートにさせようっていう作戦だそうだ。

「丁度依頼していたモデルがキャンセルになっちゃってねー、代わりを探してたとこなんです。これも運命ってやつで便乗したらどう?内容は結婚雑誌みたいなかしこまった感じじゃなくて、寄った店の食べ物の感想や印象を語って頂くだけでいいので、普通に満喫しちゃって下さい。写真撮影は勝手に撮ったり時には合図を出しますので」

「私とすれば嬉しい限りですけど、西君に聞かないと‥」

と、そう言いながらスマホを取り出そうとすると、新高さんが私の方を軽く叩いた。

「その心配はないですよ。実はあなたが来る前に西さんから相談受けてましたから」

「えぇ!?」

驚くのも無理はない。新高さん曰く、私の前に来てた際に同じ悩みを打ち明けたらしい。面白いのが内容がほぼ一緒で、先程言い掛けたストラップの件も自慢げに話したらしい。そして西君自身も私とデートしたいという事らしい。

「全く。相談を受けたのはいいんだけど、まさかこんなにも似た相談を受けるなんてねー」

そうちょっとため息交じりではあるが、決して呆れている様な発言ではなさそうだ。

「いゃー恥ずかしいです」


そっか、西君も同じ事考えてくれてたんだ。


「よし。じゃーそうと決まればそちらの事務所に連絡するから、追って連絡しますね」

そう言ってその場所を後にした。


to be continued…
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