50 / 230
起[転]承乱結Λ
6話 大事な忘れ物。
しおりを挟む
イリアム宮、天武の間――。
軍事的勲功を賀する際に使用される大広間である。
立食形式となっており、酒類が欲しければ給仕に頼むか、バーカウンターに行けば良い。
ステージも敷設されており、楽団が流行の曲などを適宜演奏している。
かように、さほど格式張った宴では無かった。
辺境領邦であるベルニクを軽視しているのか、単に女帝ウルドの好みであるのかは分からない。
トールとしては格式張った催しよりは、落ち着けると感じていた。
ただ、そのせいであろうか――。
「浮いてる」
メイドのマリまで、招待客となっている。
帝都を訪れる前から分かっていた事であるので、彼女用の礼服――つまりドレスは用意してあった。
「そんな事ないわ、マリ。とっても素敵。あなたの髪色――バイオレットが映えるドレスよ」
そう言うロベニカもまた、普段のスーツ姿とは異なる艶やかな装いとなっている。
なお、先ほどの車中では、またもトールとひと悶着があったものの、覚悟を決めたのか落ち着いた様子であった。
――いざとなればジャンヌもいるし、私だって体当たりぐらい……。
と、些か向こう見ずな手段で解決する目論見もあるようだ。
この辺り、徐々にトール・ベルニクの影響を受け始めているのかもしれない。
「しっかし、骨の髄までバカヤロウだな、アイツは。剣闘士相手に剣技を競おうなんてホントにイカレてやがる」
軍の礼服姿となったテルミナが、少しばかり嬉しそうに悪態をついた。
「失礼な事を言ってはいけませんわ。トール様にはお考えがあるのです」
一方のジャンヌも軍の礼服姿であるが、凛々しい令嬢といった風情があった。
戦場における鬼神ぶりを知る者が見れば、同一人物とは思えなかったかもしれない。
そして、お考えのあるはずのトールといえば、
「あ、これはこれは、ご丁寧に――」
「いやなに」
オソロセア領邦領主ロスチスラフ侯に捕まっていた。
――ふむん。連れ歩いておる女を見れば、男の価値が分かると言うが……。
――これはまた、見事なまでに胸のデカいのを揃えおったな。ん?
ロスチスラフの視線が、ふと一か所で止まる。
――稚児までいるではないか。乱倫ぶりは変わっておらんな。
――だが、そうなると、いったい誰を薦めるのが良いのやら……。
胸の豊かさを言うならば、彼の娘達は凡庸であり、当然ながら稚児などではなく妙齢の女である。
「ところでな、トール殿」
通り一遍の挨拶を終えると、すぐにロスチスラフは本題に入った。
「今宵、オソロセアの至宝を紹介しようと思っておる」
「は、はあ――」
「恥ずかしがらずに近くに来ぬか」
少しばかり離れた場所に立っていた三人の娘を手招いた。
ロスチスラフの意図を察したロベニカは、またおかしな事態にならぬようトールの脇でそつのない笑みを浮かべつつ警戒態勢にある。
――まったく、最低な男ね。
――謀略に失敗したら、次は政略結婚なんて、節操が無いにもほどがあるわ。
未だ政治に対する初心さを持った彼女らしい所感であろう。
実際のところ、領主としてのロスチスラフの動きは、合理的で有りこそすれ、責められる謂れなど無かった。
「ほれ、ご挨拶を」
気乗りのしない風情で歩み寄って来た娘達は、儀礼的に屈膝礼をしてみせた。
「トール子爵閣下、お目に掛かれて光栄ですわ。私めは、オソロセア領邦のフ――」
長女の口上は、大広間に上がった歓声と拍手に遮られる。
女帝ウルドの入場であった。
◇
大広間の向こう正面に雛壇があり、二人の枢機卿を従え登壇した。
レオ枢機卿と、アレクサンデル枢機卿である。
一方は巷間で聖人と称賛され、他方は希代の俗物などと陰口を叩かれていた。
真に対照的な二人の枢機卿であったが、教会内での勢力争いにおいては拮抗しており、何れも次期教皇に近い立場にいる。
ウルドが絢爛たる椅子に座するのを確認した後、二人の枢機卿は、ひと回り小さな椅子に掛けた。
アレクサンデルなどは、その巨漢ゆえに椅子の方が破損しそうであったが――。
「今宵――」
楚々とした彼女の声が、音響システムによって大広間の隅々にまで伝わる。
耳元で囁かれているかのような錯覚に陥るほどだ。
「――帝国の新たな英雄を称える。英雄に」
そう言いながら、ウルドは銀の杯を捧げた。
「英雄に」「英雄に」「英雄に」
大広間の人々が唱和し、各々がグラスをトールに向けて掲げた。
本人としては戸惑い、尚且つ苦手な状況ではあったが――、
――トール様は、グラスを掲げてから少し口に含むんです。
――え、そうなんですか。ボク、何も持って――あ、どうも。
ロベニカから渡されたグラスを掲げ少し口に含むと、衆目の拍手と笑顔で迎えられた。
――ふぅ、どうにか粗相をせずに済んだのかな。
――それにしても、ロベニカさんて、結構、強めのお酒を飲むんだなぁ。
「また、余の児戯に、付き合ってくれる事にも感謝したい」
ウルドの視線が、遠く離れた場所に立つトールを射した。
「付き合ってくれるのであろう?」
確認する必要も無いはずであるが、公衆の面前で本人同意の元であるとの意を強調したかったのかもしれない。
――断ったらもっと怖いよね。きっと……。
――巨乳戦記の通りに進むなら、何とかなるはずだけど……ん……いや、待てよ。
トールの背中を嫌な汗が流れた。
――不味いな。ボクは大事なことを忘れていたぞ。
何も答えぬままでいるトールを、大広間の人々は逡巡していると考えたのかもしれない。
そこかしこで、ひそひそとした囁き声が漏れ聞こえてきた。
――グノーシス異端船団国との国交正常化の話しを、まだ陛下に通せてないじゃないか。
彼の記憶によれば、オソロセア領邦とオリヴァーが蛮族を退けた場合、謁見にて彼らとの国交正常化の話しを持ち出しているのである。
ただし、それが出来たのは、アレクサンデル枢機卿の助力と、グノーシス異端船団国側への根回しが済んでいたからであった。
トールとて、国交正常化を進めるつもりであるが、ロスチスラフとは異なり、まだ下準備が整っていない。
全ては、これからの事なのである。
――となると、祝賀会のタイミングで、教皇は死んでくれないのかも……。
人の死を願うなど不謹慎であろうが、トールがある程度は泰然としていられたのもこれが理由であった。
すでに病床に臥していた教皇は、ロスチスラフとアレクサンデルの動きを伝え聞き、怒りの発作が収まらず、あえなく死亡するのだ。
その報が、祝賀会の途中にもたらされ、宴は中止となり喪に服する事になるのである。
ゆえに、剣技を競うなどという馬鹿騒ぎも取り止めであろうと高を括っていたのだ。
――失敗したなぁ。
「よもや、断るつもりか?」
焦れた様子で、女帝ウルドが言い重ねる。
「あ、いえいえ、すみません。少し考えごとをしておりましたので」
「な――」
女帝の問いを差し置き物思いなどと、さらにウルドの怒りに油が注がれた。
が、癇気を堪える。
もう少しで、瀕死の状態になる無礼者を目の当たりに出来るのだ。
いや、いっそ殺してしまえば良いとも思っていた。
「はい。勿論、お付き合いさせて頂きます」
事がここに及んでは、受ける他あるまいと腹を括ったのか、悲壮感の欠片も無い声音であった。
聞く者によっては、腕に自信ありと感じられたかもしれない。
「よう申した」
ウルドは、満足気に頷いた。
「とはいえ、所詮は児戯じゃ。よって、誰ぞを助っ人として加えても良い。コロッセウムでも、似たような試合があると聞く」
いわゆるハンデ戦という事である。
圧倒的な強者と、複数人の弱者が闘う試合も存在した。
「これも興が乗ろう」
「なるほど――」
――どうして、道化さんは、こうなる事を知っていたんだろう。
昨日の段階で、助っ人には自分を指名しろと言われていた。
――それとも、この類の余興はいつも助っ人有りなのかな。
どうにも、何か企みが有りそうな気配はしている。
――まさか、もう女帝を殺しちゃうとか?
――でも、教皇が先に死ぬはずだし――いや、ボクのせいで変わってしまったのか。
「では、助っ人は――」
「そ、某にぃ、某で、お願いしまするうぅぅッ!!」
何処からともなく、道化が転がるように現れ叫んだ。
「絶対に、お役に立って見せますぞおっ!!あひゃ、あ、そおれ、あひゃ、それそれそれぇ」
風変りな踊りを見せながら、トールを射貫く瞳の中には昏い炎が宿っている。
「滑稽、真に滑稽よの」
それを見た女帝ウルドは薄く笑う。
「だが、その意気や良し。助っ人は、道化で決まりであろうな」
こうして、本人の意思とは関係なく、トールと道化が剣闘士トジバトルに挑む事になったのである。
軍事的勲功を賀する際に使用される大広間である。
立食形式となっており、酒類が欲しければ給仕に頼むか、バーカウンターに行けば良い。
ステージも敷設されており、楽団が流行の曲などを適宜演奏している。
かように、さほど格式張った宴では無かった。
辺境領邦であるベルニクを軽視しているのか、単に女帝ウルドの好みであるのかは分からない。
トールとしては格式張った催しよりは、落ち着けると感じていた。
ただ、そのせいであろうか――。
「浮いてる」
メイドのマリまで、招待客となっている。
帝都を訪れる前から分かっていた事であるので、彼女用の礼服――つまりドレスは用意してあった。
「そんな事ないわ、マリ。とっても素敵。あなたの髪色――バイオレットが映えるドレスよ」
そう言うロベニカもまた、普段のスーツ姿とは異なる艶やかな装いとなっている。
なお、先ほどの車中では、またもトールとひと悶着があったものの、覚悟を決めたのか落ち着いた様子であった。
――いざとなればジャンヌもいるし、私だって体当たりぐらい……。
と、些か向こう見ずな手段で解決する目論見もあるようだ。
この辺り、徐々にトール・ベルニクの影響を受け始めているのかもしれない。
「しっかし、骨の髄までバカヤロウだな、アイツは。剣闘士相手に剣技を競おうなんてホントにイカレてやがる」
軍の礼服姿となったテルミナが、少しばかり嬉しそうに悪態をついた。
「失礼な事を言ってはいけませんわ。トール様にはお考えがあるのです」
一方のジャンヌも軍の礼服姿であるが、凛々しい令嬢といった風情があった。
戦場における鬼神ぶりを知る者が見れば、同一人物とは思えなかったかもしれない。
そして、お考えのあるはずのトールといえば、
「あ、これはこれは、ご丁寧に――」
「いやなに」
オソロセア領邦領主ロスチスラフ侯に捕まっていた。
――ふむん。連れ歩いておる女を見れば、男の価値が分かると言うが……。
――これはまた、見事なまでに胸のデカいのを揃えおったな。ん?
ロスチスラフの視線が、ふと一か所で止まる。
――稚児までいるではないか。乱倫ぶりは変わっておらんな。
――だが、そうなると、いったい誰を薦めるのが良いのやら……。
胸の豊かさを言うならば、彼の娘達は凡庸であり、当然ながら稚児などではなく妙齢の女である。
「ところでな、トール殿」
通り一遍の挨拶を終えると、すぐにロスチスラフは本題に入った。
「今宵、オソロセアの至宝を紹介しようと思っておる」
「は、はあ――」
「恥ずかしがらずに近くに来ぬか」
少しばかり離れた場所に立っていた三人の娘を手招いた。
ロスチスラフの意図を察したロベニカは、またおかしな事態にならぬようトールの脇でそつのない笑みを浮かべつつ警戒態勢にある。
――まったく、最低な男ね。
――謀略に失敗したら、次は政略結婚なんて、節操が無いにもほどがあるわ。
未だ政治に対する初心さを持った彼女らしい所感であろう。
実際のところ、領主としてのロスチスラフの動きは、合理的で有りこそすれ、責められる謂れなど無かった。
「ほれ、ご挨拶を」
気乗りのしない風情で歩み寄って来た娘達は、儀礼的に屈膝礼をしてみせた。
「トール子爵閣下、お目に掛かれて光栄ですわ。私めは、オソロセア領邦のフ――」
長女の口上は、大広間に上がった歓声と拍手に遮られる。
女帝ウルドの入場であった。
◇
大広間の向こう正面に雛壇があり、二人の枢機卿を従え登壇した。
レオ枢機卿と、アレクサンデル枢機卿である。
一方は巷間で聖人と称賛され、他方は希代の俗物などと陰口を叩かれていた。
真に対照的な二人の枢機卿であったが、教会内での勢力争いにおいては拮抗しており、何れも次期教皇に近い立場にいる。
ウルドが絢爛たる椅子に座するのを確認した後、二人の枢機卿は、ひと回り小さな椅子に掛けた。
アレクサンデルなどは、その巨漢ゆえに椅子の方が破損しそうであったが――。
「今宵――」
楚々とした彼女の声が、音響システムによって大広間の隅々にまで伝わる。
耳元で囁かれているかのような錯覚に陥るほどだ。
「――帝国の新たな英雄を称える。英雄に」
そう言いながら、ウルドは銀の杯を捧げた。
「英雄に」「英雄に」「英雄に」
大広間の人々が唱和し、各々がグラスをトールに向けて掲げた。
本人としては戸惑い、尚且つ苦手な状況ではあったが――、
――トール様は、グラスを掲げてから少し口に含むんです。
――え、そうなんですか。ボク、何も持って――あ、どうも。
ロベニカから渡されたグラスを掲げ少し口に含むと、衆目の拍手と笑顔で迎えられた。
――ふぅ、どうにか粗相をせずに済んだのかな。
――それにしても、ロベニカさんて、結構、強めのお酒を飲むんだなぁ。
「また、余の児戯に、付き合ってくれる事にも感謝したい」
ウルドの視線が、遠く離れた場所に立つトールを射した。
「付き合ってくれるのであろう?」
確認する必要も無いはずであるが、公衆の面前で本人同意の元であるとの意を強調したかったのかもしれない。
――断ったらもっと怖いよね。きっと……。
――巨乳戦記の通りに進むなら、何とかなるはずだけど……ん……いや、待てよ。
トールの背中を嫌な汗が流れた。
――不味いな。ボクは大事なことを忘れていたぞ。
何も答えぬままでいるトールを、大広間の人々は逡巡していると考えたのかもしれない。
そこかしこで、ひそひそとした囁き声が漏れ聞こえてきた。
――グノーシス異端船団国との国交正常化の話しを、まだ陛下に通せてないじゃないか。
彼の記憶によれば、オソロセア領邦とオリヴァーが蛮族を退けた場合、謁見にて彼らとの国交正常化の話しを持ち出しているのである。
ただし、それが出来たのは、アレクサンデル枢機卿の助力と、グノーシス異端船団国側への根回しが済んでいたからであった。
トールとて、国交正常化を進めるつもりであるが、ロスチスラフとは異なり、まだ下準備が整っていない。
全ては、これからの事なのである。
――となると、祝賀会のタイミングで、教皇は死んでくれないのかも……。
人の死を願うなど不謹慎であろうが、トールがある程度は泰然としていられたのもこれが理由であった。
すでに病床に臥していた教皇は、ロスチスラフとアレクサンデルの動きを伝え聞き、怒りの発作が収まらず、あえなく死亡するのだ。
その報が、祝賀会の途中にもたらされ、宴は中止となり喪に服する事になるのである。
ゆえに、剣技を競うなどという馬鹿騒ぎも取り止めであろうと高を括っていたのだ。
――失敗したなぁ。
「よもや、断るつもりか?」
焦れた様子で、女帝ウルドが言い重ねる。
「あ、いえいえ、すみません。少し考えごとをしておりましたので」
「な――」
女帝の問いを差し置き物思いなどと、さらにウルドの怒りに油が注がれた。
が、癇気を堪える。
もう少しで、瀕死の状態になる無礼者を目の当たりに出来るのだ。
いや、いっそ殺してしまえば良いとも思っていた。
「はい。勿論、お付き合いさせて頂きます」
事がここに及んでは、受ける他あるまいと腹を括ったのか、悲壮感の欠片も無い声音であった。
聞く者によっては、腕に自信ありと感じられたかもしれない。
「よう申した」
ウルドは、満足気に頷いた。
「とはいえ、所詮は児戯じゃ。よって、誰ぞを助っ人として加えても良い。コロッセウムでも、似たような試合があると聞く」
いわゆるハンデ戦という事である。
圧倒的な強者と、複数人の弱者が闘う試合も存在した。
「これも興が乗ろう」
「なるほど――」
――どうして、道化さんは、こうなる事を知っていたんだろう。
昨日の段階で、助っ人には自分を指名しろと言われていた。
――それとも、この類の余興はいつも助っ人有りなのかな。
どうにも、何か企みが有りそうな気配はしている。
――まさか、もう女帝を殺しちゃうとか?
――でも、教皇が先に死ぬはずだし――いや、ボクのせいで変わってしまったのか。
「では、助っ人は――」
「そ、某にぃ、某で、お願いしまするうぅぅッ!!」
何処からともなく、道化が転がるように現れ叫んだ。
「絶対に、お役に立って見せますぞおっ!!あひゃ、あ、そおれ、あひゃ、それそれそれぇ」
風変りな踊りを見せながら、トールを射貫く瞳の中には昏い炎が宿っている。
「滑稽、真に滑稽よの」
それを見た女帝ウルドは薄く笑う。
「だが、その意気や良し。助っ人は、道化で決まりであろうな」
こうして、本人の意思とは関係なく、トールと道化が剣闘士トジバトルに挑む事になったのである。
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる